怪物のレビュー・感想・評価
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辟易する作品
多角的な視点、物の見方をもつこと
タイトルなし(ネタバレ)
物語全体を包み込むベールがそれぞれの尺度から少しずつ引き剥がされた時、見えて来たのは美しい刹那だった。
少年たちの儚さや脆さの中に宿る、煌めくような人生の瞬間。
奇跡のような怪作。
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坂元裕二が舞台挨拶で、自身の幼少期の実体験に基づくと言っていたが、だとしたら坂元裕二はパトリシアハイスミスでもありルカグァダニーノでもあり、オルコットのようでもある。
今を生きて
怪物は誰なのか
同じストーリーを3つの異なる視点で語る“羅生門スタイル”で描かれた本作は、一つ目の視点で感じた歪さや違和感、気持ちの悪さが次第に明らかになっていくミステリー的な面白さがあるのは勿論、タイトル「怪物」の意味を噛み締める奥深さがあり、なんとも言えない後味の作品でした。
中心となるのは小学5年生の男子2人。このくらいの年齢は思春期の始まりで、自分と人との違いに敏感になる。学校と家庭という狭い世界に閉じ込められ逃げ場のない子どもたちの精神状態は、儚く繊細で計り知れない物であり、大人が見える範囲なんてごく僅かであることを思い知らされました。
また、湊と依里を演じた子役のお二人の演技が本当に素晴らしく、無邪気にじゃれ合う姿は子どもらしくて可愛らしいのに、抱える葛藤や苦しみが垣間見えるときの表情は物凄く大人びて見えてハッとさせられる瞬間が何度もあり、深く印象に残っています。
彼らに大人は何をしてあげられたのか。この作品のそれぞれの大人たちの行動は、間違っていたのか。
答えは分からないけれど、ただ、彼らが笑っていられますように。誰にでも手に入る幸せが、彼らのもとにもあることを願います。
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