いつかの君にもわかることのレビュー・感想・評価
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死を題材にしつつも、その中に生や愛情が詰まっている
余命わずかのシングルファーザーが、この世に一人残される幼い息子のために”新しい親”を探し求める。そう書くと涙なしでは観れない感動モノに思えるが、しかし本作にはこの手のジャンルの定番ともいえる感傷的な音楽や叙情的な演出などの余計な雑味がない。その点、構造的には至極シンプルではあるものの、だからこそカメラは一本一秒を無駄にせず、父親として最期の役目を果たそうとする切実な思いを、これほど丁寧かつ冷静に刻み得ているのだろう。『おみおくりの作法』のパゾリーニ監督らしい視点は今回も健在で、行政サービスや制度を絡めながら、人が避けては通れない死というものをしっかりと見つめる。その探求と考察はいつしか、死を透過して”生や日常を見つめること”にも繋がっていくかのよう。ちなみに父親は窓拭き職人。窓の曇りや汚れを丁寧に除去し、窓を介して人々の暮らしや人生を俯瞰する姿から、彼の心のありようが痛いほど伝わってきた。
宝物
死を受け入れ息子のために前に進もうとする父親の日常を切り取ったような作品で、とても胸を打たれました。 盛ることなく、暗くすることもなく、ただ日常で、だからこそ真実で、その中にただ相手を想う、愛が詰まってて それがいつか終わると知っているから、観ている間ずっと喪失感に怯えていたけれど、だからこそ一緒にいる時間がたまらなく恋しかったです。
『おばあちゃんいつ死ぬの』
子供を残して1年以内に死ぬ者の死生観が分からないので、作品の良し悪しは判断出来ない。しかし、最後の選択は間違っていないような気がする。
やはり、早い内に自分の死に付いては語っておくべだ。
トーベ・ヤンソン先生の小説、
『少女ソフィアの夏』の中に
『おばあちゃんいつ死ぬの』と言う台詞が登場する。この映画にも
『いつ死ぬの』と言う台詞飛び出す。女性は『自分じゃ分からないわ』と言って『ずっと先だと良いなぁ』と繋ぐ。彼はその言葉で決断したんじゃないかなぁ。
ソフィアのおばあちゃんはなんて答えたっけ?質問に気を取られて忘れている。
もう一回読もう!!
子供のために
淡々と進んでいくが、その先には自分の死が待っている。自分の死よりも子どものために日々を送る主人公。色々と考えさせられる話でした。 日本はあまり聞かないが、諸外国は養子制度がきちんとしてるんだなあと。日本人は他人の子を育てるとかしないよね。
実話を基に
重かった、、ずっと悲しい。
息子が赤ちゃんの時母親が蒸発し、父親が3歳まで育てるが父親も病で寿命が近いことを知り、息子を養子に出す話。
養子をとってくれる4家庭くらいと対面して、どの家庭が一番いいかを選ぼうとするが中々決まらない。そりゃそうだよね、、完全にいい家庭があるはずもなく、どの家庭も少しはダメな点がある。
息子には寿命のことも知らず、養子に出されることも知らずに色々な家庭と対面する。父親に「養子ってなに?」「養子やだ」って言うシーンは泣ける。
父親自身も施設・養子育ちであり、タトゥーが入っており窓拭きの掃除を生業としている点で考えると良い育ちでは決してないだろう。最後に、息子が大きくなった時用に「運転免許を取った時に読んで」とか多くの手紙を準備しているシーンが1番泣けた。
終始暗いが、世の中には同じ経験をした人は何人もいるんだろうなぁ、、。珍しく邦題も良かった。
里親を探して・・・‼️
4歳の息子を養うシングルファーザーのジョンは、不治の病を患い、息子のために里親探しに奔走する・・・‼️息子のためを思い、里親を探すも決断できなかったり、寂しさと絶望に打ちひしがれるジョンの心情‼️ツラいです‼️そしてジョンが対面する十数組の里親候補の夫婦の様々な人間性や家族観‼️興味深いです‼️そしてそんな父親を不思議そうに見つめる息子役の俳優さんの無垢な瞳が可愛すぎて印象的‼️
