「システムと闘えるシステムが必要」SHE SAID シー・セッド その名を暴け redirさんの映画レビュー(感想・評価)
システムと闘えるシステムが必要
力強い映画。
丁寧、繊細、かつ大胆にテーマを追っている。
ミラマックスのCEOとやらの、もしくはトランプとやらの、個人の性癖悪癖の問題ではない。
人類の歴史がある限りなんらかの力を他者に及ぼす地位を手に入れたものは大なり小なりこのような<権利>を手に入れるものだし、そこで被害者のほうにも泣き寝入りする人も戦う人も絶望する人もいる。問題は個人への攻撃、批判、告発ではなく、ありとあらゆるハラスメントをできる人、しても良い人、しても罪に問われずその権力も放棄しなくて良いという、権利権力支配側のシステムが強固にあるということ。
葛藤と困難の末、大手新聞、尊敬されるメディアで記事を出したとして、そこには達成感ももちろんある、この映画に描かれている全ての勇気と人間力のある人に脱帽する、が、重厚なシステムはなくならないし変わらないから、記事を出した後の、虚無感もあるだろう。
今の日本はもっとわかりやすい。アメリカでpc political correctness が表面上のみであっだとしたとある程度浸透していると仮定したとして、日本ではまだまだそんなものは存在しないもの等しく、国会で嘘をついてもおとがめなしその嘘に公文書を合わせていくスタイル、そのことで人が死んでもおかまいなしのおとがめなし、どころかますます権勢を誇る、国民の税金で賄われているものに対する私物感議員とか大臣という職位さえ家業と捉えて、その長年にわたり構築されたシステムに守られ声を上げたものがバカを見るこのくそ社会、ダブスタが横行するシステム、日本みたいにちっぽけな小さいムラでもそんなんだからましたアメリカの巨大システムに風穴あけたとて、このあとの徒労感と虚無感は否めたないだろうと思った。
本作品は素晴らしく、たくさんの人が見るべきものであり、
とくに主演の記者二人も素晴らしいが、やはり対抗する側のシステムの一つである新聞社の、この記者たちの上司たちが組織、システムとしてしっかり機能していることが素晴らしい。ボスとは、目的達成のためのリソースを確保しその道筋を承認などにより確保し切り開くもので、ふかふかの椅子に座り好き放題ハラスメントしたり人や物や権力を私物化する我のために使うものではない。
映画館で予告編見てなかったか知らなくてスルーしていたかと思うと、映画ファンでなければ観ることもないだろうから、そのこと自体が悔しく残念と思う。