きみの色のレビュー・感想・評価
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祈り光つづきをもっときかせて
主の元あるいわ聖母マリアの元、運命に導かれて進む物語。大好きな山田尚子×吉田玲子コンビだがキービジュアルに惹かれずあまり期待していなかったのだけど…始まってすぐに“最高かよ”と思った。
人を色で感じ取る不思議少女、讃美歌、聖書の言葉、白猫、古本屋、無邪気な文系美少年、テルミン、島に一つしかない病院、ジゼル、ロザリオ、中退する女子校のミューズ、スノードーム、ろうそくの灯り…それぞれが絡み合って混ざり合って表現されるダンス讃美歌…。
自分たちの大好きな物を詰め込んだスクラップブックのような雑誌オリーブのような作品。
物語でなく感性で心を揺さぶる手腕はいつもながらお見事。二人でしかできない仕事だと思う。
あと、サイエンスSARUもいつもながらあっぱれでした。
色々な青春があっていい
青春を題材にした小説・ドラマ・映画、正直大嫌いです。これらのストーリに共通するのは、決まって、クラスの中心的な人物、友達がたくさんいて、彼女もいる、毎日が充実している、こういう人が主人公になっています。そして、そんないい所ばかりの主人公でも、こんな悩みがあって、こんな所に苦労しています、というストーリーです。
なので、大嫌いです。そんな主人公、どんだけ世の中にいるのでしょうかね?
この映画は、なんと、そんな画一的な青春物語ではないです。主人公の女の子を見てもらうとわかるのですが、見た目も含めて、普通の女の子。友人も少なく、どちらかというと暗い性格。そんな女の子が、思い切って人生を踏み出すことから、物語が進んでいきます。
ただ、どうしても商業的にでしょうか?脇を固める女の子は、かわいい子、男の子はイケメンになっています。まあ、仕方ないですかね。
ありきたりの青春物語が嫌いな方、色々な青春があるんだな、と気づかされる作品です。
共感覚の少女に救われる優しい物語
主人公のトツ子は他人を見ると色がついて見えるという少女。
おそらく、音が色に見えるタイプの共感覚の持ち主。実際に存在する能力です。他人の発する声や音を色として感じているのだと思う。
ただ、トツ子はそれを共感覚などと具体的に考えているわけではなく、ぼんやりと不思議だなぁと受けとめている。ただ、世界をそういうものだと優しくおおらかに受けとめている。
この映画はトツ子の見ている優しく美しい世界を、彼女の目線で描いている。
だから、他のふたりの詳しい背後の設定や、心の中の葛藤は作品中にはあまり描かれていないのだと思う。トツ子はそんな所を見ていないから。
ただ、目の前にいる友達を、ただ、そのまま受けとめている。「きみちゃん(ルイくん)の色はきれい」と。
だから、特に友達の問題を解決しようとはしない。彼女はわかっているのだろう。「きみちゃんの色はきれい」だから「たぶん大丈夫」と。
他のふたりには悩みがあるが、トツ子のありのままを受けとめてくれる優しさに、自然と心が癒されていく。問題は解決したわけでは無いが、受けとめて立ち向かえる様子が最後に描かれる。
旅立つルイくんに向かって叫ぶ、きみの「がんばれー!」は、きみが自分自身にも叫んでいるのだと思う。
同じように今の自分と将来への不安を抱えるルイくんと、ありのままの自分を受けとめてくれるトツ子に出会い、立ち止まっていた自分自身に「がんばれー!」と言える強さを持てたのだろう。
祖母に知られずにどうやって退学できたのか、とか、退学できたとしても田舎町の小さなコミュニティで祖母に隠す事ができるのか、などを言うレビューもあるが、きみの祖母、そしてルイくんの母は彼らの悩みも問題も気付いていた様に見えた。知っていて彼らが話してくれるのを待っていた様に描かれていたと思う。
だから、最後のライブシーンで元気な姿を見て、きみの祖母もルイくんの母も喜んでいたのだと思う。
とても良い作品でした。今年見た映画の中でも一番良かったかも。
カラフル × フュージョン
丁寧に時間をかけて混ざり合い、融け合っていく物語。
きみのルイに対する色の変化は映像には出てこないものの、トツ子の反応から魅力的な色の変化が「視えた」ように思える。また、ルイの男性性と女性性の垣根を感じさせない多孔性ある人柄は「中間色」のように感じた。
物語としては魅力的なのだが、楽曲が少なく、ワンステージで終わってしまうのは少し物足りなかった(せめてアンコール曲が1曲欲しかった)。
また、エンドロール後がおわりでなく、"See you"なのが、ルイの旅立ち(門出)に対する再会を予見させていて、印象的だった。
映画タイトル通り、物語が動き出すタイミングは、きみの色に出会った時から始まるのも象徴的だった。
手のひらを太陽に♪
まず、映画終了10数分前から感じた、「きみの色」ロス感について。
なぜかな?他者への悪口、悪意から組み立てられるありがちな世界観がないところかな?
