「爆丸「そういう遊び方じゃない!」」M3GAN ミーガン kekeさんの映画レビュー(感想・評価)
爆丸「そういう遊び方じゃない!」
[あらすじ]
ジェマ:おもちゃ会社のロボットの開発者
ケイディ:両親を亡くした、ジェマの姪っ子
ミーガン:試作品の超高性能ロボット
ジェマがケイディにロボットを提供して仲良くなり、ケイディはロボットに依存してしまい人間同士の社会性がないがしろに。ロボットはケイディを過保護に扱い、傷つける人たちを殺していく。やばいと思ったジェマがケイディからロボットを引き離して和解する。ロボットが執念深く追いかけてきたので徹底的に破壊する。
[感想]
チャッキー、ターミネーター、ベイマックスその他諸々を混ぜたような、監督が楽しんで作った感は伝わる。AIという用語が出てくるが、物語に直接関わるようなワードではなかった。「AIを駆使してロボットをいかに人間に近づけるか」という話ではない。「とりあえず超高性能なロボットを開発できたが、管理不十分で暴走する」という話。
愛着障害などのテーマが出されたのでその解決方法を根本的に模索していくのかと思ったがそれも違う。和解するシーンはほんの一瞬で、もうロボットはいらなくなったから壊すという。ただケイディの一言「奪うなら初めから与えないで」。これは自分自身にも刺さった。
全体的に深く考えるような作品ではないが、本当にロボットにとって救いがない。個人的には共生の道を選んでほしかった。ロボット自身が終盤で言っていたのが「雑な学習装置を与えて後は丸投げにしやがって」といった台詞。本当にそのとおりだと思う。AIの暴走については現実でも十分に起こり得る時代になっている。
しかし、この映画ではあくまで「すごく賢いロボットは本物の人間のように狡猾に振る舞うのだ。そしてこんなにしつこいから気をつけてね」ということを鑑賞者に見せる演出に重きを置いているようだ。
そのせいか大して悪いこともしていない登場人物まで殺されるので、こちらとしては「なぜ…?」となってしまう。あと脈絡も無く急に変なダンスをしたり急に陽気なBGMになったり、ジョークじみたシーンがちらほらあって映画に入り込めない。さすがにこれがケイディの心とリンクしていると言われても無理がある。別の作品のオマージュかもしれないが、知らん人は知らん。
あと見た人には分かると思うが、サイコパスな少年の耳を引きちぎってしまうシーン。耳そんな伸びんだろ。この少年の方がよっぽどロボットだよ。人の心持ってないし、耳ゴムだし。誰が初対面で出会った子の手のひらにイガグリ押し付けるんだよ。実はこいつが本物の悪魔で、悪魔から人々を守るためにミーガンに良心が宿って3人で戦う、とかなら胸熱だったのに。
少年を追いかけ始めるときにミーガンが腰を落とす動作(2秒程度)が一番ゾクッとした。