春に散るのレビュー・感想・評価
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ボクシング試合の臨場感◎
◯キャスト好み
◯題材好み
◯橋本環奈可愛い
◯横浜流星カッコいい
◯佐藤浩市渋い
◯ボクシング試合の臨場感(本当の試合を見てる感あった)
◯試合までの仮定もリアリティあるように感じた
✕メイン2人以外の絡み。特に橋本環奈役や山口智子役の必要性
✕試合最終ラウンドのスロー演出。それまでの臨場感台無しだしパンチ喰らいすぎで耐え過ぎ
✕最後ももっと余韻ある演出欲しかった
✕最後の試合後、横浜流星が死んだかと思った(そうきたか😲これはやられた)と思ったけど……残念でした
色々と良かった(好み)だけに残念な感じが残りました
正直勝手に期待しすぎてたかも
泣きたかったなぁ
スポーツ観戦とは誰かの人生に寄りかかること
最終試合が始まるまでは、どこかで見たような映画だと思って観ていた。今を生きる若きボクサーと過去に一世を風靡した老ボクサーが出会い、王者になるべくしのぎを削る。今時こんな若者がいるのか?平成中期の造形がそのまま描かれてない?と思いながら観ていたが、まあ、面白いものは面白い。飽きることなく観続けられた。
しかし最終戦が始まって以降は、うっすら感動しながら観ていた。それは「スポーツ選手から勇気をもらった」というありきたりな言葉に象徴されている。誰もが誰かの人生に寄りかかって生きていたいのだ。
老ボクサー(佐藤浩市)は、くすぶりながらも生きながらえてきた。あとはもうゆっくりと燃え尽きることを望んでアメリカから日本へ帰ってきたのだろう。若きボクサー(横浜流星)も同じようにくすぶっていた。しかし、燃やし尽くすことを望んでいた。
若きボクサーも老ボクサーに寄りかかった。自分の人生を悔いなく生きるために。老ボクサーは若きボクサーに寄りかかった。自分の人生を託す意味を含めて。そして最終戦が始まり、選手を応援する観客もまた若きボクサーに寄りかかっていた。選手の人生を自分の人生と勘違いすることで熱狂し、熱い思いを勝手に受け取るのだ。
最終戦が始まるまではどこかで見たような映画、もっと言えばありきたりで普通な映画だったのは、映画を観ている私たちが上手に若きボクサーに寄りかかるための導線だった。あれがあったからこそ、映画の観客も熱狂することができる。
と、私は人生を熱とか炎とかで表現することが好きだが、映画では桜だった。ボクサー二人が出会ってからの一年。夏から冬にかけて地味な期間を過ごし、春にぱっと咲いて散る。そのはかなさ、美しさよ。とてもいい映画だった。
本物感
沢木耕太郎原作、ということで物語はキレイすぎるくらいキレイにまとまってる。瀬々敬久監督だし、演出は手堅い。
しかしそれだけならまぁ秀作というところだったろう。
それをひとつ抜けた作品にしているのは、間違いなく横浜流星と窪田正孝の徹底した役作りだろう。ボクサーにしか出来ない、ボクサーにしか見えない、そういう動きを体得していた。それがドラマを本物に見せる。だからエモーションがぐっと盛り上がる。拳を握りしめて応援してしまった。
佐藤浩市のトレーナーらしさや、もう一人のボクサーを演じた坂東龍汰も良い。
ここのところのボクシング映画に必ず登場して指導もしている松浦慎一郎の果たした役割も大きかったのだろうと想像される。
観て良かったです。
本気で殴り合うど迫力。
見応えのある秀作でした!ケンカ空手で有名だったフルコンタクトの極真空手で鍛え、空手の世界大会で優勝経歴を持つ横浜流星さん。僕も学生の頃に極真道場に通ってたけど、打たせ稽古に失神しそうになりました(笑)あの超過酷な練習を耐え抜いてきたのだから、すごい俳優さんですよ。
2020年の「君の瞳が問いかけている」でボクサー役が見れたけど、この作品ではさらにストイックな役作り。彼の真骨頂でした。
ストーリーはボクシングを軸に、さまざまな人生や想いが交差する王道もの。年老いた元ボクサーが若者を育て、共に夢を追いかける。いろいろな事件や挫折や流れは既視感に溢れているけど、演者たちが丁寧に仕上げている。
元ボクサーたちの悲哀感がたまらない。人生の最終章を賭けて臨む様を、佐藤浩市さん片岡鶴太郎さん哀川翔さんがブレずに伝える。そしてヒロインの橋本環奈さんは存在感を消したお芝居が見事。
命をかけた世界戦に挑む横浜流星さんのギラギラした佇まいは、役作りの覚悟を感じました。長い間ジムに通い、実際にプロテスト合格したらしい。相手役の窪田正孝さんもすごい。ソフトイメージな彼だけど、ヒールに徹した不気味さが怖かった。テクニックと身体造りも見事でした。
クライマックスはふたりの役者自らが本気で打ち合っているだけに、ガチの世界戦を観ているようでしたよ。「百円の恋」「あしたのジョー」「あゝ、荒野」「BLUE/ブルー」「ケイコ 目を澄ませて」邦画のボクシング名作はたくさんあるけど、リアリティでは一番だったかな。リングサイドのど迫力な臨場感を楽しむなら、映画館じゃないとね。
横浜vs窪田、演技以上の死闘
翔吾(横浜流星)は裏表のない性格で今にも爆発しそうな勢いで冷えきった広岡(佐藤浩市)の心の蝋燭に着火させてみせた。
それからの展開はコンスタントに進み、ボクシングを知らない私でも全く飽きる事なく鑑賞。
