劇場公開日 2023年11月3日

「映画館の無い離島在住なので(ぶっちゃけ小笠原の父島です)気になる映...」ゴジラ-1.0 けろざさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画館の無い離島在住なので(ぶっちゃけ小笠原の父島です)気になる映...

2024年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

映画館の無い離島在住なので(ぶっちゃけ小笠原の父島です)気になる映画を公開初日に観るなんてことはほぼゼロに近い生活を三十数年送ってきましたが、息子の高校進学の準備でたまたま上京していたので、この作品に限っては公開初日に観るという幸運に恵まれました。
離島とは言え、ネットの環境はかなりしっかり整っているので、山崎貴監督がゴジラを撮ったという情報は得ていましたし、粗筋も大体分かっていました。三丁目の夕日シリーズでの昭和の描写、アルキメデスの大戦で大和戦闘シーンなどが素晴らしいものでしたので期待も膨らみました。幸いにも、と言ったら語弊があるかも知れませんが、私は山崎監督が評価を落としていた幾つかの作品は、元々興味が無かったので観ておりません。なので少なくとも私の中では山崎監督への信頼度は相当高いものがありまして、期待値もかなりのものでした。
しかし、この「期待値」がかなりの曲者で、本作の時代設定から色々な妄想を膨らませてしまいました。長年ゴジラファンをやっていると、自分だけのゴジラ像が出来上がってしまい、自分だけが理想とする設定やストーリーが出来上がってしまいます。
今回、私の中では日本帝国海軍連合艦隊とゴジラが激闘を繰り広げ、「大和対ゴジラ」や「海底軍艦対ゴジラ」の映像化が妄想的な理想と化しておりました。海底軍艦の登場も公開当日まで伏せられて、実は役所広司さんがサプライズ出演で神宮寺大佐を演じるとか、今にして思えば破茶滅茶な妄想を膨らませていたのでございます。当然、時代考証はメチャクチャになりますが、そこは元々ファンタジー映画ですから力技でなんとかしてくれるんじゃないかと実に都合のいい解釈をしつつ。
そんな大盤振る舞いな妄想的期待を持って初日の劇場に足を運んだものですから、実際の作品を拝見して物足らなさを感じてしまいました。戦艦との戦いは有ったにはあったけど尺が短いとか、ウジウジして腰抜けな敷島には非常にイライラしたとか、敷島が気絶する回数が多すぎるとか、ゴジラが脆いとか、ゴジラが波動砲並みの光線をぶっ放すまでの時間がシーンによって違い過ぎるとといった不満点が少なく無く、観終わった直後の満足感はシン・ゴジラには及びませんでした。
ちなみに一緒に観た当時まだ中学生だった息子は、最近見た映画では一番面白かったと言っていました。
私も幾つかの不満は残ったものの、何かが後を引いており、すっきりしない感覚にとらわれていましたので、数日空けて今度は一人で見に行きました。
するとどうでしょう。二度目という事で身勝手な妄想で作り上げた期待値が払拭された純粋な気持ちでの鑑賞となった事で、ようやく本作の良さがストレートに伝わって来ました。なんと一度目よりも二度目の方が泣けてしまったのです。まさかゴジラ映画で肩を震わせるくらいに泣く日が来るとは思いませんでした。劇場内でも他に泣いている人は少なく無かったようです。少なくとも場内のあっちこっちからハナをすする音がずっと聞こえていたのは確かです。
大和も轟天も役所広司の神宮寺大佐もいないけど、この作品はそれで良かったのです。
そしてあらためてこの手の作品は、映画館で大スクリーン、大音響で見る事で真価が分かることも実感しました。後にディスクでも本作を観ましたが、テレビの画面サイズや音の迫力では比較にすらなりませんでした。届くのを楽しみにしていたディスクでしたが、かえって鬱憤を溜める事となり、その2日後、TOHOシネマズ日比谷に足を運んで口直しをして来ました。(息子の受験の成功により、新年度から都内に移住しています。)
この映画はゴジラに全く思い入れが無い人でも十分楽しめる娯楽映画に仕上がっていると思いますが、良い設備の劇場で、二回以上観てこそ、この作品の真価に迫れると思います。
なので、ディスクや配信でしか観ていない人や、まだ一度しか観ていない人、ましてや映画の一部しか観てない人のレビューなど信用するに足ら無いと思うのです。そんなんで批判レビューを書か無いないで欲しいですわ。💢

さて、そこまで絶賛する私なのに何故満点を付けないかと言えば、肝心要のゴジラのデザインに不満が残るからです。最も気になるのは口が小さく見える口角のヒダと、やけにちっこい眼。近年のゴジラの口には皆アレがありますが、口が狭く見えるアレは私はどうも好かんです。あと眼。パンフレットをご覧になれば分かりますが、山崎監督は睨みを効かせた半月状の眼にするつもりだったのが、何度伝えても現場が受け入れてくれなかったとの旨を語っています。温厚な性格の山崎監督ですから、まあ良いかと諦めたようですが、ここは監督の権限で半月状の睨みを効かせた眼で押し切って欲しかった。実際のデザイン画がパンフにも載ってますが、ハッキリ言ってそっちのゴジラの方が映像化されたものよりカッコイイのですから困ります。何で監督の指示通りにしてくれないの?何様なの?
山崎監督のデザインが忠実に再現されていたら、私にとって歴代で最も好きなゴジラになっていたかも知れません。そう思うとつくづく残念な思いに包まれるので、どーしても満点には出来ませんでした。
皆さんもパンフレットを是非ご覧ください。

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けろざ