波紋のレビュー・感想・評価
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水
あの日から突然、夫がいなくなり、約10年ぶりに癌になり妻の元に夫が戻ってきたお話し
妻の剥き出しの感情が表情で伝わる
川っぺりムコリッタからまた感じの違う映画を撮ったなぁと思っていたが通じるのは人の死かな
そして、ちょい役ムロさん笑
ヒキの絵で、最初わかりずらいが、歩き方でわかる笑
名女優のひとり
主役の
筒井真理子さんの演技がひかる✨
怒り、苦しみ、悲しみ、勝ち誇る感情、嬉しさ、ようやく苦しみから解放されたフラメンコ💃
息子の彼女に対しての息子を取られたような感情には、そこまで敵意剥き出しにする?と思ったが、彼女も彼女で、別れて欲しいと母親に言われて、笑うような嫌な女だと思った。同性に嫌われそうなタイプ
夫が出て行った時に水という宗教にハマり、元凶の夫が亡くなれば、宗教も辞めたんだなぁと。最後の夫の遺骨の祭壇シーンで大きな硝子玉が無くなっていた。もう必要ないと思えたんだろうと解釈。
彼女のこの後の人生が良い日々を過ごせたら良いなぁ
孫産まれて大変だろうけど嫁姑問題。笑
最後はきみ…
って、今、いいましたよねぇ〜?修さん。
こんな文句もあのシチュエーションで耳にしたら、依子でなくとも固まる。
いや、よくそんなことが言えたなぁと言いたい。
夫はあくまでも悪気なく、そのまんま〜な感じで。。。
だからこそ、その一言が2人の終わりを告げたも同然だったのでしょ??
足と頭、頭と足で寝るベッドも、
イビキの爆音で、まどろみも爽やかさもない朝も、気になったらなりっぱなしの食べ方も、家出夫の義父の介護と葬式をひとり担当することになっても…。
更年期の不調を騙し騙し…家庭でも職場でも、なにがあろうと毎日の自分の持ち場をこなしてきた依子。
ないものをあるように
あるものをないように
生きるって
波紋の中をすすむこと?
がんばれちゃうほど
強そうにみえるほど
心に蓋をするのが得意になって
たまには
無視したり遠ざけたりしてもいい波紋まで引き寄せて
休んでいいのに無理にすすもうとして
たいへん
何も気づかないまま逝った棺から転がる夫をみて笑う妻になっちゃった!
それでも話をきいてくれる人を求めてただけましなのかも…とも思う。
だけど、もう水晶も緑水もいらないみたいね。
あれだけ整えていた枯山水の箒目を蹴散らしながらの喪服フラメンコ💃🏻
紅い半衿と裾よけがビビットな依子の今を象徴するような過去の波紋への訣別にみえた。
あとは東京の依子さん、九州の拓哉とたまちゃんが(すっきりした依子といい距離感で)幸せに暮せますようにと祈ってます、私。
ブラックな笑いを散りばめながらも、深刻な波紋の存在が胸に押し寄せる作品でした。
こぢんまり
要介護の父を含む家族を捨てた夫が10年ぶり?に帰ってくるが、末期ガンだと言って居座る。その間に義父を看取り、当時高校生だった息子は大学を出て地方で働いている。主人公は今は怪しい宗教にハマって心の安寧を得ているが、その日常をかき乱されて…というストーリー。
A24映画なら絶対起きるカタストロフィーは、起きません。筒井真理子だけど。
我慢すること、規範に合わせることが生き方の主人公は予想外の事柄に苛立ち、宗教にすがってさらに「我慢・自己犠牲」の道に進もうとするが、パート先で知り合った清掃員に、好き勝手をそそのかされてそうしたら楽しくなってきて…
でも、身の破滅は起きません。
そもそも、稼ぎ頭が失踪しても、宗教に入れあげても、破産もしてない。貧乏にもなってない。(「星の子」はそのあたりどんどん宗教に吸い取られている様が暗示されて、キツイ)
宗教も、本山参りとかそういったイベントも大金を吸い上げられるシステムも(水以外)なさそうで、ユルいサークルみたい。
息子とは恋人のことでもめたけど、葬儀にはきちんと帰省してくるし、嫌みな隣人も嫌な客も「夫が癌なんです」で引き下がる程度の良識ある人間。なので主人公はそれ以上攻撃的にならずに済む。
自由を唆した清掃員も、あおってる途中で入院し彼女が心に傷を負ったただの自分勝手な人ではないと示唆され、主人公の良識で立ち直りかける。決して主人公が破綻するまで導かない。
…というわけで、全体的に小市民のイラッ・クスッが詰まった破綻のないストーリーです。せっかくヤバそうな俳優さん集めてるのに、寸止め感ハンパない。
A24的な、そういうの期待してる人にはちょっと物足りない
緑命水はただのお水?
