メグレと若い女の死

劇場公開日:2023年3月17日

メグレと若い女の死

解説・あらすじ

フランスの名匠パトリス・ルコントが8年ぶりに長編映画のメガホンをとり、代表作「仕立て屋の恋」の原作者ジョルジュ・シムノンのミステリー小説を映画化。

1953年。パリ・モンマルトルのバンティミーユ広場で、シルクのイブニングドレスを着た若い女性の遺体が発見される。真っ赤な血で染まったドレスには5カ所の刺し傷があった。捜査に乗り出したメグレ警視は、その遺体を見て複雑な事件になると直感する。遺体の周囲に被害者を特定できるものはなく、手がかりとなるのは若い女性には不釣り合いなほど高級なドレスのみ。被害者の素性とその生涯を探るうちに、メグレ警視は異常なほどこの事件にのめり込んでいく。

名優ジェラール・ドパルデューがメグレ警視を演じ、「タイピスト!」のメラニー・ベルニエ、「パリ、テキサス」のオーロール・クレマン、「ともしび」のアンドレ・ウィルムが共演。

2022年製作/89分/G/フランス
原題または英題:Maigret
配給:アンプラグド
劇場公開日:2023年3月17日

スタッフ・キャスト

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(C)2021 CINE-@ F COMME FILM SND SCOPE PICTURES.

映画レビュー

3.5 【今作は、渋くて、重厚で、名優ジェラール・ドパルデューが演じる切ないメグレ警視映画である。原作は沢山有るのだから、パトリス・ルコント監督、シリーズ化してくれないかなあ。】

2025年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■ある日、モンマルトルのヴァンティミーユ広場で、イブニングドレスを着た若い女性の刺殺体が発見される。
 血で真っ赤に染まったドレスには5カ所の刺し傷があり、この事件の捜査を依頼されたメグレ警視(ジェラール・ドパルデュー)は、身長180センチ、体重100キロの巨体をゆっくりと動かし事件に乗り出すのであった。

◆感想<Caution!内容に触れているかな?>

・フライヤーにもある通り、ジェラール・ドパルデューは、ジュルジュ・ジムノン原作のメグレ警視の設定と体格が酷似している。
 そして、今作ではメグレ警視は、走らない、殴らない、拳銃を撃たないという”安楽椅子探偵”程ではないが、静に捜査を進めるのである。

・では、面白くないかというとそんなことはない。劇中で台詞で出るメグレ警視には娘が居たが亡くなっており、今は料理上手の夫人と静な二人暮らしであるが、ジェラール・ドパルデューの仕草は、何処か哀愁を帯びているのである。
 そして、娘の仇を打つが如く、静に犯人を追い詰めていくのである。

・捜査に協力する、パリに憧れて上京したベティを演じるジャド・ラベストも美人だが、何処かに哀愁を漂わせつつ、金持ち母子を追い詰める重要なシーンを演じるのである。

<今作は、渋くて、重厚で、名優ジェラール・ドパルデューが演じる切ないメグレ警視映画である。原作は沢山有るのだから、パトリス・ルコント監督、シリーズ化してくれないかなあ。>

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NOBU

3.5 さまよう心、メグレの旅

2025年6月17日
PCから投稿

‘50年初頭のパリ
色調は何処かぼんやり
思い出の中のようだ。

そこに殺人事件を追う
メグレ警視がいる。

派手な謎解きも
凝った仕組みも無い。
有るのは街の空気感
揺れ動く娘らの感情
メグレ警視は思案する。

事件を追いながら
彼の引きずる何か
失った何かが浮ぶ
重ねるものの姿がある。

短編小説の様な
過ぎ去る物語。

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星組

4.5 余韻が深い作品

2025年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

なかなか面白いフランス作品だった。
解説にあの「仕立て屋の恋」の小説家と監督の作品と知って納得した。
語られない背景こそ、この物語の原動力。
メグレ警視
後半で彼の妻がベティに「娘がいた」ことを明かす。
そして冒頭に検視官と話すメグレ
彼が医師として有能になれたのに突然警察官に転身したことが語られる。
これは、この時メグレが事件によって娘を亡くしたからだと思った。
フランスの歴史では女性は常に虐げられていた。
特権階級とその他市民という二分化は、第二次大戦後の復興期にブルジョワジーと工業労働者の二分化になった。
その色が濃い時代を背景に描いたのがこの作品だろうか。
かつての警察はブルジョワジーのための警察であり、労働階級者の事件はテキトーに片づけられていたのだろう。
メグレが真剣になって捜査する理由が、似たように娘を失ったことであり、また似たような娘が同じようにむごい殺され方をしたからだろう。
彼の執念は終わらないのかもしれない。
メグレは最後に一人静に映画館で映画を見る。
ブルジョワ層のパーティ そこに紛れ込んでみたものの一人佇んでいる女性は、ルイーズでありベティであり、そして自分の娘だったのだろう。
親として、娘の幸せを願わない者はいない。
人間としては些細な階級の差で苦悩する娘たちがいる。
少しでもいい生活やお金持ちと仲良くなりたい。
そんな娘を罠にかける連中がいる。
あのブルジョワの母親も、息子に幸せになって欲しいのは同じはずだ。
しかしながら貧富の差が社会の基盤となってしまい、警察の捜査すらそれが基準になってしまっている。
貧困という問題があっても、娘たちはパリを目指して活躍の舞台を探す。
ところがパリはそんな娘たちを罠にかけようとする輩がいる。
あの婚約者二人の性癖こそルイーズの死因
メグレの推理とベティに潜在捜査を依頼したことは、結果的に犯罪者をあぶりだすことができたが、メグレには様々なことが頭をよぎったのだろう。
事件捜査によって娘を思い出してしまったことが、当時娘が考えていたであろう映画作品を見に行かせたのかもしれない。
映画の中で佇む娘
いったい彼女は何を考えていたのか?
自分の娘はあの時、いったい何を考えていたのか?
これこそメグレが思いを馳せていたことだったに違いない。
事件で犠牲者が発生する。
その際、その夢や希望を持っていた彼女たちの無念を少しでも晴らしたいと思っているのがメグレだろう。
その時代背景と彼の想いという余韻がこの作品の最大の魅力だろう。

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R41

3.5 野良犬‼️

2024年3月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

怖い

知的

ジョルジュ・シムノン原作の映画化作品というと「マンハッタンの哀愁」、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「モンパルナスの夜」が印象に残ってるくらいですか⁉️黒澤明監督がジョルジュ・シムノンばりの犯罪モノを目指して傑作「野良犬」を製作したというエピソードが一番印象に残ってる‼️今作もジェラール・ドパルデュー扮するメグレ警視が若い女性の殺人事件を追う過程を、聞き込みを中心とした地味な展開で淡々と描く‼️犯罪捜査というよりは会話劇としての面白さはあるので、飽きる事はありませんが、犯人解明も含めてもうチョット起伏がある展開にしてもよかったかなと思います‼️

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