映画の人間関係の底が、悪意なき穏やかな所にあるという確証が、映画の世界にとどまりたい、終わってほしくないという、率直な気持ちにつながったのかな?
ふつう、映画ってこれでもか?ってくらいいろんな出来事が起こり、結局一度みただけでは消化できず最後には「やっと終った」が、率直な感想になることが多いのに。
ライブもよかった!観客として視聴しているとともに、
不思議なことに、あたかも自分がバンドのメンバーの一員として観客に視聴していただいているような感覚。
もっと何曲も、、、
トツ子はなぜ、聖バレンタイン祭に、そのメンバーとして参加したバンド しろねこ堂 の
お披露目ライブに親を呼ばなかったのかな?
メンバーのきみや、ルイ は、(育ての親的な存在の)おばや、母親を招待したのに。
その対比として、トツ子はなぜ?という疑問が。
逸れますが、私は発〇~です。結婚し、子供がいます。その後、発〇~と判明しました。
診断名は二つあります。うち、多動性~は、一般的に行動の多動を指しますが、思考の多動もあるのでは?と、思います。(ここが、「神の隠れる場所」を、著すことができた胆と睨んでいます)
トツ子は、親との連絡は必要最小限です。バス酔い確定のいろは坂修学旅行を回避するため、体調不良と偽り一人寮に残り、生徒が誰もいない寮に きみ を招きバレて親に連絡しせざるを得なくなり。ここだけです。
逸れますが、私は極力親に連絡したくありません。ここ10年来、実家の心穏やかではない出来事が原因です。実家のことを思い浮かべると、決まって頭が重くなります。
→あの若さで トツ子も?と、気になります。
以上の文面で、私が言いたいことを、なんとなくつかんでいただけましたでしょうか?
、、、トツ子も?って思います。
そもそも人が色で見える、ということは裏返せば、他人に「青、緑」(トツ子のセリフ)、赤など虹色プラスアルファ位、大雑把な差異しか感じることができない、ということでは?