静かで沁みる話だった
静かなシーンと少ない台詞で説明的で無いからこそ行間から愛情や切なさや苦悶が溢れてくる映画でした。
自分が居られない未来に対する決断を下すのなんて難しすぎる。里親の家庭を回るたびに選択肢と可能性が与えられていくけれど、ジョンの内面が言葉にされずに淡々と進んで行く事で見るこちら側もマイケルの未来について一緒に不安や希望を感じて何が一番良い形なのか分からず今以上の幸せが想像できない気持ちになってしまいます。
この先感じるであろう寂しさの支えになるものは何か、将来の幸せは何か、どんな苦しみに会うのだろうか、この決断でどんな喜びを与えられるだろうか、どんなに愛情を注いでも考えても時間が足りずどうしたって向かい合うのが難しい事だから、この終えるための仕事に正面から取組む父の姿に深い愛情を感じずにはいられませんでした。
ひとつの親子を通して見る様々な家庭の姿も、マイケルとの相性は別として幸せで無い家は無かった様に思います。
どんな家庭がベストなのかはわからないけれど、それぞれに幸せの形が出来上がる予感を感じたし、ただそこにジョンが関われない切なさが悲しくその分だけマイケルに幸せになってほしい。
それもあって最初は自分の事は振り替えらずに新しい家族を本物のものとして生きて欲しいと思っていたジョンが、マイケルに事実を伝え思い出ボックスを通して人生に寄り添う決意をしたのが泣けました。
泣いた
言葉でなく表情で語る演技とメッセージが素晴らしく、成長したマイケルの姿を見れない悲しさや自分のことを知らないままでいいと言っていたジョンの心情の変化、マイケルは成長してジョンのことをどのくらい覚えてるのかなとかなんか色々汲み取ってしまって泣いた。
子役の子の演技がリアルすぎて凄かった。
大袈裟なお涙頂戴展開でなくて淡々と辛い現実が過ぎていく魅せ方なのは上手いなぁ。
タイトルなし
悲壮感が漂う流れではなく、淡々とした日常を描きながら、迫る別れに備える姿に胸を突かれた。 最初は、何も残さず、マイケルの人生から消えてしまうような立ち去り方をしようとしていた。 それでも、少しずつ、変わっていく。 最後の選択、なぜかとてもしてしまった。
父の思い
なぜ人生、さまざまで差もあるのだろう。
たくさんの家やビルの窓をきれいにする
窓拭き職人のジョンは、
窓から見える室内に目をみはる時がある。
今も部屋の至るところに散らばって置かれている
オモチャの数に驚いていた。
あのうち一つでも息子マイケルに持たせること
ができたら、と思ってその持ち主の男の子と
たくさんのオモチャを見ていた。
生い立ちは決して幸せというのではなく、
実の親にさえ疎んじられ幼い頃に他人の元で育ち、
腕や喉元ぐらいしか見えないが、身体のどれくらいの割合で広がっているのかと思われる刺青を施している。
若い頃から一人で苦労して時には道を踏み外すこともありながら生きて来たであろう。
妻と思った女性は可愛い筈のわが子をおいて出て行ってしまった。
子煩悩なジョンが幼いわが子を必死に育てて来た
ご褒美がこういうことだとは。
病気ですぐ近い先に自分の命の終末が迫っている。
気になるのは、自分よりわが子だ。
かわいい盛りの男の子。
男手一つで育てて来たが、いい子に育った。
ジョンは、俺の子にしては優秀じゃないか、
と心の内でちょっと自慢したい気もある。
しかし、人前でそんな素振りも見せない。
それどころか、どんな人の前に出ても恥ずかしくない人間に育つようにと礼儀には厳しい。
外見とは非なる繊細な心のジョンはいろいろと
心配してしまう。
病状を知らされた時からソーシャルワーカーに相談していて仕事の合間にマイケルを連れて里親候補と面談。わが子にはどんな人が家庭がふさわしいのだろう、と。また、自分がいいと判断しても、後に間違っていた、となることはないか、とも悩む。できるなら、実の母親に託すのが一番ではないかと迷い、親身に寄り添ってくれているソーシャルワーカーのショーナに相談するがもう手遅れだと断られる。
