きみの色のレビュー・感想・評価
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つまらなすぎる。
これまで観た映画の中でも、ワースト3に入るほどのつまらなさでした。まず、この映画を通して何を伝えたいのかが全くわかりません。山田尚子監督作品ということで期待して観に行きましたが、途中で退席したくなるほどでした。時間とお金を返してほしい。
エンドロールを見て、脚本が他の方であったと知り「なるほど」と思いましたが、それでも多くのスタッフが関わっているはずで、誰もこの脚本に対して異議を唱えなかったのかと疑問が残ります。
主人公の言動が終始理解不能なうえ、例えばキミの高校を辞めた本当の理由が不明のままであったり、男の子が医学部進学を目指していてそれが音楽の足枷になっているのかと思いきやそうではなかったりと、それぞれの悩みやキャラクターの個性が薄いまま、全く物語がいきいきとしていません。悩みを乗り越える描写もなく、キャラクター設定が浅すぎて感情移入ができず、途中で眠くなりました。
また、長崎の美しい風景を描きたかったのかもしれませんが、キリスト教系女子校の設定が映画の内容に意味を持たせず、主人公の「他人の色が見える」という設定も全く活かされていません。恋愛、進路、友情など多感な時期の要素を詰め込みすぎた結果、どれも中途半端に終わってしまい、映画として大失敗しています。むしろ意味不明なシーンで無理に尺を引き延ばしているように感じ、観客を侮辱しているのかとさえ思いました。例えば、冒頭から「自分の色が見えない」と繰り返していたのに、最後には何の伏線もなしに突然見えるようになったり、謎のバレエシーンが挿入されたりと、意図の伝わらないシーンで構成されており、途中から笑ってしまうほどです。結局、脚本家の自己満足に終始した作品になっており、作画や声優が良いだけに非常に残念です。
最後に、主人公には「人を色で判断するな」と言いたいですし、もっと寮の友達も大切にするべきではないでしょうか。
優しく平坦であることの良さは理解しつつ低評価
監督のこれまで作られた作品のファンだったのでいち早く劇場へ。
情景や人物描写の美しさは期待以上でした。
特に最後のライブシーンは素晴らしく、劇を締めくくるにあたり、かなり捲り上げた感じがあったように思います。
ですが、私はこの映画を高く評価できませんでした。
その理由をあらすじとともに以下に記載します。
【あらすじ】
主人公のとつこは人物の「色」が見える。つまらなく言ってしまえば共感覚やオーラのようなものだろう。
このことが理由で人とは少し違った世界の見え方をしているため、やや人間関係では不器用なところがある。
そんな中、学校で出会った美しい青色を持つきみに憧れを持ち、訳あってバンドを組むことになり、美しい緑色をもつルイをメンバーに加えて互いの心を自己開示をしながらこっそりと練習をし始める…というのが大筋。
評価できないと感じた点:
①どうしても物語に浅さを感じてしまうこと。
この映画の大切な要素として、悪人が登場しないという点がある。
とつ子の優しさや純真さも相まって、劇中を一貫して事件は大きくは起こらず、微笑ましいシーンの数々も私は楽しめたつもりだ。
一方で、物語としてどうしても起伏に欠ける構成とも言えるように感じた。
きみやルイは親には言えない隠し事があるのだが、物語としてはこの要素が弱く、見るものを引き込むには不十分な仕掛けであるように思う。
要は彼らは周囲や親からの期待に迎合出来ないのだ。
それは思春期に誰もが陥りがちな、一種の通過儀礼であり、この映画は現代の若者の、脆くて過敏な彼らの感受性を監督の視点から描いたものだと解釈した。
私はこの理解の上で、やはりストーリーには起伏が必要であったように思う。
