「えろいむ」禁じられた遊び ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
えろいむ
「事故物件 恐い間取り」「"それ"がいる森」とギャグ作品を連発して、ゲテモノ好きな自分を楽しませてくれた中田監督の新作。怖い方には微塵も期待せず、ギャグとしてどれだけ楽しめるかなと思い鑑賞。ただ呂布カルマさん原作といういつもとまた違う要素があるので、それがいいエッセンスになって怖くなるのかなというところにほんの少しだけ期待したんですが…。まぁそうもいかず…。
致命的に話が面白くなかったです。交通事故で死んだ母親をエロイムエッサイムという呪文で蘇生させようとする話なんですが、子供に小さな嘘をつくと同僚同士でやましい気持ちを持ってしまっただけの話に特大級の呪が覆い被さるというのが噛み合っていないように思いました。
どうせならギャグに全振りしてくれてたらゲラッゲラ笑えるコメディとして楽しめたんですがそこもなんだか微妙で、足掻いてホラーにしようとしたのにいつも通り芸人採用してるのもあって苦笑しか出てきませんでした。
霊能力もどこかで見たやつをまんまやりますし、
美雪のメンヘラっぷりはエゲツなかったです。桁が違うレベルでそっちの方が怖かったです(途中からは面白くなっていきました)。
直人と比呂子は別に不倫関係とかではなく、これまたメンヘラ上司に詰め寄られていた比呂子は助けた時に、お互いにやましい気持ちを抱えてしまったのを謎察知して、そこから呪い倒すとかいう迷惑甚だしいものでした。美雪の子供をかわいいといっただけであんな顔近づけて威嚇するかね?とか態々誘導してやる事しょうもなくないか?とかで少し楽しめたコメディもくどくて辛いものになっていきました。
美雪母、美雪、春翔と親子3大に渡って受け継がれる生霊の能力もなんだか唐突で、かと言ってそれが起爆剤になるかと言われたらそんな事ないというアンバランスさでした。
憑依するのもなんだか自由で、霊能力者やそのお付きに結果的に取り憑いたのはまだしも、元同僚に取り憑いたきっかけが微塵もなく、その存在さえも察知できるのはいくらなんでも都合が良すぎるよなーと思いました。
最終決戦も全然盛り上がらず、追いかけてきた美雪を列車にぶつけたかと思いきや、春翔が美雪をリスポーンさせてなんかウネウネして春翔もワッハッハ笑っていたら、雷が落ちてきてどっちも燃えまくるとかいう流れるような雑作業には呆れ散らかしました。しかも今度は直人がエロイムエッサイムし始めたのでもーやってらんねーと劇場を飛び出したくなりました。というかエンドロールで美雪の顔をズームアップで映したのち笑わせるのとか見え見えで冷めました。
ファーストサマーウィカさんは「炎上する君」でも思いましたが個性的な役がとてもお上手で、今作の美雪の冷たい視線や冷徹なセリフにはゾクっとさせられました。今作唯一にして最大の収穫でした。
橋本環奈さんはどうにもホラー向けじゃないなとは思いました。何故か引き攣った顔が面白く映ってしまいますし、タバコの持ち方のぎこちなさも見ていてザワザワしました。
長谷川さんはお世辞にも上手ではないんですが、胡散臭さ全開だったのはよかったかなと思います。
「ミンナのウタ」が想像以上の怖さを持っていたと思ったら、こっちはなんとも言えないビビらせ映画でした。これをホラーと名乗るのはあまりにもな気がします。役者に光る部分はありましたが、積極的にオススメはできない作品でした。どうせならクソCGで笑わせてくれれば良かったのに。
鑑賞日 9/12
鑑賞時間 13:35〜15:35
座席 A-1