怪物のレビュー・感想・評価
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カンヌで賞を取った作品の中では面白い方だと思う。
怪物というタイトルと言い、藪の中スタイルの展開と言い、賞を取りに行ったのだろう。目的は達せられ、結果僕も劇場まで行った。色々突っ込みたい所はあるが脚本はよくできていると思った。2人の主人公の子供たちが遊んでいるシーンは自分が5年生の頃一緒に遊んだ友達の顔を思い出しながら観ていた(僕はマイノリティではないが)。子役は2人とも演技が素晴らしく、星川君役の男の子は本当に可愛らしかった。いつもながら安藤サクラは素晴らしい。そして結末は哀しい。
納得できないのは
ー保利(永山瑛太)は真面なのに何故安藤サクラが学校に来た時あんな対応をしたのか?勿論我々をミスリードするためであろうが無理がある
ー湊は何故あそこまで保利を貶める嘘をついたのか?
ー小学校の教師は酷いのもいるだろうがここまで揃いも揃ってということはないだろう(特に好調は最悪)。少なくとも僕の小学校時代の担任は皆良い先生だった(なので僕は名前を覚えている)
ー父親が酷いのは事実だが星川君が無罪放免???死んだから仕方ないということか?
万引き家族の時も感じたがこの監督は(そして脚本家も)はだいぶ左に偏っている(賞を取るにはその方が良いのだろうが)と思う。
公開当初レビュー観て不安だったけど観に行って良かった
悲しいけど、緩やかに現実で起きている
誰かのことかはネタバレになるので言わないが、当事者の辛さがよく表現されている。それぞれの立場で一面的に嘘をついたり曲解したりすることで、細かな蓄積で特定の人を追いつめることになる。伏線や解釈は1回見ただけではわからなかったので、ユーチューブで解説をたくさん見ている。
コレは、傑作!
前作の万引き家族はドキュメンタリー要素が強く、終始単調に物語が進んで行く。映像も薄暗く、何のどんでん返しも無い為、好き嫌いが明確に分かれる作品だった。
打って変わって、今作の怪物は没入感が凄かった!
同じ時間軸を人物の視点を変えながら繰り返して行き、謎が少しずつ解けて行く。
テンポがいいので、間延びせず見ることができた。
シンママの苦悩、子供社会の残酷さ、教師の闇など現代の世俗とリアルを今回も踏んだんに盛り込んでいる。
また、少しネタバレになるが、
放火犯の匂わせ方やクライマックスの少年達の生死など、解釈を視聴者の想像に委ねるシーンが多々見受けられた。
ここは、好みが分かれるポイントかもしれない。
逆に同性愛は包み隠さないところが、現代っぽさを感じた。
今思えば、カンヌのコンペに出す作品として、世界のジェンダー平等の波に寄り添う意味で意図的に濁さなかったのかもしれない。
ポリコレという言葉がチラついてしまった。
何はともあれ、只の話題作って訳じゃなくて、ちゃんと面白い作品だったので、とても価値のある時間だった。
次回作に期待!
PS :
瑛太が可哀想すぎ泣きます。是非映画館へ足を運んで見て下さい!
心に残る映画=どう生きるべきか考えさせられる映画
単純じゃない話
観終わってみると単純じゃない話で、さすがという印象。
基本、同性としたつるまない小学生が、仲良し、好きとか恋とかよくわからずにこうなってしまうというのはわかる。
そこは、すごくうまく演じられてると思った。
ただ、大きなテーマの
「子供ってすらっと嘘つくし、親であってもわからん時もある」
ということ。これ、小学生だとちょっと無理あるかな。
夜に秘密基地的なところで親に発見されたら、全告白するだろうね。小学生なら。
この2つを両立させるのは難しいけど、バランスとってせめて中2くらいかな。
学校部分は、1幕目のあのやり取りはリアリティに欠けるかな。
ちょっと先生をバカにしすぎ。
1幕目の先生のバカっぽい感じはひどすぎる。
そうであれば、それが2幕で完全に消えてるのがなんともね。
結末は自分で
