春に散るのレビュー・感想・評価
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緊張感を感じず。
予想以上におもしろかった!
不公平な判定負けをした同じ境遇を持つボクサーと元ボクサー。 荒々し...
横浜流星と窪田正孝の圧巻のボクシングシーン
なんといっても横浜流星である。
不思議な役者で、印象的な顔とたくさんの作品に出ているからか、最初は他作品のイメージに引っ張られて合わなそう、という印象を持つ。しかし、ものの10分ほどみると、彼が役になりきって彼じゃないとだめだ、となる。
この作品も、やんちゃなようで誠実さと芯の強さを持つ主人公を見事に演じている。
なによりボクサーの体つきと動きが(素人目からみたら)ほとんど違和感がなかった。
相当な努力をしたんだと思う。
窪田正孝も同様、『ある男』同様のボクサー役として、ひとくせあるライバル役を良いバランスで演じている。
そのふたりによるボクシングシーンは圧巻であった。本物の試合を観ているようで、これほどまで熱くなれる二人が羨ましく感じる。
体と心の限界まですり減らして、「楽しい」という感覚。ボクシングをしたくなる。
このシーンだけでも見る価値があった。
ただ、それ以外はというと、悪くはないが、至って普通、という感じである。タイトル的にもさきは読めているし、病気じたいはありふれた展開ではあるので、なぞっている感じにもなる。
瀬々敬久監督の作品はちょいちょいみるのだが、なんとも惜しい感覚である。
2023年劇場鑑賞86本目
チャンプを目指すな、人生を学べ! 己が戦う意味を知る。
すぐ暮れる ヒグラシ騒ぐ 夏のあと
いよいよ 夏休みも終わりっすね。
そんな中「春に散る」噂の作品を観に行きましたよん。
春にチル~ 夏なのに今ナンデ?とは思いましたよ・・・
いや~ マジで良かったですよ。
観る前からこの手の作品は苦手だな~とちょっと思ってたんですが、
流石 瀬々敬久監督ですね。中々なボクシングの打ち合いのシーンと
それぞれの人物像が心に秘めた思いを上手く引き出し表現されてたと思います。
原作:沢木耕太郎氏
監督:瀬々敬久氏
--MC--
・広岡仁一(主人公、元ボクサ、米国帰り):佐藤浩市さん
頭が白髪で、温泉?入浴場面の上半身裸体がお父様の三國 連太郎さん似と思った。年々風格が似てきたかな。味のある役ところ。
桜の木の下で亡くなるのは最初から読めてたけど、それも味かな。
・黒木翔吾(若いボクサ-):横浜流星さん
ここ数作、彼の出演作を観てきたが一番彼らしい感じがしたかな。目線は良いと思う。中西との壮絶な打ち合い場面は良かった。顔もパンパンに腫れた演出もグッド。中々大変な役作りだったと感じました。
・広岡佳菜子(主人公の姪):橋本環奈さん
こんな役の彼女が観たかったベストワンかもです。今まで色んな役でしっくりした感じが無かった気がしますが 今作役は凄く合ってて良いですね。大分訛りも自然な感じで目線もイイ。特に父親の出棺時 追いかけて”ウォ-ッ”て叫ぶところね。環奈さんらしさだったと思いますね。育った家の解体、出棺と。こう言う演出が監督の冥利と感じます。
・大塚俊(黒木のライバル):坂東龍汰さん
今後の活躍が楽しみ
・佐瀬健三(かつてのボクサ仲間1):片岡鶴太郎さん
実際にボクサ-を育てられてたんで、そう言う意味ではこれ以上無いハマり役。
広岡と黒木が目の事で試合出場でもめた時、
”ボクシングってもっと良いもんだろう~” さらりと言うセリフがステキ。
・藤原次郎(かつてのボクサ仲間2):哀川翔さん
何で出てるのか微妙にわからなかったけど。
もう少し役柄に個性ある味が欲しかったかな。暴れん坊のイメ-ジしか残ってない。そこが惜しい。
・中西利男(現チャンプ):窪田正孝さん
最後の壮絶な試合で、前歯が半分折れてのドツキ合いが いい感じ。
実際のチャンプがこんな軽い無作法者とは思えないけど これも演出ね。
・真田令子(ジムのオーナ-):山口智子さん
ビジネスチックに経営してる感が演出だけど ちょっと違和感あった。
もちょっとボクシング選手が この上なく好きである思いが欲しいと感じたな。
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(思った事)
・とにかくボクシングの打ち合いが結構本格的にやってます。しかも長め。通常 カット入れまくりの部分繋ぎの構成にしたのが多いのですが 長く回し撮って繋いでるので試合自体に白熱さを感じました。そこが他作には無い所かと感じます。