→水彩絵の具で、鮮やかな赤、青、緑など鮮やかな原色を数回混ぜれば、とたんに灰色になります。
ひょっとしてトツ子は、私と同じように他者の複雑な人間関係から生じる複雑な差異を(まるで色を複数回混ぜるととたんに一様に灰色になってしまうように)言葉で表現できないのでは?それは、同時に自身にも降りかかります。私事ですが、自身に人格が薄いと感じています。
音楽も、然り。私は洋楽のエモーショナルなSoulが好きです。
なぜならほぼ歌詞の意味は理解できませんが、歌声、音階そのものにあふれる気持ちが伝わってくるからです。逆に日本語で、こと細かい心情を表現しました的な歌詞は、上記「他者の複雑な人間関係から生じる複雑な差異は、原色を複雑に混ぜるととたんに一様に灰色になってしまうように」その豊かな音色(彩色)とイコールで結ばれる、見合う適切な表現とは感じることができません。
最後に。映画を見た後、「週末批評」様の論説にも触れました。
、、、トツ子の顔は、長崎原爆後の浦上天主堂の被爆マリアのようにも感じられます。
また、山田尚子監督は、京アニ出身とのこと。
大変大雑把なくくりとなりますが、
身近に起こった理不尽な出来事(京アニ事件)を、長崎原爆に重ねることで、
二ーバーの祈り
「変えることのできないものについて、それを受け入れるだけの心の平穏をお与え下さい」
を、引き立てているのかと。
監督自身の心の平穏のために。私を含む、映画を見た方々の心の平穏のために。
少なくとも、みおわってから、私はいつになく穏やかな気持ちが続いています。
善人しかいない映画もいいね
決して劇的なことが起こるわけではないし、展開も起伏に飛んでいないし意外性もない。言葉にしちゃうと面白く思えないけれど、ふんわり優しく幸せな世界。エンディングのミスチルの主題歌だけが余計でただただ残念。
Born Slippyやテルミンという意外性も(意外性あった!)個人的にはよかった。
音楽はやっぱり良いですね!!
・音楽をきっかけに人間の繋がり、成長を感じ取れる良い映画です。
・映像が凄く綺麗です。
・最後のライブシーンが最高ですね!!音楽の力は本当に素晴らしいと思います。
・聲の形のファンですが、しっかり現実的で厳しい件もあり、良い監督だと感じます。
トツ子の色きみの色
共感覚(シナスタジア)の存在をこの映画で初めて知りました。トツ子は小さい頃から人の「色」を見ることが出来ます。けどそれはストーリーのメインではなくきっかけです。トツ子ときみの青春と友情は形は変われど誰にでもあったと思います。また他の方も指摘している学園祭のライブシーンがリアリティを追求しているのか歌詞が聴き取りづらいです。東宝MOVIEチャンネルで「水金地火木土天アーメン」の歌詞付映像でチェック出来ます。しろねこ堂の3曲のオリジナルソングがまた映画にあっているんですよね。
どうしちゃったの?
山田尚子監督作品が好きでやっとのことで鑑賞
映像はホントにキレイ 作品の入りの部分で「色」がストーリー的にどう使われるのか引き込まれる感じ
なのに!その後の人物の扱いが薄い!それぞれに影がある設定なのに全然そこに触れへんやん!色もそれぞれに単色で見えるってだけやん!色の特徴だったり混ざったりとかなんかあるでしょ!
ライブシーンの楽曲は良かったけど変な盛り上がりの表現あるし先生の過去をベッドとセリフ一言だけ入れてそれをライブ見て昇華させるって過去がどれだけの重さか表現がないと気持ち良くはならんわ
各人に設定付けすぎたのかな…全然回収出来なかった感じ
山田尚子監督の作品はキャラクターそれぞれの特徴を丁寧に引き出してそれを表現する演出がすごく上手いって印象だったんやけど…期待が大きすぎたか…
ホントどうしちゃったの?