…波紋
一滴が水面に落ちたとき
周りに輪の様に波打つ模様
思い通りにならない人生
ストレスを抱え
そのストレスも抱えきれずに
宗教にハマり心のより処としている
宗教は
滑稽さもあり異様さも感じる
今さら帰ってきた夫(役立たずの)
の腹立たしさ
息子が何も言わずに
彼女(聾唖者)と結婚すること
何もかも面白くない
本音は…どこ
本音を語るとき
波紋の上に立って
夫や息子そして彼女に
思っていることをブチ切れた様に
・・・話す
依子のストレス解消?
夫が亡くなり息子から
母さん
"昔フラメンコやってたよね"
と言われ
雨の降るなかフラメンコを踊る依子は
…イキイキと力強く踊る顔と
大笑いする顔が
…印象的
キャストの皆さんの
役どころがオモシロい
生き物亀やカマキリがでてくるが
カマキリの揶揄のくだりは
生きものはメスが強い!
最後の夫のことば
"俺はもういいかな"
そんな感じで終わる
依子は・・・カマキリ
シリアス?いやいやコメディ???…⭐︎
荻上直子監督の作品ということでの鑑賞。
「川っぺりムコリッタ」が、自分のテイストではなかったので あまり期待せずに観たが、
今作はとても面白かった。
筒井真理子演じる須藤依子のもとから、三石研の夫が震災の放射能怖さに失踪するという冒頭。
ちょっと唐突ではあるがその後何年かで夫がガンを患い、また突然の帰宅。
その間に依子は、「緑命会」という新興宗教にハマる…まさにハマるという感じで勉強会と称する
集まりで月並みに水とか水晶玉とか買わされている。
その勉強会に集まる面々が、江口のりこ、平岩紙はじめ信者が皆んな同じ目をしているのが、
真実味を帯びていて、怖いような笑えるような…
お祈りの踊り(?)も思わず苦笑してしまうが、それもありそう。
実際、自分もその手の宗教の勧誘を受けたことが何度もあるが本当に皆んな不気味なくらい
幸せそうな悟ったような表情をして声をかけていくる。
途中、何度も歌舞伎の幕間に響く拍子木のような音が場面ごとに鳴り響くがいったいなんだろう?
と思いながら観ていたら、夫が亡くなって、息子役の磯村勇人が葬式に参列後 帰る際に
筒井真理子に「また、昔習っていたフラメンコでもやったら…」という一言でその音が
フラメンコで使うカスタネットの音だったんだとわかる。
ラストシーン、雨の中 カスタネットの音とともにフラメンコを喪服(着物の)で踊る筒井が
素晴らしい。
全てを突き抜けたような爽快感が漂う。
とにかく、これという主役になる役者がいないような感じなのに、出演者が全員上手い。
磯村勇人の彼女役が本当の聾唖者というのも納得。
映画に出ずっぱりの柄本明、安定の木野花、キムラ緑子。
ムロツヨシは、鑑賞中はわからず 後からググってみました。
緑子さんで緑水…(笑)?
文章は苦手なのですが興奮していますので初めて書きます。
You TubeのCMで予告編を一部拝見したときから観たいと思っていた邦画でした。
波紋…。
はじめから最後まで共感ばかり。あるあるある…。
更年期障害は自分はまだなんですが(きっとあれはホットフラッシュ?)、細部まで理解できたつもりです(宗教…、その中での炊き出し、消費期限切れのお水配りでさえ“徳積み”だと洗脳されている感覚)。
冒頭の水道水を使ってのお粥…。
レジのパートでいつものクレーム客。
カマキリ…(うちの父、その虫だいっきらいです笑)。
同僚の、清掃員なのにゴミ屋敷…。
…でも、彼女の存在は大事で息抜きでしたね…。
お部屋掃除したことは徳を積んでいると思いました。
緑水会という新興宗教のお水……、人間…生物はお水が大事ですからそこからの洗脳云々… あるある。
一人息子の彼女、、に酷いこと言ったり…。
そして息子は母親をよくわかっているなぁ、と…。
(それにしても…よく夫をあんなに支えていて偉いと思いましたね!黙ってご飯つくったり…歯ブラシの件はあったとしても)
“切磋琢磨いたしましょう”………。言われなくてもみんなしてるワ!!て思いながら…
石庭、枯山水はとても素敵でした。
ラストシーンの情熱的なフラメンコ!
