「違和感」怪物 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
違和感
母親も教師も学校も子供たちも反応が極端過ぎる
死んだ夫を今も愛する良いお母さんの早織(安藤サクラ)、
母親にプレッシャーを感じて、だんだんと話さなくなる息子の湊、
「湊が大人になって、ちゃんと結婚して家庭を持つまで、
「お母さんは頑張る・・・」
その言葉を聞くなり走ってる車のドアを開けて飛び降りる湊、
担任の保利(永山瑛太)の苦情を言いに学校へ行く早織。
玄関で床のガムを削り取っている掃除のおばさん?
と思ったら校長先生(田中裕子)だった。
保利の手が湊の鼻に接触したと主張する学校側。
殴られたと息子から聞いている母親、
その暴力行為の有無の話し合いの話の途中で
飴を口に入れる保利、
違和感が半端ない。
小5の男の子が「大人になって結婚したら?」との言葉を聞いただけで、
自分はゲイだから・・・結婚なんて無理?嫌悪?
それで車から飛び降りる?
そんなにハッキリと、性的嗜好が分かっているだろうか?
(「レディバード」で、ソアーシャ・ローナンが車から飛び降りて
骨折してたな!)
校長が毎日床掃除をしていたら、
「校長!!やめて下さい、・・・」とならないだろうか?
それに65歳過ぎの校長先生って、とっくに定年している筈。
(田中裕子の校長役は怪物そのもので、凄かったが、)
暴力沙汰の本人の教師が父兄と先輩教師に囲まれて、
飴を口に入れる?
この教師が「豚の脳ではないか?」
この映画は3者の視点から描かれている。
1、母親の早織から見た息子・湊への保利の虐待。
2、保利の目から見た湊の真実の姿。
3、港と特別な友達になる星川依理たちの視点。
保利の暴力も星川を虐める友達に苛立った湊が備品や持ち物を
メチャメチャに投げ飛ばしているのを止めた保利先生の手が
偶然、湊の鼻にぶつかって鼻血が出ただけだ。
血が出るほど、耳を引っ張った、
給食を食べるまで帰さない、
「麦野湊の脳は豚の脳」と保利先生に言われた、
この3つの場面は湊の証言の伝言である。
実際の行為のシーンはない。
「豚の脳」発言はそもそもが星川依理の父親の発言で、
「アイツは怪物ですから・・」と言い、
依理を嫌っている父親は依理を遠ざけるために祖母の家へ
預けようとしていて、転校するも知れないのだ。
仲良くなって廃バスを秘密基地にして遊んだり、線路やトンネルを
憧れを持って見つめたり2人は離れられないような密接な関係を築いて行く。
これがカンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞(坂元裕二の脚本)
そして更にLGBTやクィア
(性的マイノリティや既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称))を
扱った映画に贈られるクィア・パルム賞も、ダブルで受賞している。
そして売れっ子プロデューサーの川村元気もこの映画に企画から
参加している。
(川村元気と聞くと、だろうな?と感じる)
坂元裕二と川村元気の企画が先にあって、有名監督の是枝裕和が監督を
依頼されたとの経緯を聞いた。
それで是枝監督らしくない作品なのだな。
違和感と書いたが、確かに力のある作品。
永山瑛太、安藤サクラ、田中裕子の演技は「怪物=モンスター」を
体現している。
クラスの子供たちはリトルモンスター。
保利先生なんかの手に負える子たちではない。
この学級は近々、学級崩壊する予感・・・だし、
心の裏を読めない保利先生は多分教師に向いていない。
そして湊(黒川想矢)と星川(柊木陽太)の演技は小悪魔的に魅力的だった。
2人ともハーフ的中性的な美形。
星川は湊を完全に虜にしている。
2人がどんどん社会の枠組みからはみ出して行くようなラスト。
しかし坂本龍一)のラストを飾るピアノ演奏は煌めき、
何処までも生命感に溢れて輝く未来を予言している。
おはようございます😃
コメントありがとうございます😊
おっしゃる通りですね。
付け加えて、依里君の父親についてはいかがですか。
出番が少ないですが、キャストがキャストだけに一癖ありそうで。
今晩、偶然観ることができました。火事については、怪しいですが、何とも判断つかないです。ラスト、二人は亡くなったかもしれない雰囲気に仕立てているように感じました。校長が運転していましたね。
ネコの火葬?は、湊が自分の水筒で水を汲んで(泥も入り)消しました。ガールズバーのビル火災の件。それと2人の行く末のことについてのお考えをもっと詳しくお書きいただきますと幸いです、
共感コメントありがとうございました😊
琥珀糖さん、鋭い❗️
本作脚本家も監督も意表をつくのが好きそうですから、終わりの方、二人だけの時間が長く、必要無いと思ってました。なるほど、
結局平和?に見せかけての悲劇というオチ、胸糞悪いですね。
再度その辺もしっかりと観ます。
火事は誰だと思いますか?