祝福の物語
私自身、親に黙って部活を退部し、いつバレるかヒヤヒヤしながら高校生活を送っていたことがあったので、問題の深刻さの違いはあれど、きみちゃんに共感しながら映画を見ていました。
好みが分かれる映画だとは思いましたが、私のように誰かに秘密を抱えている人にはドンピシャだと思います。
この映画に登場する人物は大なり小なり、誰かに対して隠し事をしていたり、後ろめたい気持ちを持っていたりします。
そんな全ての不安を、しろねこ堂が祝福に変えていきます。
健全な大人たちに守られながら、光の中で育っていく高校生の青春がとても素晴らしいです。
監督やその他の著名な製作陣のことはよく知らないまま見に行きましたが、序盤から涙が止まらなかったです。
派手さはあまり無いにしろ、清純でロマンチックな色使いの映像や、登場人物たちの感情をそっと修飾するような音楽がとても美しく魅力的です。これは是非とも映画館で見てほしいです。
とても蛇足ですが、私的にはシスター日吉子が最推しです。
青春の幸せな瞬間の数々を存分に味わおう
敢えてなのか、派手な騒動に巻き込まれるわけでもなく、劇的な人間関係の変化があるわけでもなく
登場人物の人生の営みに、常に何らかの感情がくすぐられて、ひたすら多幸感に溢れた愛おしい場面が流れ続けていた
ずっと観てたくなるような映画
きめ細やかな感情描写の積み重ねでしっかり感動できるのがすごい
きらら作品じゃないけど、疲れた人にも是非とも観てもらいたい
何も考えずに幸せを浴びても良し、演出の意図を深く追ってみても良し
進化か退化か
主人公の天然少女を中心に、3人がバンドを組む話。
和洋、新古、虚実などかなり幅広く要素を取り合わせているが、効果的と言えるかは疑問である。
しかしタイトルのような如何にも静かなそうな部分だけではなく、実際はもっとアクティブな内容に寄っているので、意外と楽しみやすい作品だろう。
良い点
・尺を冗長にしないカット割り
・料理やら動物の作画
・曲
悪い点
・シスターがどこか怖い
・もう少し深掘りがあっても良いか
その他点
・耳が小さいのは進化か退化か
・所々エロチシズム
・トットちゃん?ジブリ?
・冥王星は無くなっ
この映画を観て思ったこと
儚く淡い青春って感じです。令和のようにSNSでの出会いじゃなかったのはとても良かった。「きみの色」というのは準ヒロインのきみちゃんの事だったんですね。あまり内容も知らずに行ったので名前を聞いて気づきました。トツ子が色を見る事に対して何か意味があるのかなと思って最後まで観たんですがオチが特に無かったです。オリジナル作品の残念な所ですね。仕事でいろいろと疲れていたので、嫌な登場人物がいなかった所、作画の柔らかい感じはとても評価が高いです。まあ、良い意味で現実離れしていたので、変にリアルを追求した作品よりかは引き込まれやすかったですね。実際にカトリック系の学校に通っていたのですが、シスター日吉子みたいな美人なシスターは見た事が無いです笑。あと、とにかく同性が集まるともっとドロドロします。ただ、きみちゃんみたいな子はいるなーって感じでした。可愛いのにあまり生気が無いと言うか覇気が無いと言うか。きみちゃんとトツ子って対極的なんで、まさか憧れていたきみちゃんと親友になるなんて意外でした。ルイくんは大学進学してしまったけど、長期休暇の間に帰って来る事も出来るので何だかんだ音楽を続けていくんだろうなぁと思います。
何も解決してない。それがいい
三人がそれぞれなんとなく悩みを抱えてるんだけどあまり詳細に開示もせず解決もせず、バンドのライブを一度だけ大成功させてからそれぞれ卒業し自分の人生に戻っていくという
理屈っぽさも説教くささもないのに終わってから説明できない情緒に打ちのめされる
山田尚子にしか出せないカラーだなあ
将来や自分のことで悩みはあるけど今はとりあえず目の前の事に全力で取り組もうみたいな青春モノは結構あるけど、大体その成功をきっかけに悩みの解決もなされるのが脚本のお約束みたいになってるところで、
この映画はそういうのがない
ただライブが成功して、普通に人生が続いていく
良いなあ
山田尚子監督らしい映像表現
年頃の女子の、ひとつ歯車が違えば儚く崩れてしまいそうな感覚を、淡い色使いと繊細な間を使って映像化されていました。
キミのキャラクターは特に美しく繊細だったと思います。
