劇場公開日 2023年11月3日

「普通に良かったです」ゴジラ-1.0 ギャツビーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0普通に良かったです

2024年2月28日
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鑑賞方法:映画館

・結論から言うと自分はまあ最高とは言えないですが、普通に楽しめました。
映像的には迫力がありましたし、日本でもこういうCGを多用したパニック映画がそれなり以上のクオリティで製作できるようになったのだなという進歩を感じました。日本映画界に足りないのは健全な労働環境と潤沢な予算ですね。そこは戦時中と重なる所がありますね。。。
ストーリーや人物描写も良かったと思います。昭和という時代を今の役者さんや価値観で表現するのは大変だと思いますが、個人的には昭和に寄せ過ぎなくて良かったと思います。
今ではYouTubeやXやヤフコメを見るとネトウヨ的な価値観のコメントが多く見受けられます。戦前の日本は、そういう一部の人からすると「美しい国」だったようですが、それはあくまで彼らの妄想の世界のおとぎの国に過ぎないのでしょう。実際は格差も深刻で、社会保障も脆弱であり、吉岡秀隆さんが劇中でおっしゃるように人間という存在を軽んじる国でした。
残念ながらそれは現代にも通じる問題であり、日本の労働環境は今や先進国でも劣悪なものとして悪名高いです。そういう問題に通底する昭和的あるいは戦前回帰的な価値観をある意味明確に否定するのは現代日本においてとても勇気がいることであります。
少し脇道に逸れましたが、展開も早くて見やすいと思います。個人的にはもっと日常やラブロマンスを描いて欲しかったなあと思います。多少まとめすぎなところもあるかなと感じました。。。後30分ぐらいなら延ばしても良かった。正直ゴジラよりも神木さんと浜辺さんのドラマが見たかったです。
気になった所は神木さん演じる敷島少尉が良い人すぎるかなと思わなくもなかったです。もちろん陰の部分もあるのですが、もっと生々しい闇の部分があれば深みが増したと思います。例えば仲間が出撃するのに、自分は本当に機械の故障で出撃できなかったとか。もっと彼の過去が描かれていたら感情移入できたかもしれません。キャラクターとして少し浅いような気がします。そしてもっと戦争や昭和という時代の暗さを表現してほしかったです。
今作は主に物理的な破壊のシーンはよく描かれます。ゴジラの攻撃や戦争の傷跡など。ですが人間が抱える闇は敷島少尉だけが負っています。
正直もっと悪人を出してもよかった。ヤ○ザとか悪徳政治家や旧軍の関係者など。良い人しかいないので、少し違和感があります。そういう悪い奴らをゴジラが滅してくれれば痛快でしょう。
長くなりましたがほぼ初ゴジラだったので良い体験ができました。これはゴジラ映画の新しいスタンダードになりそうですね。

ギャツビー