子供に関しては、おさえるべきところや子供を的確におさえたら、
素直な子たちに直ぐなりそうな面々です。きちんとおさえられていないからです。
飴はビックリですが、退職の原因とはならないでしょう。
こんにちは♪事細かに詳しいレビューをありがとうございました😊
変、変、変、な作品という印象。
飴だけでなく校長室での有り様、
ありそうであり得ないです。もっと真面目に真剣に取り組みます。
全国の教師よ!蜂起せよ!
コメントありがとうございました。
鑑賞記録だけつけておいて、今回が初めてのレビューです。そんなに気合いは入ってませんw
確かに、色々語りたくなる作品は、いい作品ということですね。
琥珀糖さん、こんにちは。
意を決して(笑)、2回目を視聴しました。車からの飛び降りシーン、子ども目線パートでは、依里から電話が来たので飛び降りたという表現になってましたね。
自分も改めてレビューしましたが、やっぱりモヤモヤを表現するものになってしまいました。
琥珀糖さん、はじめまして
共感、コメントありがとうございます。^ ^
映画1,000本以上鑑賞…
レビュー、文章読みごたえありました。
ずいぶん前に「怪物」観ましたが
ストーリーが浮かんできました。
これからもレビュー楽しみにしています。
コメントありがとうございました。琥珀糖さんはラストをどう見るのかな、と待ち遠しかったんですよ。私も死を予感したので、希望があるような演出にして良いんだろうかと思いました。
琥珀糖さんこんにちは。この映画に自分が感じていた違和感を見事に言語化していただいた思いです。ありがとうございました。
元々、坂元裕二は大好きな脚本家で、本作も公開してすぐに劇場に足を運んだのですが、坂元裕二には学校ってこう見えているのかと思ったら、すうっと心が冷えていってしまった覚えがあります。(しかも、カンヌの脚本賞…)
ラストシーンも、2人が亡くなったことを暗示して終わってしまい、湊と校長とでトロンボーンとホルンを吹くシーンに救われた思いだけを持って劇場をあとにしたことを覚えています。
もう配信になっているのかも確認していませんでしたが、このレビューを拝読して、見放題になっていたら確認の意味で、もう一回観てみようと思います。
こんにちは~
本作って伏線、伏線の嵐で、1度の鑑賞だとなかなか理解しにくい部分がかなりあると思うのですが、先日Blu-rayが届き改めて観たんですが、ミナト君が車から飛び降りたのは母親から何かを言われて飛び降りたってよりも、ヨリ君との秘密の列車までに行く途中のトンネルで待ち合わせをしてたんですよね。
夜ミナトがいなくなり…母親にトンネルで見つけられ抱きしめられた時の向こう側にヨリ君が立ってて、後ずさって立ち去ってるんです。
それを車で思い出し、ヨリ君に会いたいで飛び降りたって感じです。私も2回目の鑑賞で分かりました。
何か余計なコメントさーせん(笑)
数日前に観たばかりなので(笑)
にしても、ラストの生、死だけは何か分かりづらいっすね!
私の解釈が間違ってたらごめんなさい。
共感、コメントありがとうございます。
琥珀糖さんのレビューは読みごたえがあるので、他のも読ませていただき、なるほど!と思って共感ポチしました。
順調に1000超え、素晴らしいです✨
「怪物」は、作中に多少引っかかる部分があるのですが、坂本龍一のピアノがあまりに美しくはまり、細かいところが全部どうでもよくなってしまいました。
音楽のチカラを感じました。