とてもカッコ良かったです!!
私はフラダンスしか経験がないのですが、ママ友がフラといえばそれら両方を習っているのでステップは生で見たことありましたから、感動しました。そして笑いましたよ!
傘が赤だったので色もシンドラーのリストじゃないけれど赤と黒の対比ですね。
喪服って緋色をあの色に染め、作成するので(私も未だ袖を通してはおりませんが持っているので存じております)、踊っている最中に肌襦袢が赤くなった!?と思いますが私は全く違和感なかったです。
場面展開でフラの手拍子…でしたね。
女性の監督さん。だからか…納得。
とても面白かったですよ!
世の男性たちがこれを見てなにか悔い改めたらな…なんて思ったりします(笑)!!
今帰ってきてYou Tubeで舞台挨拶などをTVから拝見しております。。見ながら書いています。
乱文失礼いたしました。
明日からまた頑張ります。
絶望!!楽しも。
【訂正】
正しくは…
緑命水で、緑命会でした。
誠に失礼いたしました。6/19
🇯🇵ぽい作品
邦画じゃないと味わいにくい作品。
こういうのもたまには良い。
モヤモヤを楽しむという、不思議な作品。
枯山水の庭は素敵だ。
水がないのに水を表す、無いものをあるように
あるものを無いように。
見えてる面が、その人の全てでは無い。
主人公、旦那、同僚、息子、息子のフィアンセ、宗教仲間、
ホームレスの男。。
見えてるものが真実とは限らない。
味のある作品。
妻帯者には頭が痛い
筒井真理子さんが色っぽくて好きで主役は珍しいと思い鑑賞。
筒井真理子さんの演技の素晴らしさが引き立ってます。
顔の表情だけで心情がわかるほど、宗教団体の江口のりこさん、平岩紙さんの宗教団体の信者の演技は流石。
木野花さんも高齢者役をなされるようになったんだと改めて自分でも歳をとったんだと思い知らされた。(ビレッジでも寝たきり老人役されててびっくりしたけど。)
内容は社会問題、特に個人に関わる誰もが当事者になり得る問題をいくつも取り上げていて考え方を改めさせられるられる点や、そうだよな~と納得すること等、うまく描かれていて良かった。
木野花さんが迷惑老人にも計り知れない事情があるかもと言ったシーンとか、3.11で部屋が散らかってしまった時にプツリと何かが切れてしまったとか、高齢者がひとりで抱える問題は表に出てないだけで日本中どこにもあることかもしれないよね。
宗教家が言う教義は最もなことだけれど、宗教に溺れずにそういう思考でみんなが暮せば幸せな社会になるのだろう。
どうしてもひとりで抱え込んで悩み、不満も言えずって状態が最も人間にとって悪いことなんだと思い知らされた。
自分も妻帯者である以上、反省します。
滑稽に生きてこそ人生
常識的な人間かと思えば、裏の顔的なキャラクターしかいない。のが面白い。
普通の夫は突然失踪するし
寝たきりの義父はセクハラするし
普通の主婦は新興宗教にハマってるし
健常者の息子は障碍者の婚約者を選ぶし
清掃員の家はゴミ屋敷だし
近所のジジイはクレーマーだし
隣の家人は猫を放し飼いだし
心の支えの宗教家は怪しい水を売りつけてくるし
ホームレスはムロツヨシ
一見、普通の家族に見えても、親切に見えても本心じゃない。腹の中で考えていることとは違う現実を選択しているから、物語上では殺人事件は起こらない。それが普通。私が生きている世界と何ら変わらない。