内容は過去作のように見終わったあとモヤモヤとBlueな気持ちで退館することなく、日本版「天使にラブソングを」的な要素も交えたハッピーエンド75%といったところで、個人的には好みでした。
ただ、物語の核となるキミの退学動機が今ひとつ飲み込めないのが残念でした。
核がもう少し強ければ★4以上と思いましたが、その点を踏まえて3.5…くらいでしょうか。
水金地火木どってんアーメンは帰りがけの今も耳に残って脳内リピートされています(笑)
言語化できない高校生特有の感情を映像化している
とても感動した。高校時代、悩みや葛藤やコンプレックスに苦しんだ人ほど面白く感じられると思う。
高校時代、他人や今の自分からしたらどうでもいい悩みが、世界平和と同じレベルで壮大だと思っていた。そんな昔を思い出させてくれる作品だと思った。
きみが高校をやめた理由とか、ルイの家庭の事情について明確に描かれていないのがとてもよい。上から目線だが、製作陣は「分かっている」。高校時代の悩みなんて、何か一つの明確なタネがあるわけではない。一つ一つ小さな悩みがあって、それを高校生の繊細な感情が肥大化させているのだ。なので、表面上思考に表れる悩みは、なんとなく学校が嫌いで、なんとなく親が嫌いで、なんとなく進路が不安で、というもの。だからなんとなく高校をサボって、高校をやめて、ルールを破って、勉強じゃないことにチャレンジしてみたりする。そこに明確な理由は存在しない。全部なんとなくだ。だから、親や友人に、なんで悩んでるの?と聞かれても言語化できない。作品で明確な理由の描写を避けたのは、等身大の高校生を表していてとてもいい。
また、高校生特有の勢いがなんとも心地が良い。勢いで、バンド組んじゃえ!音楽作っちゃえ!将来どうなるか分かんないけど、今を生きる!退学した学校でライブ!な感じが最高。高校時代を思い出して、そうだ、そうだったよなととても懐かしくなった。複雑な悩み(高校生レベルだけど)と、勢いで色々周りを顧みずに色々やっちゃう高校生のアホみたいな勢いのよさ。一見矛盾した2つの特徴を持った高校生の生態をよく表している。
また、こうやって高校時代の感情を思い起こさせるだけではなく、そこにキリスト教的な過去との向き合い方を教えてくれるのもとてもいい。
この作品のテーマ、色はとても面白い。普通の人は淡い色だったり、色んな色が混ざった色をしている。しかし、きみとルイ、日吉子は明確な、わかりやすい色を持っている。これは、彼らが明確な自我を持っていて、周りと合わせない(合わせられない)からこんな色をしている。また、トツ子自身の色が見えないのは、自分が何者なのかわからない高校生特有の感情の表現で、終盤自分の色がわかったのは、トツ子自身の成長を描写しているのかなと思う。
なにかわかりやすい事件が起こったりする映画ではないが、こういう繊細な感情を描写する映画はやっぱりいい。短い時間しかない映画だからこそ、繊細で脆い高校生の感情を描けている。これが1クールアニメだったらこうはいかないだろう。ただ、高校時代の思い出に、こういうなんとなくな悩み等がなかった人には、もしかしたら響かないのかも。
ただ、エンディングはそうはならんやろ。
好みがハッキリ分かれる
理屈じゃなくて感覚で楽しめる人は好きなんじゃないかな。画面から伝わる山田監督の優しさは心地良い。マリー脚本ならギスギスさせていただろう。感情を揺さぶるような劇的な展開も無く側から見れば大したことのないウソに悩む(まぁ保護者に内緒で学校黙って退学は出来ないんじゃないかなぁとは思ったけど、せめて不登校にしとけって)、実に思春期。あるあるだよね。しかし、である。ゆったり進むストーリーと言えばきこえは良いが冗長に過ぎるかな。冒頭のモノローグが長すぎて辛かった。色で人を見ることが出来るとかなら日常シーンで表現できただろうし劇場版コナンじゃないんだから(コナンでは必要だけど。アレがなきゃ始まらん)いちいち説明しないで欲しかった。いきなりアクビがでたよ。で結局それがストーリー上必要だったかと言えばノーだし。学園祭で皆が踊り出す時に皆が色づくのかなぁとか思ったんだけど。さらに言うとトツ子は自分の色が見えないって事を悩んでいるようには見えなかったしトツ子自体居なくてもストーリー成立するんだよね、あらら。
私的、この映画を優れたものにしている点とは?