顔の傷とか腫れ、常に目線がボクサ-選手になってて 礼儀などシッカリ描かれてて試合が終わった後、心に熱いものを感じますね。そこがとっても心地良いです。
・”パパ頑張って” 妻と子の泣きながらの応援・・・その選手を相手に黒木が一瞬躊躇してしまう。 ここの演出 心にジーンときたわ。広岡が”ボクシング何てやめちまえ” 捨てセリフを吐く。
こういう場面って実際良くあると思うのよ。見かけだけでなく実に良く捉えたシーンと思うわ。なんか 負けたけどあの親子がメッチャ気に成ったよ。
・人生とはそんなに上手くは行かないもの。それを説いている。一つを成就すると次の難関がまたやってくる。それの繰り返しであると感じます。
監督の過去作はどれも登場人物像の人間模様が 最後まで示しておらず、中途留りの印象が多いけど、人の人生は常に変わっていくもの。観念を固定的にせず、最後は少し浮かせ気味の方が 良い味がするのかも知れません。それに気が付いた次第。
・最終試合に 勝つ方が良いか?、負ける方が良いか?
ここは非常に悩む展開の岐路。どちらにしても広岡は死ぬだろうし。
人生と全く同じで、勝って得られるものと、無くしたもの。もし負けても得られたものと やはり無くすものが有ると思う。
大塚は引退した。そして何かをこの先 得るだろうきっと。
中西はどうか。きっと彼も負ける事で得るものが有ったろう。
黒木はどうか。勝っても 目がダメに。もうボクシングは出来ない。
でも、そこから始まる事があると思う。 きっとそれが人生だ!
ご興味のある方は
是非 劇場へどうぞ!!
"まったく熱くなれないボクシング映画…"な映画
胸に来るものが全くありませんでしたね…。
瀬々敬久監督作は『菊とギロチン』でも感じたことですが、登場人物たちは皆個性のあるキャラクターばかりなのに、全然印象に残らないというか、心理描写が甘いなと…そのキャラクターが背負っているものがまるで見えて来ないんです。
この作品であれば、例えば、橋本環奈演じる女性(佐藤浩一演じる男の姪役)ですが…父の看病やらで長年自分の人生をフイにして来た彼女が、父の葬式後、やっと解放された事に対して感情を大声で爆発させます。しかし、全然共感出来ないんですよね…彼女にまつわるエピソードの一つをただ垂れ流して、らしい"台詞"を言わせているだけ…にしか映らなかった。子ども食堂の場面も同様です。不幸な人生を送って来たこの女性は、同じく不幸の中にいるだろう子どもの姉弟に優しい、そんな女性だ…というエピソードを単に垂れ流しているだけなんですよね。各配役の各々のエピソードについても同様です(哀川翔演じる男はとても重要な役柄であったとは思うんですが、最後は何だか取ってつけたような感じになってしまってました。そして、横浜流星演じる主人公はただただやかましいだけでした)。
各エピソードが積もって行った先に最後のあの"格闘"があるはずなのに、残念ながら、そのエピソードの数々がこの作品になんの深みも与えていない。結局、横浜流星と窪田正孝の体の仕上げ具合が素晴らしいな…ぐらいの感想しか出て来ませんでした。
ラスト、桜の木の下で亡くなる佐藤浩一も、それこそ取ってつけたような場面で、そういうシナリオだからそういう場面を撮りましたという様な終わり方で、つまらない映画を観せられたな…という感想しか湧き起こらなかったですね。
瀬々敬久監督の作品は、映像作品としてはちょっと平凡過ぎるのでは?と改めて思いました。
渋くて熱い
ボクシングは痛そうだし、何であんなにみんなが好きなのか分からないと思っていた。
しかしこの映画を見てその理由が少しだけ分かった気もした。
翔吾の「何もかもぶっ壊してめちゃくちゃに燃えたいからボクシングはじめたんだろ」というセリフにハッとさせられた。そして恐らく仁一も。
日常に溢れる沢山の不満ややるせなさを吹き飛ばしたいという気持ちは誰にでも
ある。ただひたすらに練習に打ち込む翔吾の姿とそれを見守る仁一の姿に胸を打たれ、自然と涙ぐんでいた。
今、この瞬間を真剣に生きようとする刹那をこの映画に感じた。
試合シーンは本物にしか見えず、息を飲む展開の連続で、ボクサー役の役者さんの本気度が素晴らしかった。
特に横浜流星さんの自堕落な生活から凛々しく再生していく姿は圧巻の一言です。
この瞬間に全てをかけて
通常スクリーンで鑑賞。
原作は未読。
横浜流星と佐藤浩市の演技が筆舌に尽くしがたいほど素晴らしく、ライバル役の窪田正孝もすごい存在感でした。ボクシングの試合シーンの迫力も言わずもがな。感動も一入!