普通って一人一人が自己を抑制して初めて社会になっていくのだなぁと感じる。
ただ、とてもストレスが溜まる。
普通にするのって、周りの人間に合わせて働き、にこにこ笑いながら悲しみやイライラを飲み込むためには宗教だったり、お部屋だったり、自分のガス抜きをする必要があったんじゃないか。
主人公、依子が緑命水の教えを盲信している時には夫は生きている。最後、夫が死んで骨になったら、家から水は無くなって、祭壇も跡形もなく、夫の遺骨が置かれている。
つまり、依子にとって宗教は自分のガス抜き、アンガーマネジメントをして、普通の社会を生きていた。
一滴の水〜🎵と宗教で歌うけど、振り付きで3番まであって思わず笑ってしまうけど、歌詞をよくよく聞いてみたら当たり前なことを歌ってて、普通にすることって難しいんだなと、少し悲しくなった。
1人で水面に落ちれば、波紋はどこまでも広がっていくのに、人間と関われば関わるほど、自分の波紋はより大きな波紋に打ち消されてしまう。
波紋は声と置き換えても良いかもしれない。
胸の中に広がる声は関係が近ければ近いほど伝わりやすい。
モノクロで水面の上に立って描かれる波紋のシーンでは、近くにいた息子が、相対する立ち位置に変わり、恋人と同じ位置から母親に波紋をぶつけてくる描写が面白かった。
依子の好き嫌いが玄関の靴の位置で分かるのも面白かった。
映画ではほとんどの場合、主人公に感情移入して物語の世界に没頭して楽しめるのに、普通だと思っていた主人公が新興宗教にハマっているので、感情移入や同調することが難しく、観客も一滴の水と同じ、客観的に波紋を受け取る立ち位置で映画を鑑賞しなければならないのも面白かった。
主人公に感情移入しない、他人の目線であるからこそ、依子が災難に見舞われて奮闘する姿を「滑稽だなぁ。」と達観しながら観ることができた。
半額ジジイに「お客様は神様だろう?」と言われた時に
依子が「夫が癌なんです。神様ならどうにかしてくれますか?」と言って撃退したのが痛快だった。今度やってみようと心のメモに刻んだ。
生きているだけで、人と関わるだけで波紋が生まれ、自分の元に届いてくる。
関係が希薄なはずなのに、自分とは関係ないと思っているのに、ないはずなのにある。
庭の枯山水は自分の心の声を表面化させた形だ。
心理学でも箱庭療法と言う物があるけど、それに近い。
なのに、自分の心の庭にまで隣の家の猫が入ってきたり、夫が踏み荒らしたりする。
最後、棺桶に入って心の庭を渡る時、棺桶を運ぶ葬儀屋が歩道の飛び石をうまく渡れず棺桶が転がる。
依子の心の池に死んだ旦那が転がってる。
でももう、波紋は生まれない。
思わず笑いたくもなる。
怒りをおさめるガス抜きとして利用していた緑命水も入らなくなったところで、自分の元を去る息子から「昔やってたフラメンコでも始めたら?」と言われる。
依子は息子の波紋を受け取り、フラメンコを踊って幕が閉じる。空は天気雨。晴れているのに雨が降っていて、やっぱり普通じゃない。
今までの監督の作品とは違った雰囲気の作品だけど、やっぱり絵面は綺麗で清潔感がある。ゴミ屋敷も片付けるし、丁寧な暮らしぶりが垣間見える。
他の作品ではそれらは清潔感と清涼感を演出してるけど、今作では几帳面で潔癖で息苦しい。
ちょっとバーバー吉野に近い雰囲気だった。
これは何となくだけど、川っぺりムコリッタあたりで監督も身近な誰かを亡くされたんだろうか?
