「感情が迷子になる」怪物 せつりさんの映画レビュー(感想・評価)
感情が迷子になる
正しい見方をした感想と、抱いてしまった不適切な感情とで上映後1分くらいフリーズしたあと何故か笑ってしまったよ…
自分が泣いているのか、笑っているのか、悲しんでいるのか、はたまた喜んでいるのかもよくわからなくなった…なんやこれ……
「男らしく」「こうしないとモテない」「片親だから」「普通の家庭」っていうステレオタイプの見方考え方って世の中に溢れていて何の気無しに発言したとしても、それがじわじわ誰かを追い詰めていくことって少なくないよなあ、と。
本人は悪気なく発していてもそれがどんどん蓄積されていって、本人の中では人格否定されたことになってしまうんですよね…
保利先生はシングルマザーに関してはちゃんと彼女の前で「うちもそうだけど」って答えていて、やっぱり悪い人じゃないのに流石にあんまりだよ。。。
ちょっと彼氏としてはアレだなってのと、彼女に言われたからって突然飴食べるか?ってのはあるけど、それにしても全てを失いすぎじゃないですか?
保利先生に救いはないんですか!?
ここから先は私の寝言だと思って欲しいんですけど、ショタBLとしてもあまりにも天才すぎました。。。
感情に名前をつけたらいいのかわからない、名前をつけても言えない、どうしたらいいのかわからない、でも側にいて欲しいだなんてちょっとそれは流石に尊すぎませんか。
映画館で苦しみと喜びをミックスしたキモ顔面披露してしまったよ…映画館が暗くてよかった。
そして依里の「僕もそういうことあるよ」の「そういうこと」が「どういうこと」なのか、行間深読みおばさんは気になって夜しか眠れません。
「治った!」からの「嘘」で飛び出してくるシーンは今後道徳の教科書に載ってしまうかもしれませんね(載らない)
ラストシーンはふたりが死んだか生きてるかは大して重要ではなくて、ふたりが生まれ変わることなくそのままのふたりでこれから先も一緒にいられることが大事なのだと思います。
その先が地獄みたいな現実でも死後の世界でも。
ほんと、いろんな見方をしながらいろんな人に感情移入して何回も観たい。
それぞれの視点でこの世界を味わいたい。
反面、辛くてもう二度と観たくないとも思える。
そんな作品。