学校はあそこまで酷くないなとは思う。教員はただの人間だというのはわかるが、学校を守るなんて公立校では無いと思う。教員を守ることはあっても(是非はともかく)。で、親だって正義ではない。大人たちが本当のことを聞くことをしなかったところから広がっちゃったかなと思う。
それ以外については、やっぱり是枝さんという感じ。脚本は時系列が変わるから、本当に伏線回収できてるのか一回ではよくわからないが。
同年齢集団って残酷。でもそれは社会の縮図。自分の気持ちを見極めるにはあまりにも幼い子どもたち。最後のシーンでは涙が。
怒るより励ます母さん良い子が育つ
2023年映画館鑑賞35作品目
6月25日(日)イオンシネマ石巻
ACチケット1000円
監督は『誰も知らない』『花よりもなほ』『空気人形』『そして父になる』『海よりもまだ深く』『三度目の殺人』『万引き家族』『真実』『ベイビー・ブローカー』の是枝裕和
脚本は『世界の中心で、愛をさけぶ』『西遊記』『花束みたいな恋をした』の坂元裕二
音楽担当は坂本龍一で彼の遺作になった
坂元裕二は元々国際的に評価が高く今回の作品で第76回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した
ついでにこの作品はクィア・パルム賞も受賞したがこっちは大いに疑問
カンヌはあまりリスペクトできない
息子が教師に体罰されていることを疑い母親が学校に抗議する話
しかし事実はまるで違った
大雨の日に息子と友達の行方がわからなくなる
あきらかにカンヌを狙いにいった感が否めない
その辺が露骨でいやらしい
とてもじゃないけど星5や星4は与えられない
複数の違う視点で物語が構成されている
その点では『ミセス・ノイズィ』に似ている
麦野早織中心の視点
保利道敏中心の視点
麦野湊中心の視点
どちらかといえば好きなスタイル
『怪物』とはなんなのか
今ひとつはっきりしない
『怪物くん』『となりの怪物くん』『グエムル 漢江の怪物』それははっきりしている
映画のタイトル同様ラストもモヤっとしている
『キャプテンウルトラ』の最終回のようなシュールな展開だ
エンドロールのあと続きがあると思ったが無かった
モヤッといえば校長の孫を轢いたのは校長の夫なのか校長なのか
それもまたはっきりしない
インタビュー記事で好き嫌いをはっきりしているわりに作品は全体的にモヤっとしている
ある意味卑怯だ
学校に押しかける安藤サクラが教師たちと対峙する場面が面白い
特に田中裕子とのやりとり
そのなかでも大先輩の鼻に人差し指を押し付ける衝撃の場面はおかしくてたまらない
あと星川依里役の柊木陽太くんが可愛かった
子役では他に髪型のせいかお高くとまった感がハンパない木田美青役の飯田晴音が印象深い
配役
元ラガーマンの夫を交通事故で失ったシングルマザーの麦野早織に安藤サクラ
体罰疑惑でクビにされる湊と依里の担任教師の保利道敏に永山瑛太
早織の息子で依里と仲が良い麦野湊に黒川想矢
湊の同級生でいじめられっ子の星川依里に柊木陽太
体罰疑惑で離れていく保利の恋人の鈴村広奈に高畑充希
湊と依里が通う小学校の教頭の正田文昭に角田晃広
保利の同僚教師の品川に黒田大輔
湊が前の学年で担任だった神崎に森岡龍
保利の同僚教師で噂好きの八島万里子に北浦愛
湊と依里のクラスメートの木田美青に飯田晴音
早織のママ友の広橋理美に野呂佳代
伏見の夫に中村シユン
依里の父でシングルファーザーの星川清高に中村獅童
湊と依里が通う小学校の校長の伏見真木子に田中裕子
今見るべき作品。
モンスターペアレント、教師のなり手、男女の希薄さ、嘘、DV、いじめ、LGBTQなどを巧みに盛り込んだ傑作。
謎や考察を呼ぶエンディング。前半は、安藤サクラや瑛太の演技にすっかり騙され
後半は主演の男の子のジュブナイルな演技に魅せられ、しっかりと胸に刺さる大人が見るべき作品。
先生が飴舐めるのは、明らかにミスリード。
劇中のテレビでのタレントの扱いのように
本作の内容が映画の中だけの終わってしまうのか?
