SHE SAID シー・セッド その名を暴けのレビュー・感想・評価
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裸になる王様
映画業界の権力者の女性への性的搾取・暴行の事実をNYTの女性記者が記事にすべく奔走する姿を描く本作は、業界の醜悪な部分を自らの映画という手段で描き出すということで注目していた作品。
恥を忍んで言えば、自分自身、かつては女性の年齢、ファッション、容姿などに絡めたセクハラ発言を無意識にしていたバカ野郎なので、今は深く反省するしかない。そんな自分の意識をアップデートする心構えももって本作の鑑賞に臨んだわけだが。関係者を探りあてて電話して断られてまた連絡して会って話を聞いて…と、松浦美奈の的確でわかりやすい字幕とはいえ、会話中心の展開がずーっと続くもんで作劇的には退屈で、アップすべき意識が時折飛ぶ始末(アカン)。最近の明るみに出た出来事で被害者も多数であることから、FOXでの同様の構図を描いたスキャンダルのような過剰めな演出は控え、事実に忠実に…ということなのか。
産後鬱の様子や子育てと仕事の両立といった働く女性の苦労を見せつつも、育児・家事をしっかりこなす夫や理解ある男性上司などを出すことで男女の対立構図は持ち込まず、あくまで権力者と虐げられるものとしてワインスタインのクソ事実だけを詰めていく話にしたのは、うまいバランス感があった。あと、ドライブの可憐な人妻で初認識したキャリー・マリガンは、未来を花束にして、プロミシング・ヤング・ウーマンと、自身のキャリアの方向性を確実に打ち出しているのだと感じた。
翻って、今やわが国の大手メディアには週刊文春を除いてろくに期待できない時代になってしまった。せめて映画業界内では自浄作用の証としてあのーそのー監督の話とか、誰かフィルムにしてほしいもの。
大事な記録
ニューヨークタイムズの二人の女性を中心とした関係者の皆さんの責任感や、証拠を大事にする姿勢と熱意が同居する様子がイキイキと描かれていました。
世界中の多くの人が知る事件の記録という点では、「大統領の陰謀」「シンドラーのリスト」にも通じる映画と感じました。
表現を控え目にして、多くの人が観られるように制作されているところも素晴らしいと思いました。
もちろん男性も観ないといけない内容ですが、女性の、女性による、女性のための映画という印象を受けました。
タランティーノ作品にも出演するブラッドピットが製作に携わるというところはカッコいいですよね。見習いたいと思います。
倒すべき強敵が映像として描かれないのは物足りない
スキャンダルを暴露しようとする記者たちの物語だが、「真相の究明」というよりも「口を閉ざしている被害者に、いかに証言してもらうか」というところが、最大の見どころとなっている。
その点、記者たちが「女性」でなければ、被害者は重い口を開こうとはしなかったのではないかと思われる。
被害者に共感し、寄り添おうとする女性記者の姿もさることながら、セクハラによって心に深い傷を負い、人生を狂わされてしまった被害者の姿もしっかりと描かれていて、女性監督ならではの視点を感じ取ることができた。
その一方で、証言者を獲得していく過程が、同じような展開の繰り返しで、中盤以降、もたついた感じになってしまったのは惜しまれる。
記事を出す決め手となる「LOC」の手記の入手や、アシュレイ・ジャッド等の実名公表のいきさつも、どこか淡々としていて「一発逆転」のような面白さがない。実話ベースなので、演出過剰になることを避けたのであろうが、もう少しカタルシスがあってもよかったのではないだろうか。
そして、何よりも、肝心のワインスタインがしっかりと映像で描かれず、「顔出し」すらないのは物足りない。
劇中の台詞にもあるように、ワインスタイン個人の犯罪よりも、加害者をのさばらせる「示談」という制度の問題点を指摘したかったのかもしれないが、「憎むべき強大な敵」が明示されないことで、物語の構造が弱まってしまったように思えるのである。
寄り添う力と立ち向かう勇気
絶対権力者のセクハラ行為(本作はそんな生やさしいものではないが)を、周りの人間が止めるのはとても難しい。権力をカサにどんな報復をされるかわからないからだ。
