「これは夏のライダー映画か?」禁じられた遊び 底冷え冬太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
これは夏のライダー映画か?
初日に観ました。原作小説未読です。
【良い点】
橋本環奈さんのお顔が綺麗。
怪人化していく美雪さんのふるふる震える尻。
シソンヌ長谷川さんの「臨兵闘者〜」から退場するまでのくだり。
【よくない点】
ホラーの演技上手い人間ゼロか?
でかい音で驚かすのは一回か二回にして……。
ホラーかと思ったらモンスター映画でした。
本来どんでん返しとして設置されているのであろうギミック(実は息子が怪物でした〜)がまるで機能していない。
【まとめ】
正直、予告で長谷川さんが九字を唱えるシーンに爆笑して観に行ったのは事実です。
なので、まるで期待はせずに観に行きました。
割と序盤で観たかったシーンは観られたので、残りは消化試合的な空気があります。
さて、そんな中でも良かった点のひとつめに挙げた橋本環奈さんのお顔のお話。
ま〜、綺麗な顔してますねこの子。
本当に。顔が綺麗。
ただ綺麗すぎて働いてる描写の説得力がない。OLは無理でしょ。
あとこれは本人の雰囲気なんでしょうが、あまりにも幼い。こどもが頑張ってる感すごい。
「がんばえ〜!プイキュア〜!」じゃないんだけど変に応援する気持ちに変わってしまってホラーを見るテンションになりませんでした。
あともう一人の主演の重岡さんは演技を初めて拝見したんですが、もっと頑張りましょう。
だいぶ観るのがきついです。
……にしても結局この男(伊原)が全部悪いんですよね。
まあ既婚者と分かっていて好きになる女もどうなの、となりますけど。
しかもプレゼントがZippoて。
好きな男のアメスピの箱見て「よし、Zippoを贈ろう!」と思い立つのだいぶイカつくないか。
そんで終盤の小屋のシーン。
良さげなBGM流してるけど、そんないいもんじゃねぇからな!?
結果論的に妻は怪物だったけど、それまでは普通に人間なんだから当たり前に不倫匂わせてんじゃねえよ!? ってなる。ならない? そっかぁ。
多分「禁じられた遊び」ってこのことなんですよね。いわゆる「不貞(未遂)」のことを指してるんだろうな〜、と。
あとはもうお約束すぎる「(シーン)……どじゃーーん!」のこわがらせ方、これは百万回観たやつ。
まあまあホラー映画なんでヨシとしましょう。
ただ使いすぎよ、中田監督。
どうしたのあなた。もうこんなものしか撮れないの?
それとも、与えられた材料が酷すぎてこれが限界なの? それならすこぶる同情する。
大門さんが言った「生者が一番こわい」がテーマなのは分かります。
だからあえて霊的な現象は抑え、何なら最後も怪人化した美雪を悍ましいものとして見せて、見える形で襲わせている。
「ヒトの形をしたナニか」をこわいものとして見せたい意図はわかる。
わかるんだけど……いかんせん何もこわくない。
何でだろう、何でこんなにこわくないんだろ?
演出か、あるいは脚本か、はたまた全部が悪いのか。
ラストは衝撃の事実!!!
……にはならんのよな、残念ながら。
死してなお強力な超能力といえば貞子を思い起こしますが、さらにそれが遺伝によるものだ、じゃあ息子だ!! ってなったとて、まずその能力が出てくるには急拵えすぎるし、そして美雪の母親が教祖でなおかつ超能力者で、さらに信者に害されて……と重要でないのに重要なもののように出てくる情報がノイズでしかない。
で、結局、何なの? それといまの事態に何の関係が? と繋がりの希薄さが目立つ。
終盤に色々詰め込んだせいで場面と現象をツギハギにしてくっつけただけの2時間になってしまっている。
「来る」のような純粋ねホラーでありつつもエンターテインメントとして振り切れていたなら良かったのかもしれませんが、主人公のひとり伊原がただ狼狽し取り乱すだけの役だったので残念です。
そして息子の超能力のシーン、もしかしたら大友克洋の「童夢」のパロディなのかなとも思うが、絵面が弱すぎてそう言うにはあまりにも烏滸がましい。
(奇しくも、最近でいえば「イノセンツ」も童夢をオマージュしてましたね。)
どうやって終わらせるのかなと思ったら、まさかの落雷。
アメコミヒーロー映画での「この強い敵どうやって倒すのかな」→はい自然の脅威どーん! みたいな感じ。
そんで目の前で息子を失い、おかしくなった伊原は土から息子を蘇らせようと呪文を唱えて……終幕。
これ、何でだろうね?
だって美雪の復活は息子のハルトによるものであり、またハルトの能力は美雪の血から受け継いだもの。
であれば、伊原自身には能力があるはずもなく、ハルトは独自で蘇生する能力を持っていることになる。
劇中で死から甦った生者に関する言及があったため、能力が強まって美雪やその母にはなかった力がハルトの中に開花しているということかしら?
……サイヤ人かな??
売れれば貞子や伽倻子(と敏雄)のようにキャラクター化してシリーズ化することも考えられているのだろうなという意図が見えて……なんだかな。
とにかく、これはホラー映画ではないですね。
モンスター映画でもないし、何でしょうね?
あえて言うなら、仮面ライダーの怪人が出てくる映画?
ありきたりで陳腐な演出、納得感の薄い様々な描写、使わなければいけない使えない役者、どうしたって面白くならない脚本。
考えうる限り、つまらないものが確実に産み出されることが確定していた、いつものジャパニーズホラーです。
橋本環奈さんのファン、重岡大毅さんのファン……そういった目的がなければなかなか観るのがきつい映画でした。
個人的には冒頭にも書きましたが、長谷川さんのくだりは笑えたので好きでした。
ずっとあんなノリ(霊能力者が次々に登場して敗北していく)ならくだらないながらも面白く仕上がったと思うんですけどね。
それ「来る」じゃん。