前作から死を意識する作品が続いている。
それとも、そんなお年頃なのか。
ともあれ、更年期の描写を含め、リアリティのあるキャラクターにいつも引き込まれる。
ムロツヨシがひょっこり出てきて、会話するのも良かった。ムロツヨシ出てきた!と思ったけど、一緒に観ていた相方は気づかなかったらしい。
それほどちょい役だった。
ハマる、ハマらないがある映画だと思うけど、私はやっぱり荻上直子監督作品は波紋を受け取れるな、と感じた。
波紋って、自分が黙っている時にしか自分の元に届かないんだな。
自分も声を上げると、相殺してしまうんだ。
波紋を受け取って欲しいなら、相手を黙らせる必要があるんだよな。
と、徒然なるままに考えを書き殴ってしまいましたが、自分の心と向き合える作品です。
是非、劇場でご覧ください。
また、Twitterではイラスト付きレビューを無料で公開しています。「王様のねこ」で検索してください。
Instagramにも同じ記事の掲載あり。Filmarksではフォローしてくださった方はフォローバック100%です。
よろしくお願いします。
スーパーまるおか
ロケ地の一つがここであり、お隣のイオンシネマ高崎では本作の上映がないというのがなんか皮肉めいたものである(苦笑
なかなか救われないし、胸にドスンと来る作品である 更年期障害+義父の介護+東北大地震による原発事故の放射能汚染からの水質問題+夫の突然の失踪&ガンになって帰宅+パート先のカスハラ+息子の聾唖のガールフレンドしかも妊娠+枯山水の庭へ隣の猫の紛れ込み等々・・・ 麻雀は知らないけどこれだけ沢山乗ってくれば相当の点数になるのではないかと驚愕するリアリティダークファンタジー物である
しかもそれを新興宗教に縋るという最悪の心の落ち着かせ手段にしてしまうところに、ますます地獄を繰広げる展開が観客の心を蝕む しかしその中で、職場の清掃員の老婆との交友関係が一筋の糸として主人公を救い上げる部分に安堵する しかし根本的には何一つ変化しない現状に於いて、しかし時間がそのこんがらがった糸を溶かすように、夫がこの世から居なくなる事で、始めて主人公はフラメンコの踊り手宜しく、自由の勝ちどきを挙げたのだろうとラストの演出に納得した ムロツヨシとは気付かなかったが、ホームレスの男のカマキリ話は、真実なんだろうと実感する 最後にオスはメスに喰われる この世はそういう摂理なのであろう
現在の自分も非常に似たような環境なので心底思い知らされる、ピンポイントに刺さる作品である
各邦画を彩るバイプレイヤー達のオールキャストでの演技にも心が掴まれる、本当に心底身の竦むストーリーテリングであった
病床での夫の台詞、「俺、さっさと死ぬわ」は、至極名言である 妻側では憤ると思うのだが、稼がない男は早く幕を降ろすべきなのであろう・・・
それでも『生きていかなきゃあならん』のです
人生は『選択』の繰り返しなのですが、当然「選択する立場」と「選択させられる立場」があります。
後者の場合では相当ストレスがたまってきてその結果、『依存』がはじまります。
主人公は嫁としての立場からか、夫や息子、仕事に家の管理まですべて完璧に対応していました。
ただ或る日の原発事故による『雨粒一粒』によって今までの人生が狂い始めます。
知らぬ間に嫁としての立場に依存する生活を送っており、夫の失踪を機に日常がどんどん崩れさっていきます。そして心の拠りどころを失います
しかし実は内心それを望んでいたのかもしれません。
依存からの脱却として。
自立を目指すように決め、ターンを『選択する立場』にシフトさせたことで人生が好転し始めます。(夫が棺から落ちたのを見て笑うブラックユーモア等)
現実パートは、プールで誰にも邪魔されない大きな波紋を広げて前に進んでいき、心象パートでは多くの雨粒の中フラメンコで門出を祝っているのかなと思いました。
そして自立した女性になった。
映画全体としては「少し長いかな」と思いました。
筒井真理子さんの演技が素晴らしかった。そして美しかった。
彼女を主演にされた事に感謝します。
是非ご夫婦(別々)でご覧ください
とても興味深い家族に関するテーマ。
筒井真理子さんの1人舞台。
台詞がなくても表情と醸しだす雰囲気というか空気感がお見事でした。そしてダメダメおやじぶりが妙にハマっていた光石研さんとのやり取りは、ダブル主演と言ってもいいくらいの出来です。なかなかの『憎みきれないろくでなし』ぶりは特筆ものではないでしょうか?