上記の通り、穏やかで平坦なところがリアルっぽく感じられるのだが、それにしては台詞回しが芝居がかっていて妙に没入できない。
また、彼らの持つ暗い陰の成分が中途半端にチラつき、穏やかな物語が良さなのを理解した上でも全体がぼんやりしすぎている印象を持った。
②ルイに成分を詰め込みすぎて没入しずらい
バンドの唯一の男性メンバーであるルイに属性を詰め込みすぎではないだろうか。
小さなことに感じられるかもしれないが、かれが演奏する楽器としてテルミンを出す必要はなかったのではと思う。
音楽を大きなテーマとして扱う上で、楽器や音色の持つ意味について、もう少しパリッとしたテーマを打ち出しても良いのかな、と言うのが率直な感想だ。
乱暴な言い方かも知れないが、テルミンの音色は今作に意味をもたらさなかっただけでなく、むしろやや浮いている、ノイズになっているように感じた。
肝心なシーンで弾かれるテルミンが妙に魔が悪く、それなら単純にキーボードのほうが良かったなと思ったシーンが複数ある。
また、ルイ自体が物語上での舞台装置的な立ち位置を持ち、彼の言動が無理に芝居がかっている感じが終始見受けられた点も残念だった。
総じて、話もビジュアルも美しさを感じるが、映画としてはやや散漫出会ったように思う。
私が小賢しく老いたために、本作の良さだけを見つめられず、このように起承転結や小道具の意味を考えてしまっている可能性があるのが少し忌まわしいが、正直な感想として書き残したい。
素敵な青春映画
色について
終盤でトツ子が自分の色を認識した時、どうしてそうなったか分かりませんでした。
もしかしたら、バレエをやりたいけど、上手くできないからと辞めてしまったことに対して、自分のやりたいこと(バレエ)を通すことで分かったということでしょうか。
その理由でいくと、高校生の他の生徒達に色がついてるのは既にやりたいことを見つけてるのかな???
ルイが将来に向けて船旅に出る時、様々な色の紙テープが強調されてたのは、色んな目的で旅立つ人々の想いを色にしたのかもしれません。
映画は最後に歌で締められますが、音楽をやってない自分でも、音楽の良さを感じたり、良い締めくくりを感じることができました。
有難うございました。
美しい映像美と等身大の登場人物
色が見える、不思議な女の子の物語。
物語における、大きな起伏というものがない。そこにあるのは小さな起伏だけ。だけど、それが作品に上手くマッチしていて心を震えさせられました。
誰一人とて悪い人がいない"優しい世界"というものをそう感じました。心穏やかな気持ちで見れて、とても良かったです。
祈り光つづきをもっときかせて
主の元あるいわ聖母マリアの元、運命に導かれて進む物語。大好きな山田尚子×吉田玲子コンビだがキービジュアルに惹かれずあまり期待していなかったのだけど…始まってすぐに“最高かよ”と思った。
人を色で感じ取る不思議少女、讃美歌、聖書の言葉、白猫、古本屋、無邪気な文系美少年、テルミン、島に一つしかない病院、ジゼル、ロザリオ、中退する女子校のミューズ、スノードーム、ろうそくの灯り…それぞれが絡み合って混ざり合って表現されるダンス讃美歌…。
自分たちの大好きな物を詰め込んだスクラップブックのような雑誌オリーブのような作品。
物語でなく感性で心を揺さぶる手腕はいつもながらお見事。二人でしかできない仕事だと思う。
あと、サイエンスSARUもいつもながらあっぱれでした。
色々な青春があっていい
青春を題材にした小説・ドラマ・映画、正直大嫌いです。これらのストーリに共通するのは、決まって、クラスの中心的な人物、友達がたくさんいて、彼女もいる、毎日が充実している、こういう人が主人公になっています。そして、そんないい所ばかりの主人公でも、こんな悩みがあって、こんな所に苦労しています、というストーリーです。
なので、大嫌いです。そんな主人公、どんだけ世の中にいるのでしょうかね?