今この瞬間に全てを懸けて生きる主人公たちの想いが鋭いストレートとなって私の心を打ち抜き、思わず己の生き方を省みました。こんな風に全身の血を滾らせることをしてみたい。
持てる力の全部を注ぎ込む主人公たちのアツさが周囲に伝播して興奮と声援の渦を生み出す瞬間に感動。魂を燃やす生き様は美しく、否応無しに惹きつけられてしまうものだな、と…
「ケイコ 目を澄ませて」に続き、ボクシング映画の名編に出会えた喜びを噛み締めました。正直、今年度ナンバーワン作品です。是非とも賞レースを席巻して欲しいと思いました。
※修正(2024/06/24)
ボクシングシーンが最高
ボクシング映画好きにとって、横浜流星が主役となれば当然観たい映画だ。見事に期待に応えてくれた。
サンドバッグを打つシーンもミット打ちも縄跳びシーンまで、めちゃカッコよかった。世界戦の相手役となる窪田正孝は予想外にすごくて試合も本物のような迫力があった。
そして、脇を固めるベテラン陣がお見事。佐藤浩一,片岡鶴太郎,哀川翔の3人トリオはそれぞれのキャラが立っていて,物語の良いスパイスになっていた。佐藤浩一のミット捌き,この年齢でこれをやるのは大したものだ。久しぶりの山口智子も相変わらずの存在感で素敵だった。
佐藤浩一と横浜流星の2人が同じような判定負けの経験を経て出会うというストーリー,そこはあまり語られていない。原作を読みたくなった。
桜🌸
40年振りに日本に帰国した元ボクサーと居酒屋で偶々知り合い、その殴られたパンチの感触が忘れられず、そのボクサーに弟子入りを懇願しトレーナーになって貰い頂上を目指す物語。
プロテストに合格するまでバキバキに鍛え上げた
横浜流星さんにはストイックで称賛する。
対戦相手の窪田正孝さんも良かった。
ジム通いもしてるし、ボクシングオタクなんだね。
周りを固める俳優の方々も素晴らしい。
佐藤浩一さん、片岡鶴太郎さんは円熟味が増して
渋かった。橋本環奈さんのボクシングを観る
切なさと安心感の表情は見ててほっとする。
さすがは黄金対比の顔立ち。
タイトル通り、頂上体験を味わった二人には
切なさと満足感が入り混じった結末。
本当にその一瞬だけ生きたんだね。
あの試合での殴り合うシーンは、何故か鑑賞側も
力が入り歯を食い縛ってしまった。
それだけ魅了された映画だったと気付く。
見応えある作品をありがとうございました。
ボクシング映画は大変だ
ボクシング試合の臨場感◎
◯キャスト好み
◯題材好み
◯橋本環奈可愛い
◯横浜流星カッコいい
◯佐藤浩市渋い
◯ボクシング試合の臨場感(本当の試合を見てる感あった)
◯試合までの仮定もリアリティあるように感じた
✕メイン2人以外の絡み。特に橋本環奈役や山口智子役の必要性
✕試合最終ラウンドのスロー演出。それまでの臨場感台無しだしパンチ喰らいすぎで耐え過ぎ
✕最後ももっと余韻ある演出欲しかった
✕最後の試合後、横浜流星が死んだかと思った(そうきたか😲これはやられた)と思ったけど……残念でした
色々と良かった(好み)だけに残念な感じが残りました
正直勝手に期待しすぎてたかも
泣きたかったなぁ
スポーツ観戦とは誰かの人生に寄りかかること
最終試合が始まるまでは、どこかで見たような映画だと思って観ていた。今を生きる若きボクサーと過去に一世を風靡した老ボクサーが出会い、王者になるべくしのぎを削る。今時こんな若者がいるのか?平成中期の造形がそのまま描かれてない?と思いながら観ていたが、まあ、面白いものは面白い。飽きることなく観続けられた。
しかし最終戦が始まって以降は、うっすら感動しながら観ていた。それは「スポーツ選手から勇気をもらった」というありきたりな言葉に象徴されている。誰もが誰かの人生に寄りかかって生きていたいのだ。
老ボクサー(佐藤浩市)は、くすぶりながらも生きながらえてきた。あとはもうゆっくりと燃え尽きることを望んでアメリカから日本へ帰ってきたのだろう。若きボクサー(横浜流星)も同じようにくすぶっていた。しかし、燃やし尽くすことを望んでいた。