光石さんのひとつひとつ『やっちまったな!』感に溢れる一挙手一投足に対する心の声を字幕で表現してもよかったんじゃないかと思いました。
まあ1人舞台と書きましたが、周りを固める役者さんたちはひと癖もふた癖もある個性的な方々ばかり。信者のリーダー、キムラ緑子さんの本物と思えるほど自然な佇まい。
江口のりこさん、平岩紙さんなんかは確実に本物です。先週観た『最後まで行く』で見事なハマり役の柄本明さん、磯村勇斗さんも今回は少し抑え気味でしたがやはり映画が引き締まります。(磯村さんは今回いい人でしたが)
障害を持つ息子の恋人に対する対応は少し気が滅入りましたね。
ムロツヨシさん、どこにいたかと思ったらカマキリのホームレスだったんですね?気づきませんでした。
色々な問題を抱えて奔走する家族の重くもクスっと笑えるそれぞれの事件に「フィクションだからいいけど本当ならたまらないよな」って思い、心の底からは笑えませんでした。冒頭のいびきに閉口してよく眠れない筒井さんの表情は決して人ごとではなく身につまされるものがありました。
そして家族を大切にしないと明日は我が身だよなってつくづく反省した次第です。面白かったです。皆さん、ご夫婦で(別々に)ご覧になることお勧めします。
感情を処理しきれなくなると、人間は笑う。
新興宗教に傾倒することで精神的な平静を保とうとする主婦が主人公。十数年前に失踪した夫の突然の帰宅を皮切りに五月雨式に起こる問題によって、主人公は精神的に摩耗していく。主人公のように、やるせなさを感じながらその気持ちに蓋をして日々を生きている現代人は多いのではないだろうか。
主人公の心境の変化に合わせて、場面の切り替わりに挿入されるパルマ(フラメンコの手拍子)のリズムも変わっていくという演出になっているが、視聴中は手拍子とフラメンコが結びつかず、ラストシーンにやや唐突さを感じた。
本作は高齢化、新興宗教、差別など、社会問題をこれでもかと言わんばかりに組み込んだ作品ではあるが、出演者の演技力は高さと(特に新興宗教信者役の女優の表情のつくり方は怖いくらい上手い)、多くの笑える演出によって、重いテーマが軽妙な作風で描かれている。
【”パン、パパン!貴方のした事、無かった事にならないから!”筒井真理子さんの駄目夫を見る氷の如く冷たい眼が恐ろしいブラックシュールコメディ。新興宗教、障碍者差別など重いテーマテンコ盛り作品でもある。】
ー いやあ、”荻上監督どうしちゃったの?”という位、今までと違う作風に吃驚し、筒井真理子さんの駄目夫を見る氷のように怖い目に、身がすくむ様な気分になった作品である。-
■須藤依子(筒井真理子)は、夫、修(三石研)の突然の失踪と、義父の介護のストレスからか新興宗教「緑命会」に傾倒し、漸く心身共に穏やかな生活を送っていた。
失踪から10年以上も経ったある日、修が戻り”癌になった”と言って同居を始める。
夫へのストレスがドンドン増して行く中で、一人息子拓哉(磯村勇斗:最近、この俳優さんを頻繁に映画で目にする。良い俳優さんだもんな。)が聴覚障碍者の彼女を連れて、就職先の九州から出張で帰宅する・・。
◆感想<怖かった所、面白かった所。>
・冒頭、須藤夫婦がベッドで頭の位置を逆にして寝ているシーン。そして夫の鼾が五月蠅くて依子が早朝ベッドを抜け出すシーン。
ー 妻の夫に対する苛苛あるある・・。(我が家ではない!)
1.鼾が五月蠅い
2.加齢臭が臭い
3.とにかく、存在自体が嫌!!
可哀想な、働きバチの夫たち・・。(涙)ー
・で、修はある日、庭の花壇に水をやっている時に、フラリと居なくなる。
ー 後年、拓哉が言った言葉”父さんは原発じゃなくって、母さんから逃げたんだよ!”-
・依子は夫が失踪した後に、新興宗教”緑命会“に傾倒していく。
ー 家中にある緑命水ボトル。どう見ても怪しい水晶玉。庭は枯山水である・・。
そしてキムラ緑子演じる”緑命会“の親玉の掛け声で信者たちは、不思議な踊りを踊るのである。
可笑しくてシュールなシーンである。信者役の平岩紙や江口のりこがグッドキャスティングである。-
・そんな中、修が戻って来て癌治療のために高額なお金を要求してくる。水晶玉に付いていた夫の指の跡。
ー 依子の苛苛MAX!マジで水晶玉で修の頭をカチ割るかと思ったよ。そして、修を”緑命会“に参加させた後、高額点滴のシーンは笑ったなあ。