この映画は、なんと、そんな画一的な青春物語ではないです。主人公の女の子を見てもらうとわかるのですが、見た目も含めて、普通の女の子。友人も少なく、どちらかというと暗い性格。そんな女の子が、思い切って人生を踏み出すことから、物語が進んでいきます。
ただ、どうしても商業的にでしょうか?脇を固める女の子は、かわいい子、男の子はイケメンになっています。まあ、仕方ないですかね。
ありきたりの青春物語が嫌いな方、色々な青春があるんだな、と気づかされる作品です。
共感覚の少女に救われる優しい物語
主人公のトツ子は他人を見ると色がついて見えるという少女。
おそらく、音が色に見えるタイプの共感覚の持ち主。実際に存在する能力です。他人の発する声や音を色として感じているのだと思う。
ただ、トツ子はそれを共感覚などと具体的に考えているわけではなく、ぼんやりと不思議だなぁと受けとめている。ただ、世界をそういうものだと優しくおおらかに受けとめている。
この映画はトツ子の見ている優しく美しい世界を、彼女の目線で描いている。
だから、他のふたりの詳しい背後の設定や、心の中の葛藤は作品中にはあまり描かれていないのだと思う。トツ子はそんな所を見ていないから。
ただ、目の前にいる友達を、ただ、そのまま受けとめている。「きみちゃん(ルイくん)の色はきれい」と。
だから、特に友達の問題を解決しようとはしない。彼女はわかっているのだろう。「きみちゃんの色はきれい」だから「たぶん大丈夫」と。
他のふたりには悩みがあるが、トツ子のありのままを受けとめてくれる優しさに、自然と心が癒されていく。問題は解決したわけでは無いが、受けとめて立ち向かえる様子が最後に描かれる。
旅立つルイくんに向かって叫ぶ、きみの「がんばれー!」は、きみが自分自身にも叫んでいるのだと思う。
同じように今の自分と将来への不安を抱えるルイくんと、ありのままの自分を受けとめてくれるトツ子に出会い、立ち止まっていた自分自身に「がんばれー!」と言える強さを持てたのだろう。
祖母に知られずにどうやって退学できたのか、とか、退学できたとしても田舎町の小さなコミュニティで祖母に隠す事ができるのか、などを言うレビューもあるが、きみの祖母、そしてルイくんの母は彼らの悩みも問題も気付いていた様に見えた。知っていて彼らが話してくれるのを待っていた様に描かれていたと思う。
だから、最後のライブシーンで元気な姿を見て、きみの祖母もルイくんの母も喜んでいたのだと思う。
とても良い作品でした。今年見た映画の中でも一番良かったかも。
カラフル × フュージョン
丁寧に時間をかけて混ざり合い、融け合っていく物語。
きみのルイに対する色の変化は映像には出てこないものの、トツ子の反応から魅力的な色の変化が「視えた」ように思える。また、ルイの男性性と女性性の垣根を感じさせない多孔性ある人柄は「中間色」のように感じた。
物語としては魅力的なのだが、楽曲が少なく、ワンステージで終わってしまうのは少し物足りなかった(せめてアンコール曲が1曲欲しかった)。
また、エンドロール後がおわりでなく、"See you"なのが、ルイの旅立ち(門出)に対する再会を予見させていて、印象的だった。
映画タイトル通り、物語が動き出すタイミングは、きみの色に出会った時から始まるのも象徴的だった。
手のひらを太陽に♪
まず、映画終了10数分前から感じた、「きみの色」ロス感について。
なぜかな?他者への悪口、悪意から組み立てられるありがちな世界観がないところかな?
映画の人間関係の底が、悪意なき穏やかな所にあるという確証が、映画の世界にとどまりたい、終わってほしくないという、率直な気持ちにつながったのかな?
ふつう、映画ってこれでもか?ってくらいいろんな出来事が起こり、結局一度みただけでは消化できず最後には「やっと終った」が、率直な感想になることが多いのに。
ライブもよかった!観客として視聴しているとともに、
不思議なことに、あたかも自分がバンドのメンバーの一員として観客に視聴していただいているような感覚。
もっと何曲も、、、
トツ子はなぜ、聖バレンタイン祭に、そのメンバーとして参加したバンド しろねこ堂 の
お披露目ライブに親を呼ばなかったのかな?
メンバーのきみや、ルイ は、(育ての親的な存在の)おばや、母親を招待したのに。
その対比として、トツ子はなぜ?という疑問が。
逸れますが、私は発〇~です。結婚し、子供がいます。その後、発〇~と判明しました。
診断名は二つあります。うち、多動性~は、一般的に行動の多動を指しますが、思考の多動もあるのでは?と、思います。(ここが、「神の隠れる場所」を、著すことができた胆と睨んでいます)
トツ子は、親との連絡は必要最小限です。バス酔い確定のいろは坂修学旅行を回避するため、体調不良と偽り一人寮に残り、生徒が誰もいない寮に きみ を招きバレて親に連絡しせざるを得なくなり。ここだけです。
逸れますが、私は極力親に連絡したくありません。ここ10年来、実家の心穏やかではない出来事が原因です。実家のことを思い浮かべると、決まって頭が重くなります。
→あの若さで トツ子も?と、気になります。
以上の文面で、私が言いたいことを、なんとなくつかんでいただけましたでしょうか?
