「脚本に対する評価とは?」658km、陽子の旅 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本に対する評価とは?
「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM(TCP)」受賞作品、全て劇場とまでは行きませんが、1作を除いて観られるものは出来るだけ鑑賞(今作が11作目)しています。さらに今作は6月の上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の3冠ということもあり、公開週の日曜午前中回は7割強の客入り。それにしても、テアトル新宿さんは公開週の土日くらい少し早く開ければいいのに、相変わらず客さばきに四苦八苦。ご苦労様ですが、そろそろチケットレスにしましょうよ。
で、映画の感想ですが、正直なところ「もう一歩」かなと言う印象です。
(ここから脚本に触れていくので、一応ネタバレ注意で)
元々TCPにおいて脚本部門で審査員特別賞を受賞し、上海でも最優秀脚本賞受賞など、脚本の評価が高いわけですが、解りやすく言えば「コミュ障がヒッチハイク+震災後と絆」をお題にしてドラマティックにロードムービーを作るとこうなる、的な感じ。展開も意外性はありません。むしろこれを画にしてしまうことで、どうしても端々にリアリティがなくなります。
例えば、(上海の人はそれをどう観るか判りませんが、)車のナンバーが丸見えなため、いくらヒッチハイク初めてでも1台目にその車選ぶかね?と思うや否や、ナンバーから想像する行先までの距離感でまた休憩。わざわざ飯を食うといういじめ?に対し、なら乗り換えろよと思うし。別にコミュ障の人がそういう判断すら出来ないってことはないだろうと思うのですが、それならそもそもヒッチハイクなんて高いハードルに挑まず、SAで職員に相談しなさいよと思ったり。勿論、それをしたらロードムービーになりませんけどね。兎も角タイトルの通り、陽子(菊地凛子)というパーソナリティだけが物語の推進力で、陽子の「しでかす」ことがドラマとなって進んでいきます。その後「出会う人と出来事」からの「陽子の変化と気づき」というロードムービーにおける在り来たりな展開。意外なことと言えば、この調子じゃ着かないと思いきや・・・ま、勿論、皮肉ですけど。
ただ、この作品だけをけなすつもりはなく、TCP受賞作全般似たような印象があり、それは私の好みの問題かもしれまん。2023年はコンペティション実施しないようですが、カルチュア・エンタテインメントさん、若手のステップアップのため、今後も頑張って続けてください。そして皆さんも私の評価など気にせず、折角の上海での高評価がホットなうちに鑑賞してみてはいかがでしょ~。