若きボクサーも老ボクサーに寄りかかった。自分の人生を悔いなく生きるために。老ボクサーは若きボクサーに寄りかかった。自分の人生を託す意味を含めて。そして最終戦が始まり、選手を応援する観客もまた若きボクサーに寄りかかっていた。選手の人生を自分の人生と勘違いすることで熱狂し、熱い思いを勝手に受け取るのだ。
最終戦が始まるまではどこかで見たような映画、もっと言えばありきたりで普通な映画だったのは、映画を観ている私たちが上手に若きボクサーに寄りかかるための導線だった。あれがあったからこそ、映画の観客も熱狂することができる。
と、私は人生を熱とか炎とかで表現することが好きだが、映画では桜だった。ボクサー二人が出会ってからの一年。夏から冬にかけて地味な期間を過ごし、春にぱっと咲いて散る。そのはかなさ、美しさよ。とてもいい映画だった。
本物感
沢木耕太郎原作、ということで物語はキレイすぎるくらいキレイにまとまってる。瀬々敬久監督だし、演出は手堅い。
しかしそれだけならまぁ秀作というところだったろう。
それをひとつ抜けた作品にしているのは、間違いなく横浜流星と窪田正孝の徹底した役作りだろう。ボクサーにしか出来ない、ボクサーにしか見えない、そういう動きを体得していた。それがドラマを本物に見せる。だからエモーションがぐっと盛り上がる。拳を握りしめて応援してしまった。
佐藤浩市のトレーナーらしさや、もう一人のボクサーを演じた坂東龍汰も良い。
ここのところのボクシング映画に必ず登場して指導もしている松浦慎一郎の果たした役割も大きかったのだろうと想像される。
観て良かったです。
本気で殴り合うど迫力。
見応えのある秀作でした!ケンカ空手で有名だったフルコンタクトの極真空手で鍛え、空手の世界大会で優勝経歴を持つ横浜流星さん。僕も学生の頃に極真道場に通ってたけど、打たせ稽古に失神しそうになりました(笑)あの超過酷な練習を耐え抜いてきたのだから、すごい俳優さんですよ。
2020年の「君の瞳が問いかけている」でボクサー役が見れたけど、この作品ではさらにストイックな役作り。彼の真骨頂でした。
ストーリーはボクシングを軸に、さまざまな人生や想いが交差する王道もの。年老いた元ボクサーが若者を育て、共に夢を追いかける。いろいろな事件や挫折や流れは既視感に溢れているけど、演者たちが丁寧に仕上げている。
元ボクサーたちの悲哀感がたまらない。人生の最終章を賭けて臨む様を、佐藤浩市さん片岡鶴太郎さん哀川翔さんがブレずに伝える。そしてヒロインの橋本環奈さんは存在感を消したお芝居が見事。
命をかけた世界戦に挑む横浜流星さんのギラギラした佇まいは、役作りの覚悟を感じました。長い間ジムに通い、実際にプロテスト合格したらしい。相手役の窪田正孝さんもすごい。ソフトイメージな彼だけど、ヒールに徹した不気味さが怖かった。テクニックと身体造りも見事でした。
クライマックスはふたりの役者自らが本気で打ち合っているだけに、ガチの世界戦を観ているようでしたよ。「百円の恋」「あしたのジョー」「あゝ、荒野」「BLUE/ブルー」「ケイコ 目を澄ませて」邦画のボクシング名作はたくさんあるけど、リアリティでは一番だったかな。リングサイドのど迫力な臨場感を楽しむなら、映画館じゃないとね。
横浜vs窪田、演技以上の死闘
翔吾(横浜流星)は裏表のない性格で今にも爆発しそうな勢いで冷えきった広岡(佐藤浩市)の心の蝋燭に着火させてみせた。
それからの展開はコンスタントに進み、ボクシングを知らない私でも全く飽きる事なく鑑賞。
脇役も今作の為に集められた精鋭揃いで、橋本環奈ちゃんもキラキラオーラを封印し幸は薄いが愛情のある女性を演じてて良かった。
