「山崎貴A面」ゴジラ-1.0 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
山崎貴A面
低評価レビューの内容程酷い作品ではない ここはハッキリ宣言したい
どうも監督過去作からの流れが淀んでの評価に繋がっていると感じているので、キチンと作品毎の区切りとして感想を述べたい
粗筋等は公開1日過ぎで200以上のレビューに依り、注目度は群を抜いている作品だから改めて記載する必要は無いだろう
シナリオとすれば確かにご都合主義的なジョイントは否めないが、そもそもこねくり回すような題材ではなく、テーマとして"戦争の総括"という括りを現代バージョンとして盛り込みたい制作陣、監督の意図は否定されるものではない 訴えたい事のボリュームはそもそも作劇として当たり前に制作側のイニシアティヴなのだから、後は観客がそのベース上での評価に徹するべきであり、その前提を崩す感想や、自分勝手な理想や空想、行き過ぎた"べき論"を並べ立てての暴言や人格攻撃には虫酸が走る
自分としては今作の"『一億玉砕』的欺瞞に対するアンチテーゼ"を何の皮肉に纏うことなくストレートに発信したことを素直に評価したい
『誰も犠牲にさせない、全員生きて帰る』という、これ又欺瞞かもしれない妄想は、しかし前者の欺瞞が平気で現実になりつつあったあの時代に対する強烈なカウンターパンチとして、現代に問い掛ける姿勢は大切に続けないといけない
イデオロギーが強くなってしまっているが、そもそもコジラ作品はその誕生から日本の業を背負って来た系譜であるので、エンタメ要素との両軸としての駆動は当たり前に語られなければならない
ということで、次はエンタメの評価だが、これも又非常に興味深いギミックに溢れた"男の子"心擽る内容でもある 放射火焔を放出する前の背びれの段階的な突出は閘門式運河を連想させ、震電(しんでん)なんていう戦闘機を持ち出し、細かいところでは陸王?なんていうバイクや、数々の船艦も登場させるところの高揚感も作風に複雑な色を添える 戦争勃発の予感が吹き荒ぶ時代ならば子供達に対する充分なプロパガンダになっているのだろうが、平和が訪れたからこそ切り分けできるエンタメであり、これは持続し続けていかなければならないのである
なんの衒いもなく、真面目に真摯に作品を届けることの有難さを感じずにはいられない良作であることは間違いない
吹き飛ばされても生きている 誰でも想像可能な起爆装置の形状の脱出装置(これはふり返りシーンで別装置だったことが判明したのだが、)での生還等、カタルシスをキチンと表現する事も大事だと改めて思い知った作劇であった