私もかわいい盛りに置いて出て行ける母親には期待しない方が良いと思った。
条件が見合う希少な候補者から選ばねばならないことを時間があまり残されていないことも含めて知らされる。
マイケルはどうか。保育園に行っても他の子は皆ママが送って来る。パパなのは自分だけ。
パパは優しい。自分を見つめる時の目はとても優しい。パパ大好きだ。絵本を読んでくれる。肩車してアイスも食べさせてくれる。最近、知らない人と会うことがよくある。みんな自分をじっと見つめて来る。その家から帰る時遊ばせて貰ったからとありがとう、と言わないと帰れない。いつも預かって貰う仲良し母子にすねてぐずっていた日、ちゃんと謝るまで帰らせてくれない。
飼うならウサギよりワンちゃんがいい。
最近、パパはしんどそうだ。
広大なグリーンに建つお屋敷の夫婦、
郵便局員で仲良し夫婦、
里子を複数受け入れている大家族、
若い頃の過ちでわが子と生き別れて妊娠できず養子をとりたいと夫と別れたシングルの女性、
どこに託そうか⁉️
だんだん頻繁に酷い頭痛や嘔吐に見舞われるようになる。 マイケルにも見られた。
高窓を拭こうとハシゴを上りかけてやめた。
動けるうちにと、ショーナから言われていた
思い出ボックス🧰に詰める。
マイケルに宛てたその時々の赤い封書、
マイケルの赤ちゃんの頃の母親と写る写真、
さまざまな思い出の詰まった写真、
一緒に作ったケーキに立てた赤いロウソク、
34本立ててマイケルがくれた1本、
母親の手袋、窓拭き器、 を入れた。
マイケルに絵本で "し"を教える。
「身体だけ残るんだ。」心や思いは消えてしまう、と。
以前からの虫やシラミの死で少し知った?マイケル。
「いつ死ぬの。」とも聞いて来た。
少しは理解しているのだろうか?
「ようしはイヤ。」とも。
でも、ジョンは思うのだろう、パパの心や思いが消えてしまってもいつも君のそばにいるよ、と。
退職し仕事と車の引き継ぎ。
だいぶやつれてしまった。
二人で絵本に落書きしたり、
遊園地に行ったりし思い出作り。
最後の力を振り絞りバスで向かった先は、••••
やはりお互いが求め合う相手がふさわしいと
思ったのだろうか。
壷井栄さんの『母のない子と子のない母と』を
思い出した。
、
言葉数の少ない親子の切ない物語。
実話をもとにした話だと最後にあった。
34歳で先が長くないシングルファーザーのジョンと4歳のマイケル。
人生の最大の選択である養子先を探すために、候補の家をそれぞれ訪れて本当に任せられる人を探すという話。
ジョンもマイケルも口数が多くなく、淡々と話が進んでゆく。
自分の命の先が見えてきていることを少しずつマイケルにも伝えていこうという思い、
マイケルの将来はどこに養子にいくのが幸せなのか、
そんなことを通して鑑賞している自分の死・命についても考えさせられる。
意図的に泣かせようとするのではなく、淡々としているのが逆に訴えかけるものをがある。
親愛なるマイケルへ
久しぶりだなマイケル、運転免許試験合格おめでとう、パパのこと覚えておいてくれたかな。部屋の窓の外からいつもマイケルのことを見守っているよ、と言いたいところだけど正直なところどうなるか、死んだ後のことだからパパにもよく分からないんだ。🕯️に🎈、そして🥚に🍇。全部魂や命のメタファーだなんて、幼いお前にはきっと分からなかったのかもしれないな。仕事でいろんな人の家の窓を磨いて来たけれど、いつもマイケルお前が将来お世話になる家を、窓の中を覗きながら探していたような気がするよ。お前は多分知らないけれど、白壁の上に付いた長方形の小さな窓だけはどうしても磨けなかったんだよ。あの時、このまま死んでお前に2度と会えなくなるような気がしたのさ。狭き門に導かれているみたいでさ。里親と肉親の面会は本当は禁止されているんだけれど、もうすぐ死ぬことがわかっていたパパの場合は特別に、お前と一緒にいろんな里親さんの家を回らせてもらったよな。