特に対戦相手の中西(窪田正孝)の軽い性格に隠れた繊細さ、試合になるとぶつかり合う闘争心が凄まじく手を汗握るバトルで、クライマックスは私も会場内に居るような臨場感を醸し出していてリアリティーがありました。
気になったのは哀川翔さんの不安定な演技と捉えるべき客層、令和となった今に若い人に注視してもらうには難しい題材だったのが残念に思えた。
また見ればいい
瀬々敬久監督の作品の中で、1番好き。
血の繋がりのない2人が、ボクシングを通して、お互い持つことの出来なかった父・息子の関係のように、他には無い強い絆を深めていく。佐藤浩市、横浜流星がキャリアで最も熱の篭った演技を魅せ、観客に震える涙を与えてくれる。なんとまあ、美しい映画なんでしょうか。
最初のカットの美しさに驚愕した。
広岡のこれまでを、ただビールを丁寧に飲む後ろ姿で物語らせる。この時点でわかる、只者じゃない映画だと。佐藤浩市から放たれるオーラ、瀬々監督特有の淡い色合い、不思議と引き込まれる優しいカメラワーク、全てが相まって完璧なショットとなる。冒頭にして、1番のお気に入りシーンだ。藤井道人監督「余命10年」も素晴らしかったが、この映画の桜はもっといい。それも散る姿が悲しくなく、来年の桜にバトンを渡すような、力強い勇姿がある。そう、そんな桜が本作の全てなのだ。
毎度の如く、横浜流星はすごい役者だ。
彼以上に、熱があり、魂の籠った演技をする役者はそういない。彼もまた、姿で表現する。目には闘志が宿り、抱え込んだ辛い思いも見える。もう、後がない。一瞬にしてそう思わせてくれる。映画の中のキャラクターの域を超え、佐藤浩市とどこか似た部分のある俳優だからこそ、普通のヒューマンドラマでは感じえない深い気持ちになれるのだろう。出会うのことのなかったはずの2人が、ボクシングを通して「生きる」ことを知る。佐藤浩市×横浜流星×瀬々敬久でないとなし得なかった、最高のテーマだ。
忘れちゃいけないのが、ボクシング映画としての本作。本作にも出演した窪田正孝×三池崇史監督の「初恋」、日本ボクシング映画の巨匠・武正晴監督の「アンダードッグ」が近年のベストだと個人的に思っているが、この映画はまた別の方向からボクシングを魅せてくれた。こんな震え上がる試合だとは思っていなかった。勝っても負けてもおかしくない主人公とその相手が、笑いながら、苦しみ悶絶しながら、ボクシングを全身で楽しむ。こんなシンプルなことなのに、たった1試合の中にこれまでが詰まっているように見え、その場に居合わせたリング外の人々と同じように大きな涙がこぼれた。試合後の2人も、たまらなくカッコイイ。
最近の日本映画、素直にすごい。
哀川翔、坂井真紀をもっと取り巻けば、より肉厚なドラマに仕上がったと思うが、まさかここまで胸の奥底まで熱くなるボクシング映画だとは思ってもみなかったので、大大大満足でした。あ、でも1つ言うなら、橋本環奈はちょっと違ったかな笑
井上尚弥みたいな超過モンスターじゃ、物語にならんしw
いやいやいや。
ボクシングものに外れ無しの法則通りにムネアツで切ないです。瀬々監督作品らしく2時間半の長尺で、じっくり撮ってます。役者さん、全員の演じ切ってる感が、ひしひしと伝わってきます。朝日新聞社が絡んでますが、最近目立ち過ぎだったリベラル感は抑えてます。なんと言っても、両ボクサーの肉体美ですよ。ガッツリ、ボクサーに見えます。物語は、どっぷり昭和です。ばっちり「あしたのジョー」です。と、なんか最近のハシカンさんが良い感じなんですわ。この「昭和の地味美女感」が、哀愁を誘う。
ご都合主義で良いんです。情緒に傾き過ぎで良いんです。合理性も、そこそこにしときゃ良いんです。だってボクシングものなんだからw
最近では、アンダードッグが一番好きでしたが、それに迫ります。というか、瀬々監督作品としては、ラーゲリよりも、こっちんが好き。
良かった。とっても。
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