映画業界の超大物が行ってきた性犯罪を調査し、暴く記事を書いた記者たちを描いた本作。登場人物が実名であることに驚いてしまう。実際に本人が出演していた役もいくつかあった。アメリカってこういうところがすごいよな。記事が発表されるときもそうだが、名前を公表することを決断した人たちには尊敬の念しかない。様々な圧力やいやがらせを受けることも想定できる中での決断。彼女たちに共通しているのが、自分だけでなく他の女性たちが同じような目にあってほしくないという思いだ。だからこそ自分がつらい目にあってもいいからこんなことをやめさせたいと。彼女たちの言動には感動してしまう。
2人の記者が母親として子育てに苦労しながら仕事する姿を描くのがまたいい。ワインスタインの醜悪な行為となんと対象的なことか。
正月にフェミニズムの名著を各界の論客や有名人が紹介する番組を観たのだが、冒頭でフェミニズムの歴史で4つの大きな動きがあって、そのうち一番最近のが「#MeToo」運動だったと紹介していた。あの運動の始まりがこの記者たちの取材だということになる。まさに歴史が動く瞬間の映画化だ。観る価値のある、見応えのある力作だった。
女性も男性にも観て欲しい
女性はもちろんだけど、男性にも観て欲しい。
ずーっとムカつく、胸糞悪い、おぞましいと思いながら観てた。体力的にも立場的にも弱い人に性行為を強要して、罪悪感とか羞恥心とか無いのか。一人の人間の尊厳と未来をぶち壊して何を感じるのか。まあ、何も感じないから82人(きっともっといる)に同じことができるんだろうし、きっと未だに何が悪いのかわかってないんじゃないだろうか。
ローラの「若いから、頭が固いから、いけないんだと思っていた」という言葉にショックだった。ああ、私にも身に覚えがあるなと。軽く流せない自分が悪いんだ、こんなことにいちいち傷ついてる自分が弱いんだと思ったことが何度もあるし、きっと、そうやって我慢してきた女性は多いはず。(女性だけではないけど)
当時、この運動がハリウッドから始まったことに違う世界の話だと思ったけど、地位も名誉も手に入れたはずのハリウッドスターですら被害に遭うし、言えない。名も無き一般女性なら?(意訳)とジョディに言われて、そうかハリウッドから始まることに意味があるんだなと思った。
彼女が手術の日に実名を出すことを決めたことに泣いた。女性としての体の一部を失う日に尊厳を取り戻すことを決めたんだな、これ以上女性としての自分が削られていくのを認めなかったんかなと。
スッキリした!とはいかないけど観てよかった。
ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者が暴いた映画業界の闇
ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者が、高名な映画プロデューサーの、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・性的暴行事件を暴いていく過程を再現した映画です。
日本でも、最近、有名な劇作家が、自分が主宰している劇団の女優に性暴力を働いたという報道が有りましたが、華やかなショー・ビジネスの裏側は、このような行為が平然と横行しているのかもしれないと思いました。
この映画で参考になったのは、特報記事を作り上げるまでの過程、ニューヨーク・タイムズ紙の社内の様子で、新聞記者の仕事ぶりの一端を知ることが出来ると思いました。
内容が内容なだけに、性用語や性行為についての証言が、たくさん出てくるので、この映画は一人で見た方が良いと思います。
PLAN Bの未来が気になる
ニューヨークタイムズによるハリウッド大物ワインスタインのセクハラ報道。ブラピの会社の企画選択にストライクだったのだろうな。でも「PLAN B」は去年秋にフランスに売却したそうな。今後もこういう社会派(ハリウッドリベラル&民主党支持)な企画がラインナップされるかは不明だな。
事実は小説より奇怪なり
ハーヴィー・ワインスタインの醜いスキャンダルを描いた作品
これがフィクションなら、もっともっと話が大袈裟になり、真相を探ろうとする記者には、命の危険に晒されたり、会社から圧力があったりするだろう。
そういう部分を排せるだけのニュースインパクトが事実としてあったから
このような重厚な作品になったと理解できる
記者役の女優二人(マリガン&カザン)の怒りを全面に出さない
冷静で崇高な演技が特に良かった
しかしながら
個人的な感想だけど
ワインスタイン氏は、四六時中セクハラのことしか頭になかったのだろうかねぇ
彼には懲役の反省も必要だが、セラピーや去勢も必要な気がする
後ろ姿だけ見せる撮り方だったが、よく似た風体が、余計と汚らしく見えて
あの撮り方もGOODだった
女性記者二人の奮闘には実話と言う事もあり頭が下がります。 ただしこ...