自分が怪物になるかならないかは、この映画を観た人の今後のモノの見方や行動にかかってくる。
怪物は僕達たちの心なのだ。
遠い少年時代の日々と
「普通」でいること。
この映画を見て、小学生のころ「気持ち悪い」と言われたことを思い出した。
彼も悪気があった訳ではないし、私も傷ついたという訳ではなかった。しかし今でも確かな疎外感が、常に私の根元に存在している。自分と他人とは、なにかが違うのではないかという恐怖。小学生の素直な言葉に、それを突きつけられた気がしたのだ。
彼らもきっと、それを感じたのだろう。
純真な少年達の童話
『罪と罰』
これは大人(少年法の適用範囲にて)が必ずや背負わなければならない規範である。刑法的な見地から。
劇中の大人達はギリギリそれを守り、そして子供は守らない、守る必要がない、そして大人を振り回す。
全く悪気なく。純粋に生きているならなおさら…
この映画は星川君が出てきた段階で初めて作品が2人の物語である事がわかり、それにともない他の方々は一気に後方に下がって状況の構築をするようになっていると思います。なので2人が直接見ていない周りのエピソードは、あっさりと描かれているようです。
今作品で最も気に入ったのは、麦君が星川君に抱きつかれた時の『自分に対する、そうしたかった自分と驚きにより突き放してしまった自分に戸惑う姿』がとても繊細で良かったです。これはやっぱり役者さんとそれを引き出された監督の素晴らしさなのでしょうね。
他の方も触れられていましたがこの作品では、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をうっすらとしのばせてあると思いました。母子家庭であったり、友情をこえた「淡い少年達の恋心」に触れている点や電車の中を星々で飾る、お菓子を分け合うなどです。途中でそう思えたので最後までスッキリと観れました。
ラストはおそらく遺体で発見されているのでしょうが(銀河鉄道の夜では1人だけ)、映画冒頭から何度もでてくる『生まれかわったらどうなるの?』という問いに対し、作品では『2人で仲良く過ごしているんじゃないだろうか』という救いが与えられているだけに、没入して鑑賞されていた方はその熱量をはるかに上回る切なさが一気に押し寄せてくるのだと思いました。
ラストは泣けました。
最近思うのですが、『予告編が作品を台無しにしている』という事です。
この作品でもキービジュアルがバンバン出てくるので閉口しました。
予告編やチラシなどは極力見ないようにしていますが、それって全くの逆効果ですよね。
是枝裕和カンヌプロジェクト第○弾
「カンヌで賞を獲って興行成績をあげる」というポリシーで作られた作品だと思うの。
実際に興行成績はあがるから、狙いは間違ってないね。創り手が唯々諾々とそれに従うのかというところだけど、たまには良いよね。
安藤サクラ視点、永山瑛太視点、麦野湊視点から描かれる羅城門形式なのね。
メインテーマは少年二人の同性愛感情と周囲の無理解だと思うんだけど、これを描くなら安藤サクラ視点と永山瑛太視点は不要なの。
「お前の脳は豚の脳だから」と言う中村獅童の重要度があがって、そこに少年二人、永山瑛太、安藤サクラが絡んでいけば描けるはず。
たぶん最初はそうだったんじゃないかな。
「これじゃ売れない」と考えた誰かが「学校のことなかれ主義も描きつつ」「いっそ羅城門形式で」「みんなでカンヌ獲りましょう!」「パルム・ドール!」と企画会議が盛り上がって決定したのでは。
それを形にする坂元裕二の技巧はすごいね。
ただ無理もあって。安藤サクラが学校に乗り込んだときの永山瑛太の対応が無理あるのね。高畑充希に色々と吹き込まれていたから、それが出たという設定にしてるけど、後の永山瑛太の対応を見るとそのキャラクターに説得感がない。観客をミスリードするために無理な設定になってるの。
田中裕子に「誤って孫を轢き殺した」という無茶な事情を負わせてるんだけど、これがないと学校のいい加減な調査が説明つかないのね。学校に真摯に対応されると問題が大きくならなくて一般大衆受けが疑問だったんだろうな。そんな理由で重い事情を背負わされた田中裕子夫妻は可哀想だったな。挙げ句に唐突に良い話風で「誰かしかなれないのは幸せなんかじゃない」って語らせて浮いたシーンを作っちゃってるし。
坂元裕二の超絶技巧はすごいけど、技巧ってのべつまくなし使うもんじゃないよね。ドラマを描く中で「ここだ」というシーンを効果的にするために用いるはず。この作品では技巧のための技巧になっていて、坂元裕二技巧鑑賞会になってたな。
是枝監督の画は独特なんだよね。少し引いて撮る特徴があるのかと思ったけど良く分からない。それでその画がそこまでうまくないと思うの。スクリーンショットを集めても写真集にはならない感じ。「うまい文章を書こう」と思って書かれた文章を読むと辟易するけど、その感じに似てたな。
普通の作品を創るときは、マイナスになる要素もあるんだけど「カンヌを獲る」と考えたときはプラスに働くんだろうな。実際、脚本賞獲ってるし。
売れるための作品を作ろうと思うと、どこかで「観客はこの程度でしょ」という部分が出るんだけど、この作品はそこを強く感じさせられてしまうので今ひとつでした。
しかし映画館でみたので「賞を穫れば人は来る」はあたってるね。
視点を変えて語られる事実から浮き上がる真実
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