「イ↑ッツミー↓ マ↑ーリ↓オォ ※大したネタバレはなし」ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
イ↑ッツミー↓ マ↑ーリ↓オォ ※大したネタバレはなし
本当は字幕版で、元のアメリカ俳優陣の声の演技を楽しみたかったんですが、こりゃ4DXの出番だろ!!!!!と上映情報調べたら4DXは吹替版しかなかった…仕方なく吹替で見ました。
何で「仕方なく」かと言うと、マリオの声が宮野真守と聞いて…ちょっと合ってねーなと思って…
でも、実際見てみたら良い具合に「宮野真守っぽさ」を消してて、全く違和感ありませんでした。
特に64でマリオが散々言ってて耳タコレベルの「イッツミーマーリオォ」がサマになってて安心しました。ゲームプレイであんだけ聞いてたから、ここが違和感あったらもはやマリオとは認めない所存でした。
ルイージやピーチ、クッパなど、それぞれゲームの声とはもちろん違うんですが、流石に長年人気で知名度も尋常じゃないスーパーマリオなだけあって、どれもキャラクターをちゃんとわかってるなーという人選・演技でした。特にピーチの声がしっかりしてて良かった。変にキャピキャピした声だったら、任天堂きっての強キャラであるピーチの芯の強さが伝わらなかったと思います。
最初にマリオを作った時、任天堂はアメリカのヒーローものっぽくしたかったそうで、だからファミコンの時のマリオは(当時の日本で英語わかる人なんてほぼいなかったにも関わらず)全部英語だったそうです。そういうわけで、その頃のピーチはただクッパに攫われて「HELP!」とか言ってるだけの景品扱いだったんですが、すぐにそれではつまらないと判断したのか、割と初期から戦うプリンセスに格上げされ、しかも実はどのゲームでも(マリオカートでも)安定して強かった。
キノコ王国って「王国」と言う割に何故か王様不在で、ピーチが国を率いるプリンセスですから、そもそもそんな軟弱なわけないんですよね。
ていうかその強い姫が毎回スッと誘拐されるし、あんなしょっちゅう国のトップ不在になるし、それを助けに行けるのがそこらの配管工しかいないし、キノピオは一応姫の見張りやってるのに全くもって戦えないみたいだけど、国よく成り立ってんな。
マリオシリーズの中でも、RPGやペーパーマリオシリーズのように物語に沿って進んでいく作品はマリオ以外のキャラが喋るので、そのキャラがどういう性格なのか、どういう話し方なのかは既に公式で提示されてるんですが、マリオは頑として「イッツミィマァリオォ」や「マンマミィァ…」といったお決まりの一言しか喋らないので、今回映画化にあたり、主人公であるマリオが一番キャラ設定に困ったのではないかなと。
しかも全く喋ったことないならまだしも、中途半端に声は出すので、どんな声か、どんな喋り方かは何となく皆知ってるという状態。一番難しい。
そういう意味で、マリオの話し方(というか他人と言葉で意思疎通してること自体)には結構違和感ありましたが、でも逆にこっちも「こんなんマリオじゃねえ!!」と言えるほど確立された設定がないのもあり、「お前マリオの何を知ってんだ」と言われたら黙るしかないので、観てるうちに慣れました。というか、こういうキャラなんだねと受け入れられます。そのくらいあの濃すぎる「宮野真守っぽさ」を消してくれてました。良かった。
流石にルイージほどではないものの、マリオも戦いに結構ビビってることもあるっていうのは、過去にゲームでもちょくちょく示されてたんですが、一人の人間として見るとこうなるのかーとちょっと不思議な感じも。今後もぜひ映画を作り続けて、キャラを掘り下げてほしい。
ゼルダやFFみたいに、世界観にもキャラにも細かい設定があるわけじゃないからこそ、映画でどんどん掘り下げていくこともできるんじゃないかな。
ところで、ドンキーコングもキノピオ隊長も出てくるのにヨッシーが出てこないのは意外でした。ヨッシーガチ勢だったので禿げ散らかす勢いでヨッシーの出番待ってたんですが、背景で走ってたヨッシーのかけっこ以外、かけらも出番ナシ。まじかよ…ヨッシーとキャサリンは出してほしかった…人気キャラだろうがよ…
まあ、今回は「主人公の成長物語」と「兄弟の絆」的なテーマを掛け合わせたありがちといえばありがちな流れだったので、確かにこのストーリーでヨッシーは活躍できなかっただろうとは思うんですが…うん…でもクッパ軍団はやけに色んなキャラ出してたのにさ…続編に期待します。
ちなみに自分は子供の頃、字体や背景の絵柄、BGMだけでどのソフトのか大体わかるくらいのマリオゲーマーだったので、本作内で出てきた音楽、キャラ、エンドロールの字体などなど、色んな細かいところまで凝っててめちゃくちゃ楽しめました。
逆に言うと「マリオギャラクシーめちゃくちゃやり込んだけど他のは知らない」とか「有名どころは何となくなら見たことある」程度の人はそういう楽しみ方はできないので、普通に2Dで見たらそれほどの感動はないかも。4DXはまじで楽しい。
CMでマリオカートのシーンがあるのを知り、マリオカートに乗ってる感を味わえるんじゃないか…!?と期待して4DXにしましたが、マリオカートシーンは期待より少なめ。ただ期待以上に派手にやらかしてくれたし、カート以外のシーンも結構椅子が動いてくれて、水、風、足元に出てくるシュルシュル(?)、色々使って楽しませてきてくれて、4DXで後悔はありませんでした。
ただ、4DXで観る時いつも思うんだけど、においは? 昔「ミュータントタートルズ」観た時には感じたけど、それ以外の映画でほとんどにおいあるなと思ったことないし、そもそも4DXの上映に飲食物持ち込みOKにした時点で、においを感じさせる気ないよね。4DX導入初期は飲食物全般禁止だったのに、何で飲食OKにしちゃったんだろう…
『ジュラシック・ワールド』4DX観に行った時、隣で骨付きスモークチキンのにおいプンプンさせながら食ってたお前を今も恨んでるよ。
そういえば、ゲームのマリオを知ってたら知ってるだけ楽しめるのはもちろんとして、土管移動やレインボーロードのシーンは「(MCUの)マイティ・ソーかよww」と笑ってしまったんですが、ラストでルイージがゴミ箱の蓋を盾にするところといい、あれもしかしてMCUオマージュだったりする…?
だとしたら弱かったスティーブ・ロジャースがキャプテン・アメリカになって今まで自分を守ってくれてた兄貴分バッキー・バーンズを守る、っていう『キャプテン・アメリカ/ファーストアベンジャー』のストーリーと、ルイージが成長してマリオを守るってストーリーを掛けてる?
コロシアムでドンキーコングと戦うのも、『マイティ・ソー バトルロイヤル』でソーとハルクが戦うシーンあったしな。
ありがちな話だから被っただけかとも思ったけど、同じイルミネーション製作の映画『SING2』でも『ブラック・パンサー』のオマージュしてたし(あれは追悼の意を込めてるんだろうけど)、あり得るのかな。
とにもかくにも、クオリティの高い「イ↑ッツミー↓ マ↑ーリ↓オォ」と「マ↑ン↓マミ↑ーア↓」が聞けて満足。宮野真守がこんなに声真似上手かったなんて。
イルミネーションの製作だけあって、完全に『SING』の時と同じ続編のにおわせ方。エンドロール後に大したもんじゃないがオマケ映像あり。