女性記者二人の奮闘には実話と言う事もあり頭が下がります。
ただしこの手の映画、毎回違う事件が元ネタなのですが既視感が有るのも事実です。
アメリカでは数年前の事件が直ぐに実名で映画化されるから凄いですよね。
さすがハリウッド
ほんの数年前の出来事をしかも実話であり業界スキャンダルなのに臆すること無く、実名で映画化していることで、ハリウッドもまだ良識を、保っている映画人がいてくれてよかったです。
日本ではなかなかこの手の映画は作れないからね。
刺さる!
2017年にミラマックスのハーヴェイによるセクハラ、レイプを公にしたNTの裏?陰?にこんな骨太なストーリーがあったとは!
そもそも権力や暴力、立場を利用して、女性を(このこのお話しではないけど、子どもやお年寄りなども)を意のままにしようとする一定数の権力者大嫌い。
しかも自分の欲求を果たすためだけに。
その後被害者は緘口令を敷かれ、自らのプライドとともに長年苦しめられる。
日本でも某俳優や監督が、同じように「演技指導」の名の下に性暴力を振るって干されてるけど、全く理解の範疇を越えるよ。
みんなが口をつぐみ、妨害や圧力に負けずに立ち向かう2人の女性記者にどんどん感情移入して、心に刺さった作品でした。
あっさり風味だけどよかった
パルプフィクションを製作したミラ・マックスの創始者。
ウキペディアのワインスタインの写真。こんな奴に迫られたら怖いに決まってる。パワハラに屈した自分を恥じ、苦しむことになる。泣き寝入りしている被害者はたくさんいて、そういう人に限って傷が深くて、人に話せない。
巧妙に被害者に泣き寝入りを強要する示談契約書。逆にこれが大きな証拠となった。
被害者の気持ちを察すると、やっと時間が経過し忘れかけていたのに、マスコミの取材によって再び傷をえぐり返される。退職したり、業界を変えてその後の人生をひっそりと送っていても、報復されるかもしれない恐怖に怯える。
SNSが普及し、アシュレイ・ジャッドが声をあげたから、ワインスタインを懲らしめることができたが、結果の如何にかかわらず、取材にあたった女性記者の正義感と罪悪感の天秤が気になった。どんなに丁寧に慎重に取材しても、彼女らを傷つけるので、信頼を得て、オンレコの許可を得るのは困難を極める。キャリー・マリガンとゾーイ・カザンの二人とも出産、育児をしながら頑張る役。旦那もまずまず合格点。「ニューヨーク親切なロシア料理店」の小さい息子二人をワゴン車に乗せて家出するゾーイ・カザンの印象が残っているのでなおさらだった。「プロミキシング・ヤングウーマン」が記憶に新しいキャリー・マリガン。デスクのトップがしっかりしていて、ワインスタイン側の揺さぶりに屈せず、男気があって、いいチームだった。
女性記者の二人がメインで、全体にあっさり味。ワインスタインの描かれ方はアホ過ぎる。もっと狡猾でパワハラ全開だったにちがいない。
パワハラには厳罰大賛成。
どこか忖度があったのかなと偏見すらしてしまった。
2017年、世界の映画界を牛耳ったハリウッド界の怪物ハーヴェイ・ワインスタインが約30年にも渡って絶大なる権力を利用して80人以上にも及ぶグウィネス・パルトローはじめ女優、スタッフを性的蹂躙し続け、また権力と大金で口封じてたことを暴いたニューヨークタイムズのスクープはまだ記憶に新しい。
巨大権力に挑むジャーナリズムではアルパチーノ主演の煙草産業に挑む大好きな『インサイダー』以上に期待したけど、そのとてつもない事件からは表現数々のインパクトの作りの弱さに残念。
まさに世界に強烈なインパクトを与えるべき作品なのにここにもどこか忖度があったのかなと偏見すらしてしまった。
冷静な描き方に逆に熱量を感じる
記憶に新しい大スキャンダル、後に多くの女性達が実名で過去の被害を告白した、大きなムーブメントが起こったキッカケとなった事件。本作にはアシュレイ・ジャド本人が本人役で出演しており、綺麗で強さも兼ね備えていて、好きな女優の一人だったが、いつの間にか見なくなったなあ、と以前思っていたが、こういう事件が彼女の身に起こっていたのかと思うと、気の毒でならない。
映画としての本作は、声をあげられない人達の苦しみを伝え、裁かれるべき悪は世間に裁かれなければならないという正義感から、ひたすら真実を追う、ジャーナリスト達の姿を冷静に描いている。よりドラマチックに盛り上げたりせず、割と冷静に映像は語っているように感じ、だからこそ迷い苦しむ人達の感情、それを理解しつつ、真実を追い求めて戦う二人の記者と新聞社の人達の熱量を強く感じたように思う。ドキュメンタリーではないが、それに近いテイストのとても優れた作品だった。