そこでパパが気にかけていたのは、いつもお前が新しいママとパパのことを気に入るかどうかってことだけだったのさ。でもなマイケル、お前に買ってあげたオモチャの黄色いトラック、覚えているかな。すっかり綺麗になっているのにその荷台をいつまでもいつまでも風呂場で洗っていただろ。だから分かったのさ、飴玉を石の代わりに荷台に載せて遊んでくれた彼女のことが、とても気に入っていたってこと。また彼女に遊んで欲しかったんだろ。お前を置いてロシアに帰ってしまったママにどこか似ていたかもしれないな、マイケル。彼女のことをちゃんとママと呼んでいるよな、お前が望んだ彼女なんだから。
愛情
子のために養子先を探す、父と子の物語。ジェームスノートンの淡々とした演技と、子役の演技が素晴らしく本当の親子の様に見える。また子役のセリフは少ないものの、子が目で演技する様は見事で、何となく感じている演技を堂々としている。 題材含め決して楽しい映画ではないものの、決して大袈裟に騒がずひとつひとつ丁寧に描かれている。最後のBOXは将来の子にとって宝物。父の愛情が涙誘う。
切ない、父と子の物語
起伏のないストーリーだけど、退屈することもなく、じっと見入ってしまいました。 控えめな演出によって、過酷な現実が静かに淡々と描かれていく。 子を思う親の愛に胸が痛くなりました。切ない。 見終わったあとに余韻を残す佳作です。 それにしても、大人の俳優がいくらがんばっても、あの子役にはかなわないですね。
2本立て2本目。泣かされる予定だったが私的には期待ハズレ、全く泣け...
2本立て2本目。泣かされる予定だったが私的には期待ハズレ、全く泣けず。評価、高いですねー、私の感覚は世間とは乖離しているようだ。 長々と里親探しの面会が続く。主人公親子の生活に大きな事件があるわけでもない。だいたいこの主人公、ちょいと曲者そう。子どももどうも微妙にかわいくない。素直に応援できない。まぁ個人的に合う、合わないってやつです。 そして主人公はしてはならない最悪の選択をしてしまうのであった(笑)
重いテーマの筈なのだが
人それぞれ背負って生まれてくる運命は違うので 軽々しく人の人生を語れません。 実話に着想を得たこの物語の主人公の悲しみや苦しみは どれほどのものかは自分は想像できないし、わかった気にもならないけど。 主人公がとてもとても苦しんでいることは理解できる。 多くを語らず、余計な描写がない表現がそれを助けてくれる。 作品を観る者の解釈をより広く深いものにしてくれているように思う。 重いテーマの筈なのに何故か 観終わってホッと安堵しているのが不思議な感じです。 たまたまの偶然にこんな素晴らしい作品に出会えて感謝します。 子育てしていた頃を懐かしく思い出させてくれたことにも感謝します。 マイケル君、かわいい。
多くを描かず、多くを伝える。
主人公のジョンは仕事の窓拭きをしながら、見つめる。 色んな人の生活や人生の欠片を。 (それはもうジョンには手に入らない) 33歳で死を宣告されたらジョンのように、 たった4歳のマイケルの里親を探せるだろうか? マイケルはいつか大きくなった日に 父親と里親探しをした日々を少しは記憶に残すだろうか? 説明も最小限。 会話も最小限。 たった95分の中に父親の息子への思いが、ありったけ詰まっている。 マイケルが愛おしい。 (こんな愛おしい生きものを残して逝きたくない!!) “おうちがいい” “ママはどこ?” “ようし“って何? “死ぬとどうなるの?“ マイケルが小さな胸を痛める事柄。 答えるのがとても難しい。 大人になったって、“死の意味“なんか分からない。 マイケルにジョンが遺せるのは、新しい家族だけ。 自分の眼で選んだ最良で最上の里親。 やはり、あの人でしたね。 その人には“愛“が一番感じられたから・・・。
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