「市川猿之助の抱えた絶望」波紋 himabu117さんの映画レビュー(感想・評価)
市川猿之助の抱えた絶望
映画『波紋』絶望に落ちた主婦のとった道は、この映画を見ると市川猿之助さんと重ねてしまう。猿之助さんの絶望は何だったのか、親の介護の負担が大きかったのではないか、そんな思いが強い。主婦が新興宗教にすがりついたのも大いに納得する。彼女には救いだった
新興宗教に生きがいを見つける妻
夫は、突然すべてを投げ出して出ていった。
残された妻と息子、そして介護の必要な夫の父。
夫は、無責任でいい。
然し残された妻の行く末は。
家のローンは、生活費は、父親の介護は、息子の将来は。
まさに、絶望の縁。
この中で、最も妻を追い込むのは、継父の介護ではないか。
経験したものでないと、この大変さは理解できない。
外からはわからない、介護の絶望
以前努めていた、小規模多機能のホーム。
高級住宅街に住む、ある老婦人。
お屋敷町にすみ、お隣は、有名芸能人の家。
かつて老婦人の乗っていたハーレーが玄関に。
いまは、看護師の娘との二人暮らし。
家は、三階建でエレベーターが。
なに不自由ないと見えるのだが。
老婦人の認知症が進み、ホームのデイサービスを利用することに。
娘が、つくづく語っていた。
「このデイサービスにたどり着かなかったら、多分私は、母を殺してしただろう」
小規模多機能ホームという柔軟性を持った施設が、彼女を救った。
そう、施設につながればいいのだが。
本人が、または連れ合いが納得しないなどなど。
そこに断定はできないが市川猿之助さんの絶望を見ることができる。
何かにすがるということ
そう、すがれるものがあれば、悲劇はさけられる。
介護は、逃げ場がなくなりすがるものがないケースが多々ある。
映画の主婦は、新興宗教に活路を見つけ出した。
誰も彼女を責められないよね。
新興宗教が付け入る要素が、そこにある。
ただ、その方向と程度の問題かな。
多額の献金、おおよそ社会常識とかけ離れた教義などなど。
この映画の予告編で、新興宗教の団体の奇妙な踊り。
そのくらいなら、誰に迷惑かけるわけでもなく。
魂の救済をできなくなった既存の宗教
日本の仏教界、寺院などなど、おおよそ葬式宗教だし。
キリスト教にしても、その活動はまだまだ足りない。
新興宗教は、そこに入り込む。
いかにも簡単な図式だ。
無宗教でも生きてはゆかれる、だけどいつでも人生順風ではない。
信仰は、大事だ。
もう一度信仰について考えたほうがいい。
日本で最も古いキリスト教放送FEBCでも聞いてみたらどうだろうか