劇場公開日 2023年5月26日

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「テーマと闘いの相性」クリード 過去の逆襲 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5テーマと闘いの相性

2023年5月29日
PCから投稿

シリーズを追ってきた人にとっては、「有終の美」と言える作品になっていたと思います。
おそらくキリスト教的な「赦し」、特に「後悔への向き合い方」「過去を受け入れ、親として(人間として)成長していく」などがメインテーマであり。
それらと併せて、「怒りで暴力をふるわず、自分の感情をコントロールして理性的解決を心がけよう」っていうことが、もう一つ伝えたかったことだったのかも。
それは、とても素敵なことだし、しんみりとする染みる内容ではあった。

ただ、歯切れの悪い構成で、エピソードがつながっていかないという面もあり。
娘のこと、母のこと、弟子のこと、自分のこと、作中の出来事が五月雨に起きて、点と点・バラバラなまま、一本の筋になっていなかった。
宣伝等で大層に謳ったクリードの「過去の過ち」も、子どもなりに虐待されたトラウマは理解できるし、子どもゆえに恐怖に支配されて逃げたことがさほど悪かったとは思えず、構成の一要素に過ぎなくなっていた印象。

そして、そのテーマの一つである「理性的解決」が、ボクシングとの相性が悪い。
結局、過去のロッキーシリーズを繰り返すようなパターン踏襲から逸脱せずに、根性論ベースの筋肉で力技にて解決することが、伝えたいことと反してしまう気がしました。

で、挙句に「クリードよお前、デイムを罰さなかったら、ドラゴに悪いと思わないのか?」というシコリを残して終わっちゃう後味の悪さがあるし。

ロッキー(スタローン)が回想のみで直接的に出ていないことや、敵役が公開直前に暴行容疑逮捕された報道で、やや人気・話題面でも苦戦気味かも。
『クリード チャンプを継ぐ男』『クリードⅡ 炎の宿敵』の出来がよかっただけに、映画としての物足りなさが際立ちました。
監督としてのマイケル・B・ジョーダンの、今後に期待します。

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コージィ日本犬