「ゴジラ映画の集大成」ゴジラ-1.0 ひらひらさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴジラ映画の集大成
自分の中でシン・ゴジラを超えてました。いや、最近観た映画の中でダントツで面白かったです。
・人間ドラマがとてもしっかりしていて、惹きこまれました。たしかに今思うと、ヒロインの心境があまりちゃんと描かれてないことも否めません。
しかし、ゴジラの見せ場も描くとなると、テンポも悪くなるし、尺も考えるとちょうど良い塩梅だったかと思います。むしろ主人公の葛藤や苦悩に焦点を当てていて、娯楽映画として肯定的に評価してます。
ラストの病院シーンも、実際ありえないでしょうが、希望ある終わり方で私は良いと思います。フィクションですから。
おそらくあの意味深な痣が関係してるのでしょうか。
・ゴジラの迫力が凄い。まず、海上でゴジラが主人公達の小船を追いかけてくるシーン。ゴジラの顔が迫ってきてマジでビビりました。
そして上陸シーン。存分に暴れ、街を壊し、巨大な足で人々を踏み潰す。そうそう!こういうのが観たかった!
とはいえ、ゴジラが無慈悲なもんで、戦々恐々でした。
ゴジラに蹂躙され、何もかも破壊されてしまった時の絶望感、喪失感ったらもう、、涙が出てきました。
原爆や戦争により、大切なものを失う悲しみがよく分かりました。
・特に、この映画ただものじゃないと思ったのが冒頭、ゴジラが人間にかぶりつくときに、人間を投げ飛ばすところ。かぶりつき投げ飛ばすだけで、決して食べないんですよ。人間なんて。ゴジラからすれば、人間のせいで突然変異したわけで、棲家を荒らした憎たらしい下等な人間なんて喰うに値しないんです。もちろんゴジラがどう考えてるのか分かりませんし、私の勝手なイメージですが、ゴジラは人間を喰わなくていいんです。下等な人間なんぞ蹴散らし、踏み潰すことが重要なんです。喰ってたら安っぽくなってしまいます。この作品を作った方々、流石分かってます!
・随所に初代ゴジラのオマージュがあります!知ってる人は思わずニヤリとさせられます笑
・ラストのゴジラ討伐作戦。シン・ゴジラのように知恵と熱い気持ちで戦う。いやシン・ゴジラ以上の迫力で戦ってくれました。しかも今と違って、まともに戦える状況にない中で。
偶然なのか、狙ったのか、戦艦が海を進むシーンで曇り空の中で画面がモノクロに見える感じが良かったです。そして、伊福部氏のゴジラのテーマ曲で、気持ちは最高潮でした。帰還した時のシーンは感動しました。
・ゴジラは結局生きてましたが、それでいいんです。ゴジラは人間に倒されるべき存在ではないんです。なぜなら、人間の愚かさが生み出した存在ですから。立ち向かうことに意味があるんです。
【総評】
今までゴジラ映画は、人間ドラマは添え物程度でした。そしてシン・ゴジラは、人間ドラマは殆ど描かず、ゴジラを徹底的にリアルに描いた作品でした。しかし、本作は人間ドラマとゴジラがうまく噛み合っていたところが非常に素晴らしいポイントだと思います。
まさに、ゴジラ映画の集大成にして代表作と言えるでしょう。
もちろんツッコミどころもありましたが、そんなの気にならないくらい面白かったです。
映画を観ている最中、祖母の東京大空襲の体験談や、祖父が戦闘機で活躍していた話を思い出しました。主人公達を見ていて、私の祖父母もこんな感じで頑張っていたんだなあと感慨深く思いました。
このような素晴らしい作品が日本で生まれたこと、誇りに思います。
最後に制作陣、この駄文長文読んでいただいた方、ありがとうございました。