ポトリと一滴落ちると”10まーん、20まーん”と数える依子の姿。
さらに修の歯ブラシで洗面所を掃除しちゃったり、修の洗濯物に消臭剤を掛けるシーンも怖いが、可笑しい。-
・”緑命会“のホームレスの人達への炊き出しシーンも可笑しい。
ー ムロツヨシ演じるホームレスがやって来て、修に”貴方、前世カマキリの雄ですよ。交尾中にメスに食われちゃう奴。”というシーン。クスクス。修と依子の関係マンマじゃん。-
・一人息子拓哉が聴覚障碍者の彼女を連れて帰宅するシーン。物凄く気まずい雰囲気の食事シーン。
ー で、息子に頼まれ彼女をスカイツリーに連れて行った時に依子が言った言葉。
”息子と別れて下さい。”だが返す刀で彼女がニッコリ笑って言った言葉。
”拓哉さんから言われてます。あの人頭オカシイから別れてくれって言われたら言ってくれって。”-
・何でも”半額にしてくれ”の高圧的オジサン(柄本明)や、息子を亡くしていたお掃除オバサン(木野花)の存在感あるアクセントも良い。
<漸く修が死に、簡素な葬式が済んだ後に焼き場にも行かずに、満面の笑顔で高笑いする依子の姿。(怖いよお・・。)
そして天気雨が降る中、喪服で真っ赤なパラソルをさして、枯山水の庭で、フラメンコを踊るのである。(更に怖いよお・・。)
今作は、主要な俳優さん達の演技が素晴しく、且つ今までの作風をガラリと変えた荻上直子監督のオリジナル脚本が冴えわたる恐ろしくも可笑しき作品である。
家人をもっと大切にしようと思わされた作品でもある・・。>
■補足
・上映中に笑い声を上げていたのは、ほぼ中高齢の女性だったと思う。
私は笑うどころか”大丈夫か?俺の歯ブラシ!大丈夫かオイラの家人(いつも優しいけれど、あれは見せかけか?)などと思いつつ、背中にヒヤッとした感覚を持ってしまった作品である。荻上監督、何か心境の変化があったのでしょうか?
中年男にとっては、ホラーに近い映画でした。
女は母親、主婦という立場から、生きることから何があっても逃げられない
一人息子は大きくなって手がかからなくなったけど、介護しなければいけない人間が一人いるだけでも主婦の生活というのは大変だと思います。
震災で生活の全てが変わってしまっても生活、生きることまで変わる訳ではない。
介護の為におかゆを作るとき水道水を使う依子の姿には、思わずわかるというか、少し共感してしまいます。
旦那が突然、いなくなって戻ってきて、癌治療の為に金を出してくれという頼みには思わず「何を言っているんだ」と普通の人間なら怒って追い出すと思うのですが、それを主人公はしない。
最終的には見捨てず治療費を出すのですが、人は悪にも善にも簡単になれけど見捨てられないのは元、夫だから、そりとも多少の愛情の欠片が残っているのかと考えると妙な気持ちになってしまいます。
生活から、夫という立場から逃げ出した男が生きることに執着する姿は人間なら仕方ないと思うのですが、それが依子にはできない。
夫だけでなく息子も逃げた、しかも戻ってきたと思ったら女を連れて。
普通でない、障害者なら殆どの母親は反対するのは当然だと思うけど多分、息子は分からないというか、理解しようとはしないだろうと思うのだ。
しかも妊娠までしている女は可愛い義理の娘ではなくて母親というたちばなら尚更だ。
宗教に縋って生きる依子の人生には、これでもかというくらい色々な出来事が降りかかってくるのですが、これって現実、自分の身にもあるよなと思うと観ていて複雑です。
旦那が死んで、息子は帰ってしまい一人になった家の中にはがらんとして何もなくなってしまった。
これが自由というなら生きるというのは良いこと悪いこと半々なんて嘘っぱちじゃないかと思ってしまうのです。
でも最期に踊る彼女の姿に、いや、まだ答えを出すのは早いのではと思ってしまうのです。
理解できるところと受入れられないところ
夫が実の親の介護その他から逃げ出した妻の恨みは理解できるし、気にかけてくれた職場の友人への好意、そして結末の踊りの潔さは良いけれど、息子の気持ちとともに、悪徳商法を伴う集団への依存の肯定的態度や、婚約者への態度はいただけない。山田洋次監督作品『息子』とは真反対の姿勢でもあった。初めは外国人かと思ったが、難聴当事者俳優を抜擢していたところは評価できる。夫の逃げ出しと力尽きるところでのホースでの水の流しっ放しが対照的であった。ムロツヨシ氏の出演場面も確認できた。
