「IMAXで撮った映像は凄い! でも何となく後味の悪い新章3作目で残念」クリード 過去の逆襲 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
IMAXで撮った映像は凄い! でも何となく後味の悪い新章3作目で残念
「ロッキー・サーガ」の大ファンでほとんど劇場で観てきました
前作もシリーズ屈指の名作で大好き、なのでこの後どんなドラマが展開されるのか楽しみにしてましたが少々期待外れだったのが正直なところです
ドニーはすでに引退しジムの運営側に回っており、高級車と豪邸、そして大成した嫁とかわいい娘に囲まれた悠々自適な生活を送っている
その生活が刑務所から出所した幼なじみデイミアン(以下、デイム)の復讐心によって脅かされていくが、ドニーが再びリングに上がりデイムと死闘を繰り広げ最後は勝って守り抜くというストーリー
デイムの手段は悪いかもしれないけど、そもそも彼はドニーを守ろうとして捕まり青春時代も含めて18年間もの間 服役生活を送ることになったわけで、母親の手紙の隠匿があったとしても音信不通にして唯一の友達を見捨てたのはドニー自身、自分だけ成功しそれをやっかまれたからってデイムを極悪非道のヴィランとして描きクライマックスの死闘に勝ったのを見せられても全く共感できず、むしろなんだかなあという気分になり、このシリーズで初めて後味の悪さを感じました
本作の製作意図が全く理解できない
ロッキー・サーガの生みの親シルベスター・スタローンさんが納得いかず本作には出なかったのも大いに同意です
そのせいでただでさえイマイチなストーリーがロッキー不在により更に仕上がりを悪くさせてしまったのは否めません
ネガティブな事は置いておいて、もちろん良いとこもあります
幼なじみデイムを演じるのは直近では「アントマン&ワスプ:クアントマニア」で今後のMCU最凶のメインヴィラン・征服者カーンを演じるジョナサン・メジャースさん、危険な匂いプンプンで常に爆発寸前のヤバそうな男を怪演しています
ボクシングのシーンもデイムはプロではないので我流の戦い方、格闘技っぽくやっててほとんどケンカの域(笑)、それがまた最高に合ってました
本作の監督は主役のドニーを演じるマイケル・B・ジョーダンさん、彼の監督デビュー作でもあります
人の内面を主眼に描き、重厚な人間ドラマとして仕上げた確かな演出に“監督”としての大いなる可能性を感じました、作品自体の空気感はとても良かったですね
そして本作はIMAX認証カメラで撮った作品なのでIMAXで鑑賞、ボクシングのファイトシーンのみがIMAXでその他は通常のスコープサイズ、その切り替えも全く違和感ありませんでした
スポーツ映画では初のIMAX撮影とのことで、どんな感じかと楽しみにしてましたが、臨場感はさすがです
体を打ち合う重低音が腹の底どころか全身に響きわたり、まるで自分が殴られているかのような感覚をもたらし、殴られた顔や体の筋肉が引きちぎられる様に変形し振り回されたり、汗がほとばしるのをスローモーションで描くド迫力の未体験映像が凄かったです
やはりこのシリーズはロッキーの存在なくしては語れないと思います、彼の存在自体が無いかの様に全く触れずに進めてはいけない
もう一本、是非スタローンさんの納得いくストーリー展開でロッキー復活を願います