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと今作を非常に面白く観ました!
この映画『きみの色』は、キリスト教系の女子高に通う(共感覚的に)人の色が見える主人公・日暮トツ子(声:鈴川紗由さん)が、作永きみ(声:髙石あかりさん)と影平ルイ(声:木戸大聖さん)に出会って、音楽を通して心を通わせるストーリーです。
この作品は、主人公・日暮トツ子も通っているキリスト教系の女子高を退学していることを祖母に打ち明けられない作永きみや、医者の家を継ぐことを期待されていますが音楽の道に本当は行きたいと思っている影平ルイの、それぞれの孤独が根底に流れています。
私がこの映画『きみの色』が優れていると思われたのが、作永きみや影平ルイの孤独を、意識しないまま主人公・日暮トツ子が救っていると感じた所でした。
象徴的なのが、学校に来なくなったどこかあこがれの存在であった作永きみを、日暮トツ子が街中で探していて、その時に猫の後ろに着いて行って、路地の階段を上がった先にある古書店でアルバイトしている作永きみを見つける場面です。
この場面は、奥まった場所にいる孤独な作永きみを、実は意識しないまま日暮トツ子が見つけ出し、作永きみの孤独の本質に光を当てている象徴的な描写になっていると思われました。
そして孤独な作永きみを救っていることを、トツ子自身は全く気がついていないところに、この映画の素晴らしさがあったように思われます。
主人公・日暮トツ子の存在は、その雰囲気や作った音楽や(学校の廊下で踊るバレエなどの)躍動で、影平ルイなどの孤独も意識せずに救っていたと思われます。
本当であれば、日暮トツ子の(共感覚的に)人の色が見える能力は、世界を救う力と大きく描くことも出来たかもしれません。
しかしそうではなく、あくまで日暮トツ子の人の色が見える能力はさりげなく描かれているのも好感を持ちました。
日暮トツ子は、例えばなぜ幼少期のバレエの風景にこだわっているのかなど、自身の心に対しては曖昧で明確な考えは持っていません。
また映画の最終盤まで、自分自身の色を見ることは出来ていませんでした。
しかしだからこそ、主人公・日暮トツ子の、自身に対する曖昧さや、人の色が見えるという認識と感情の境界の曖昧さは、(退学や、将来の進路などの)物事を分けられて孤独に陥ってる周りの人々を、深層でその人の本質を照らして無意識に救うことになっていたと思われます。
そんな周りの孤独を照らして本質的に無意識に救う主人公・日暮トツ子の存在と、時折語られるシスター日吉子(声:新垣結衣さん)の哲学的な言葉と、日暮トツ子と作永きみと影平ルイが奏でるどこか境界が曖昧だけど力強い電子音楽は、一貫して人々の孤独を救う根源的でさり気ない優しさと深さがあったと思われました。
今作はストーリー的には、学生時代の音楽に関わる話としては他作品でも様々描かれてきている題材で、図抜けた傑作にするには他のストーリー展開も必要だった感想もあるのでこの点数にはなりました。
しかしながら、この映画『きみの色』は、根底に流れる登場人物の孤独と、さり気なくその孤独を意識せずに境界を曖昧にして本質的に救っている主人公・日暮トツ子の存在と、シスター日吉子の哲学的な言葉と、3人が作り出した魅力ある音楽によって、どこまでも心地良く優れた作品になっていると思わされました。
(p.s. 1点だけ不満があるとしたら、最後のキャストスタッフロールに流れる主題歌のMr.Childrenの曲は合っていないとは思われました。
最後に流れる主題歌は実は重要で、3人が奏でるエレクトロ調の音楽を流さないといけなかったと思われます。
この主題歌選択に抵抗が出来なかった山田尚子 監督には責任があると思われますし、安易にMr.Childrenに主題歌を依頼した上層部スタッフ(おそらく川村元気プロデューサー)は本当に罪深いし、Mr.Childrenに対しても失礼だったと、僭越ながら思われました。)
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