23-007
金と権力を併せ持つ悪党、厄介な存在。
有名無名に関わらずその力の前に
声を奪われる。
私に起こった事が当たり前と
3人の娘達に思ってほしくない。
母の言葉は重い。
そして
この事件を記事にするために戦う2人も
また母親である。
本質的には女性の方が強い存在であるが故に
男共は地位や金、暴力で女性を屈服させようとするのでしょうか❓
だとしたら情けない、許せない😡
8×12くらい
性被害にあった女性が立ち向かう作品、「スキャンダル」「プロミシング・ヤングウーマン」を鑑賞してきたが、どれもどうも好きになれなかった。本作は、公開時点ではチェックインしておらず、評価が高かったがために急遽鑑賞することになったのだが、あまりハマらなかった過去2作の影響でそこまで期待していなかった。しかし、これが凄かった。素晴らしい作品だった。
実際に起こった事件であることは知っていたのだが、この事件に関しては完全に無知であった。映画業界の重鎮が、数多くの女優やスタッフに対し性暴力を加え、更に被害者には多額の示談金を支払う対価として、性被害にあった事を口にしないよう、書類にサインをさせる。映画を見ていく中で、このような衝撃の事実を知ることとなり、体の底から憎しみと悲しみが込み上げ、彼女らへの思いが募る。
日本でも近年、問題となっている映画業界の性被害。名前は伏せるが、映画監督や俳優による女優やスタッフに対する性暴力が明らかとなりつつあり、また、女性監督によるスタッフへの暴力・暴言も記憶に新しい。ようやく、このようにして告発が行われるようになったのだが、作中でもあるように、明るみとなっているのはほんの一部でしかない。大半は隠されたままなのである。この映画は、そんな被害を受けた全ての人に希望の光を与える、すごく意義のある素晴らしい作品だと思う。
シンプルな作りなのだが、それがいい。
彼女らが誠心誠意、真剣に事件や被害者に対して向き合っているのが伝わり、感情が揺さぶられる。そのシンプルさが故に、絵は弱く、映画と言うよりもドラマに近しいように感じるのは難点。しかしながら、実際に起こった事件をドキュメンタリー的に追いかけるこの真面目さが、作品に緊張感と迫力を出していた。
まだ8本しか新作を見ていないのに言うのはなんだが、今年一見応えのある作品でした。恐らく、この衝撃は年末になっても忘れないかと。多くの人に見て頂きたい、力作。女性、男性関係なしに、ぜひ。
その名を暴け、屈するな!
ワインスタイン氏の性癖、愚行、裁判、判決
それらについては、もう周知の事実であるから、
その辺の件(くだり)については置いといて…✋
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性被害に遭うと、被害者という立場なのに
好奇の目に晒され、何気ない言葉に
深く傷つけられるいわゆるセカンドレイプを
恐れ、声を上げられない。
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本作では、映画業界に携わり続けたい
スタッフや女優たちにとって、
示談による泣き寝入りの悔しさと敗北感たるや…
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オンレコを許可した女性たちの行動には
脱帽するとともに、彼女たちが腹を括るまでの
葛藤や覚悟にグっとこみ上げるものがある。
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ハーヴィー・ワインスタイン
彼が手掛けた数々の名作の裏側には
ワインスタインのみならず、
黙認していた業界や関係者たちをも
一網打尽にし、厳罰を与えよ。と思うばかり。
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ニューヨークタイムズ紙の女性記者2人の
気概に満ちた行動に心振るわされるし
2人の記者の夫たちのデキの良さよ。
夫たちの理解と許容量、協力、それらが
あったからこそ、あそこまで仕事に没頭する事ができたと
言っても過言ではない。
すばらしい家族の関係性だ。
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