波紋は色々なところにおこる
平凡な主婦だった。震災で日常が崩れてしまった。
この出来事から、日常は崩れ始めた。
水道水が危ない、夫が自分と息子を捨てて出ていく。息子は遠くの大学に行ってしまう。
気がつくと、1人、宗教によっで心の平穏を保っていた。
そこに夫が癌になって戻ってきた。
波紋は広がる。
息子は軽い障害のある年上の女性を突然連れてきた。
全ての波紋が広がってどうなったかは映画では具体的には語られない。これはこの映画の特徴だった。
そして、全てはクライマックスにつながる。
彼女はこれからどう生きていくのか。最後に波紋の象徴のようだった枯山水を踏み荒らしながら踊る姿は力強さがあり、救われる気持ちだった。
キーワードは「水」。
旦那の修が突然失踪した後に新興宗教にハマリ、騙される妻、依子の話。
失踪したはずの旦那が十数年後にガンを患って戻ってくるが宗教ドハマリ中の依子、息子、息子の彼女を交えた家族のストーリー。
息子役に磯村勇斗君が出演してたのでとりあえず最優先で鑑賞。
依子からしたら十数年たって戻ってきた旦那が鬱陶しい!(笑)
依子には依子の生活がありルーティンが決まってる、ルーティン崩す、宗教から買った大量の「緑名水」を勝手に飲む、隠してある酒を見つけては旦那が飲むんだけど、何か事ある事に依子の顔が「オマエ勝手に飲みやがって」みたいな顔で睨みつけるんだけどこの顔、目が面白い!
あとガン治療に使用する点滴が1本150万するんだけど1滴1滴落ちる度、イヤミのように金額をカウントするんだけど笑えた!(笑)
パート先の仲間から旦那に復讐しちゃえの言葉で旦那が使用する歯ブラシを排水溝掃除に使用し、それを使って歯を磨く旦那の姿を見て笑みを浮かべるんだけど依子の顔がいいのよね!あと緑命会の集まりで必ず歌う宗教の歌が何曲かあるんだけど曲ごとに振りが違うんだけどその振り付けも笑える!
水を出しっぱで失踪するからで始まり、水出しっぱで倒れる旦那、宗教で売られる水を大量購入、最後は大雨に打たれてフラメンコの依子、水で始まり、水で終わる作品って個人的には思いました。
あと最後に私の住んでる所から車で5~10分位の場所がロケ地になってたから驚いた!(笑)
私、周りいた方からも笑いの声がでちゃうくらい笑える作品でした!面白かった!
2011年の東京郊外。 一軒家に暮らす須藤依子(筒井真理子)は、夫...
2011年の東京郊外。
一軒家に暮らす須藤依子(筒井真理子)は、夫の修(光石研)と息子、それに寝たきりの義父との暮らし。
義父の介護は依子がただ一人で行っている。
東日本大震災での原発事故が連日ニュースで報じられるある雨の日、庭に出た修が突如、出奔してしまう。
それから十年あまり。
近くのスーパーで働く依子は、緑命会という水を信仰する新興宗教にのめり込んでいた。
義父は他界し、息子も成人して九州で職を得、依子はひとり暮らしだったた。
そんな中、長らく失踪したままだった修が帰ってくる。
末期近い癌だという。
依子の気持ちはさざ波どころか大波が立ってくる・・・
といったところからはじまる内容で、心の中に沸き立つ波が波紋となって周囲の人間関係も変化させていく。
なんだけれど、どうも腑に落ちないというか合点がいかないというか、依子が新興宗教にのめりこんだ理由がよくわからない。
ま、夫の出奔、ひとりでの義父の介護、まだ成人前の息子の世話などなど、諸々のものが彼女ひとりに降りかかり、心の隙間を突かれたのだろうけど、成人した息子(磯村勇斗)の口からは、「前からヘンだった。父さんは放射能から逃れたかったんじゃなく、あのひと(依子)から逃れたかった」と言うので、わからなくなってしまった。
こうなると、観ている方としてはダメで、映画に乗れなくなってしまった。
新興宗教の地域主任役のキムラ緑子、仲間の江口のりこ、平岩紙の好演、筒井真理子の熱演(ラストのワンカット長回し演技はすごい)はあるものの、なんだかちょっと作りすぎな感じがしないでもないですね。
テイストは、荻上直子監督の前作『川っぺりムコリッタ』に似ているかも。
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