「かいぶつだーれだ。」怪物 パンダマンさんの映画レビュー(感想・評価)
かいぶつだーれだ。
子が担任から体罰を受けたと学校に乗り込む母親、その担任の先生、そしてその子供の群像劇。
三人の目線から”かいぶつ”とは何なのかを考えさせられる話。
人間味の全くない対応をされて、隠蔽することしか考えていないような学校に憤慨する母親。
新任で右も左も分からず身に覚えのない体罰を言われ、弁明もできないまま暴走する先生。
クラスでイジメがあるけど立場が危うくなるから何も言えず、しかも誰にも言えない秘密を抱える少年。
多様性という言葉が広く聞くようになった最近。
相互理解が大切だ!と頭では分かるけど、映画を見て、三人のような当事者の立場になったら難しいと思う。無自覚の偏見や差別を抜くのは困難。
観てるときに自分自身が”かいぶつ”になっていたくらいだし。
本当のことを互いに言い合い、理解し合えたたら誰も傷つきはしなかった。
でも言えない空気感。言ったら壊れてしまう信頼や世間体。ほんの少しのすれ違い。それが募りに募って、嵐のような”かいぶつ”となって全てを破壊した。
だから最低限できること。
それは相手の話をフラットに聴き、そして自分の先入観に自覚することだと思った。めっちゃ難しいけど。
ゲーテの言葉で「世の中のいざこざの原因となるのは、奸策や悪意よりも、むしろ誤解や怠慢である」がこの映画にぴったり。
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