劇場公開日 2023年7月7日

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「タイトル:天職はいつまでも未完(orange)のまま」散歩屋ケンちゃん 図鑑マニアさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5タイトル:天職はいつまでも未完(orange)のまま

2023年7月13日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

人生も折り返しの近いであろう40代~50代、古来の40代は「不惑」50代は「知命」などと言われたものですが、いやもうそんな古くさいのは辞めて自分の物差しで勝手に生きましょうという現代。その無責任のツケを払わされる子供も居れば、自分は何者にも成れなかったなぁと悩む世代を最近では「思秋期」と呼んだりもするんだそうで。

ケンちゃんを観ていると、そんな世間知を吹っ飛ばしてくれるような明るさに救われる気がしました。そりゃあ悩みもあれば苦衷もある中で、それを笑い飛ばしてヒリヒリするような現実をギリギリ生きている。そのなかで挑戦し続けるケンちゃんを見守る周囲のあたたかさが沁みます。父が子を語り、子が父を語り、それを孫が、曾孫がと続く4代の物語は、百周年を迎えた銚子電鉄さんの応援映画にふさわしいエールと僕は受け取りました。

もちろん、寺井監督や竹本社長の繰り出す駄洒落や小ネタが散りばめられているところも見所の一つですが、鑑賞後の素直な感想としては、ほのぼの観られた映画だったと思います。

「父の背中を見て育つ」「父を越えていけ」「父の背中が小さく見えた」など、とかく『男子たるモノ"偉大(かどうかは人によるが)にして身近な先人"という壁を越えるのが成人の証』などと言われ、「汝、今生で何を成すか?」と問われ続け、未だに見つけられないで居る窮屈極まりない現在40代後半世代からの感想です。
そんな意味で、天職はいつまでも未完のまま(A Lifework Orange)、というサブタイトルもお見事です。

図鑑マニア