主役(小出恵介)以外は、いぶし銀の存在感
銀平スカラ座という名の古い映画館が本当の主役だと思います。
映画館愛を描いた映画は、たくさんありますが、最近では、
「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」
これは
名古屋に今も実在する「シネマスコーレ」の映画だった。
これも映画監督が重要な役割。
というか、監督の井上淳一の半自伝的関わりを持つ映画館の話し。
「浜の朝日の嘘つきどもと」はドラマ編もあり、竹原ピストルが
売れない映画監督の役を演じている。
古い名画座と映画監督との相性は抜群らしい。
★主役の近藤(小出恵介)~やさぐれ感がハンパない。
(あんな大きな損害を与えると、そうは簡単に償えるものではない)
★銀平スカラ座の館長・梶原(吹越満)~近藤に部屋と仕事を与える人情家。
感極まってすぐ泣く(吹越さんの感激屋って、なんかクールな吹越さんに合わない。
(嘘泣きに見えるww)
★ホームレスの佐藤(宇野祥平)~主役ような輝きを放つ、
しかし上手い役者なあ、
★貧困ビジネスのNPOの主催者(浅田美代子)~こんな小狡い圧の強い役も
こなすのか?浅田美代子を見直す。
★近藤の元妻(さとうほなみ)~は、必ず脱いでる印象だが、
今回は勝ち気で知性的な役。
(多分これが地なのだろう・・・美人で驚いた、
朝ドラにもキャスティングされたみたいだし、メジャーだね。もう)
★近藤の娘を演じた少女があまりに清純派で驚くが、
この映画は女優の美人度が高いのも嬉しい。
★梶原といわく有りげな金持ち風の女(藤田朋子)~
・・・彼女も映画の現場が好きなんだろうね。
★売れない役者(中島歩)~城定監督策の常連。カエルの着ぐるみに入る。
★老映写技師(渡辺裕之・・・自殺しちゃったね、悲しいね)
STORY
映画を撮る意欲を無くしたホラー映画のカルト的監督の近藤。
食い詰めて地方都市に来た理由は友人に金を借りるため。
監督作品の完成間近に助監督が自殺した。
そのショックで映画は完成に至らず妻と離婚、
借金で家も失って万作尽きたところを梶原に拾われる。
パソコンの中にあった完成間近の映画を偶然見つけた梶原に、
編集を続けて完成するように言われる。
一方、資金繰りに困るスカラ座だが起死回生の起爆剤として
《スカラ座60周年フェスティバル》を開催することとなり、
その目玉として近藤のホラー映画を上演することになる。
エピソードとしては、
浅田美代子のNPOの力で佐藤は部屋と生活保護を
受けることになるが、酒盛りをして呑みまくり体調を壊す。
医療費無料になったのに頑なに医者に罹らない。
携帯電話の契約を何件もNPOにさせられて落ち込んでいると、
梶原が浅田美代子に弁護士のバッジと身分証を叩き付けて脅す。
水戸黄門の印籠みたいに効き目があった。
ホームレスに戻った佐藤は元気を回復、大好きな映画を観る生活を
取り戻す。
☆☆
そしてスカラ座のフェスティバルが開かれる。
残念なのはフェスがあまり盛り上がらないことかな。
近藤のホラー映画は大学生でも、もっとマシな映画を撮るだろうし、
城定監督のホラーセンスも皆無だし、
意外にも見終わった佐藤が合掌したまま亡くなる。
ある意味で最高の死に方。
★♠︎
助監督の高杉の自宅にお参りに行ったシーンは良かった。
母親(片岡礼子)と酒を酌み交わして、近藤が言う。
「いまだに高杉くんの自殺の理由が分からないのです。」
母親、
「私にも分かりませんよ」
更に近藤が、
「自殺の原因は私かも知れません」
すると母親が、
「自殺の原因は私かも知れませんよ」
この映画は城定監督作品として特に傑出してるとも言えないが、
映画好きの俳優が集まり楽しんで演じた・・・
その熱量はとても感じる。
《映画が好き》
《映画は生き甲斐》
そんなことを全身で訴えている。
それにしても、
映写される「カサブランカ」
イングリット・バーグマンの美しさ。
“君の瞳に乾杯‼️“
ボギーの殺し文句、
バーグマンの破壊力は、この映画さえ吹き飛ばす!!
そして最後に、
まだ見ぬ城定監督の“不朽の名作“にカンパイ!!