「子供たちのなんと眩しいことよ」怪物 sannemusaさんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちのなんと眩しいことよ
クリックして本文を読む
坂本裕二の脚本がさすが。
藪の中、みたいに
登場人物のいろんな視点からある出来事が描かれ、徐々に真実が明らかになってゆく。
ちょっとした偶然や惰性が重なって取り返しはつかなくなってゆく。
子供たちのなんと眩しいこと。無垢で無邪気でそして残酷。
湊と星川よりくんだけの美しい日々。
いつの世も、真実が正しく語られるには、私たちの世界は複雑すぎるのだと思った。
もし星川よりくんがもっと大切に育てられていたら。
もし湊やその母がセクシャリティに関する広い知識を持って過ごせていたら。
小さなトラブルが起こったあの時、もっと深く立ち入って根本の問題に気づけていたら。。
湊の絶望感や行き詰まり感がわかって、やるせなくて辛い。
ラストシーンはとても美しかった。彼らは晴れた雨上がりの森を駆け回り、笑いあい、幸せそうにじゃれあいながら、かつては入れなかったトンネルへと向かってゆく。
とても切ない終わりだ。
大人たちを置いてけぼりにして、彼らは幸せそうに逝ってしまった。
彼らがとても幸せそうだったのがせめてもの救いであり、大人への罰だ。
コメントする