、、、トツ子も?って思います。
そもそも人が色で見える、ということは裏返せば、他人に「青、緑」(トツ子のセリフ)、赤など虹色プラスアルファ位、大雑把な差異しか感じることができない、ということでは?
→水彩絵の具で、鮮やかな赤、青、緑など鮮やかな原色を数回混ぜれば、とたんに灰色になります。
ひょっとしてトツ子は、私と同じように他者の複雑な人間関係から生じる複雑な差異を(まるで色を複数回混ぜるととたんに一様に灰色になってしまうように)言葉で表現できないのでは?それは、同時に自身にも降りかかります。私事ですが、自身に人格が薄いと感じています。
音楽も、然り。私は洋楽のエモーショナルなSoulが好きです。
なぜならほぼ歌詞の意味は理解できませんが、歌声、音階そのものにあふれる気持ちが伝わってくるからです。逆に日本語で、こと細かい心情を表現しました的な歌詞は、上記「他者の複雑な人間関係から生じる複雑な差異は、原色を複雑に混ぜるととたんに一様に灰色になってしまうように」その豊かな音色(彩色)とイコールで結ばれる、見合う適切な表現とは感じることができません。
最後に。映画を見た後、「週末批評」様の論説にも触れました。
、、、トツ子の顔は、長崎原爆後の浦上天主堂の被爆マリアのようにも感じられます。
また、山田尚子監督は、京アニ出身とのこと。
大変大雑把なくくりとなりますが、
身近に起こった理不尽な出来事(京アニ事件)を、長崎原爆に重ねることで、
二ーバーの祈り
「変えることのできないものについて、それを受け入れるだけの心の平穏をお与え下さい」
を、引き立てているのかと。
監督自身の心の平穏のために。私を含む、映画を見た方々の心の平穏のために。
少なくとも、みおわってから、私はいつになく穏やかな気持ちが続いています。
善人しかいない映画もいいね
音楽はやっぱり良いですね!!
トツ子の色きみの色
どうしちゃったの?
山田尚子監督作品が好きでやっとのことで鑑賞
映像はホントにキレイ 作品の入りの部分で「色」がストーリー的にどう使われるのか引き込まれる感じ
なのに!その後の人物の扱いが薄い!それぞれに影がある設定なのに全然そこに触れへんやん!色もそれぞれに単色で見えるってだけやん!色の特徴だったり混ざったりとかなんかあるでしょ!
ライブシーンの楽曲は良かったけど変な盛り上がりの表現あるし先生の過去をベッドとセリフ一言だけ入れてそれをライブ見て昇華させるって過去がどれだけの重さか表現がないと気持ち良くはならんわ
各人に設定付けすぎたのかな…全然回収出来なかった感じ
山田尚子監督の作品はキャラクターそれぞれの特徴を丁寧に引き出してそれを表現する演出がすごく上手いって印象だったんやけど…期待が大きすぎたか…
ホントどうしちゃったの?
祝福の物語
私自身、親に黙って部活を退部し、いつバレるかヒヤヒヤしながら高校生活を送っていたことがあったので、問題の深刻さの違いはあれど、きみちゃんに共感しながら映画を見ていました。
好みが分かれる映画だとは思いましたが、私のように誰かに秘密を抱えている人にはドンピシャだと思います。
この映画に登場する人物は大なり小なり、誰かに対して隠し事をしていたり、後ろめたい気持ちを持っていたりします。
そんな全ての不安を、しろねこ堂が祝福に変えていきます。
健全な大人たちに守られながら、光の中で育っていく高校生の青春がとても素晴らしいです。
監督やその他の著名な製作陣のことはよく知らないまま見に行きましたが、序盤から涙が止まらなかったです。
派手さはあまり無いにしろ、清純でロマンチックな色使いの映像や、登場人物たちの感情をそっと修飾するような音楽がとても美しく魅力的です。これは是非とも映画館で見てほしいです。
とても蛇足ですが、私的にはシスター日吉子が最推しです。
青春の幸せな瞬間の数々を存分に味わおう
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