「来いムジョルニア!」バイオレント・ナイト バスト・ラーさんの映画レビュー(感想・評価)
来いムジョルニア!
ホームアローン×ダイハードにアイルランドのスパイスを少々
まず屋敷のセットや使用人の衣装が素晴らしい、クリスマスのわくわくが溢れるような素敵な舞台
で繰り広げられる地獄絵図、飛び散る血飛沫、爆散する人体、突き刺さるクリスマスオブジェ、突き刺さるトップスター、突き刺さるキャンディケイン、最高かよ
クリスマスムービーへのオマージュもたくさんあって楽しい、ホームアローンの罠はもちろんスクルージがクリスマスの悲惨な思い出披露するグレムリンネタが最後彼の死因とも繋がっててお気に入り
クリスマスの雰囲気が映画全体を包み込んでいる中でもうひとつ大きな存在感を放っているのがケルトの意匠
サンタが傷口を縫うシーンで円を基調とした特徴的なもようの刺青を見せた直後に古代のヘルメット姿のサンタ、舞台はイギリス、、、
こいつ前世バイキングじゃん!が早い段階で察せられる
後々ハンマーを手にするシーンでも改めて説明され強調されるバイキング設定
ではなぜケルトなのか?一つは子供にプレゼントを配るサンタが強すぎる説明、
もうひとつはケルト神話に由来していると思われる
余談、アイルランドの民話には数多くの妖精物語が存在する、そこに出てくる妖精というのがケルト神話のダーナ神族が信仰されなくなり、供え物もされなくなり縮んで神としての力がなくなった者、という設定がある(余談の余談キリスト教に支配されてからは墮天したけど地獄に行くほど邪悪ではない天使たちというエピソードに塗り替えられていく)
この価値観が根底にあるからそこラスト燃やされた札束を供物とし、ライトストーン家の人々がサンタを信じたことによってサンタが生き返ったとみることも出来る
もちろんそんな予備知識がなくても映画自体の倫理観の中心にトルーディがいるので人が死にまくってもどこか童話のような雰囲気があり、クリスマスの魔法で全てが片付けられるのが成立しているのは素晴らしい、
ちゃんと考えたうえでおバカなのは好感が持てる