脇役も今作の為に集められた精鋭揃いで、橋本環奈ちゃんもキラキラオーラを封印し幸は薄いが愛情のある女性を演じてて良かった。
特に対戦相手の中西(窪田正孝)の軽い性格に隠れた繊細さ、試合になるとぶつかり合う闘争心が凄まじく手を汗握るバトルで、クライマックスは私も会場内に居るような臨場感を醸し出していてリアリティーがありました。
気になったのは哀川翔さんの不安定な演技と捉えるべき客層、令和となった今に若い人に注視してもらうには難しい題材だったのが残念に思えた。
また見ればいい
瀬々敬久監督の作品の中で、1番好き。
血の繋がりのない2人が、ボクシングを通して、お互い持つことの出来なかった父・息子の関係のように、他には無い強い絆を深めていく。佐藤浩市、横浜流星がキャリアで最も熱の篭った演技を魅せ、観客に震える涙を与えてくれる。なんとまあ、美しい映画なんでしょうか。
最初のカットの美しさに驚愕した。
広岡のこれまでを、ただビールを丁寧に飲む後ろ姿で物語らせる。この時点でわかる、只者じゃない映画だと。佐藤浩市から放たれるオーラ、瀬々監督特有の淡い色合い、不思議と引き込まれる優しいカメラワーク、全てが相まって完璧なショットとなる。冒頭にして、1番のお気に入りシーンだ。藤井道人監督「余命10年」も素晴らしかったが、この映画の桜はもっといい。それも散る姿が悲しくなく、来年の桜にバトンを渡すような、力強い勇姿がある。そう、そんな桜が本作の全てなのだ。
毎度の如く、横浜流星はすごい役者だ。
彼以上に、熱があり、魂の籠った演技をする役者はそういない。彼もまた、姿で表現する。目には闘志が宿り、抱え込んだ辛い思いも見える。もう、後がない。一瞬にしてそう思わせてくれる。映画の中のキャラクターの域を超え、佐藤浩市とどこか似た部分のある俳優だからこそ、普通のヒューマンドラマでは感じえない深い気持ちになれるのだろう。出会うのことのなかったはずの2人が、ボクシングを通して「生きる」ことを知る。佐藤浩市×横浜流星×瀬々敬久でないとなし得なかった、最高のテーマだ。
忘れちゃいけないのが、ボクシング映画としての本作。本作にも出演した窪田正孝×三池崇史監督の「初恋」、日本ボクシング映画の巨匠・武正晴監督の「アンダードッグ」が近年のベストだと個人的に思っているが、この映画はまた別の方向からボクシングを魅せてくれた。こんな震え上がる試合だとは思っていなかった。勝っても負けてもおかしくない主人公とその相手が、笑いながら、苦しみ悶絶しながら、ボクシングを全身で楽しむ。こんなシンプルなことなのに、たった1試合の中にこれまでが詰まっているように見え、その場に居合わせたリング外の人々と同じように大きな涙がこぼれた。試合後の2人も、たまらなくカッコイイ。
最近の日本映画、素直にすごい。
哀川翔、坂井真紀をもっと取り巻けば、より肉厚なドラマに仕上がったと思うが、まさかここまで胸の奥底まで熱くなるボクシング映画だとは思ってもみなかったので、大大大満足でした。あ、でも1つ言うなら、橋本環奈はちょっと違ったかな笑
井上尚弥みたいな超過モンスターじゃ、物語にならんしw
いやいやいや。
ボクシングものに外れ無しの法則通りにムネアツで切ないです。瀬々監督作品らしく2時間半の長尺で、じっくり撮ってます。役者さん、全員の演じ切ってる感が、ひしひしと伝わってきます。朝日新聞社が絡んでますが、最近目立ち過ぎだったリベラル感は抑えてます。なんと言っても、両ボクサーの肉体美ですよ。ガッツリ、ボクサーに見えます。物語は、どっぷり昭和です。ばっちり「あしたのジョー」です。と、なんか最近のハシカンさんが良い感じなんですわ。この「昭和の地味美女感」が、哀愁を誘う。
ご都合主義で良いんです。情緒に傾き過ぎで良いんです。合理性も、そこそこにしときゃ良いんです。だってボクシングものなんだからw
最近では、アンダードッグが一番好きでしたが、それに迫ります。というか、瀬々監督作品としては、ラーゲリよりも、こっちんが好き。
良かった。とっても。
小説と違った良さあり、また小説も映画と違った良さあり!
この映画、予告を見て絶対観たいと思い小説を読んで予習しておきました。しかし、その必要はなく映画は迫力のあるボクシングシーンからして所謂ボクシング映画としての割合が大きいですが非常に楽しめました。どちらが勝つか分かっていた自分としては知らなかった方が良かったかもしれません。
小説の方は単なるボクシング物だけではなく主人公はあくまでも広岡仁一であり、人生の後半の生きざまを彼を含めた昔の仲間と一緒に若いボクサーを育てる事でどうしていくのか?に焦点をあてています。
映画は2時間ちょっとの映画の尺の制限の中上手くまとめ上げたのではないでしょうか
映画を見てからまた小説を読み返したいと思いました。
※注意、ここから小説ネタバレ
ただ上下二巻の小説から二時間ちょっとの映画にするにあたり大分小説とは違う所があります。まず、小説の上巻はほとんど省略されています。三羽烏として広岡を含め三人の仲間が出てきますが小説ではもう一人星という仲間がいます。哀川翔の藤原は大塚側のセコンドになりますが小説では黒木側で黒木のトレーナーを積極的にやっています。黒木は4人のトレーナーの得意技を習得していくのです。橋本環奈は広岡の姪ではなく広岡の買った家の不動産屋の事務員で予知能力があります。山の子ジムは小説にはなく黒木は大塚と同じ真拳ジム所属です。最後の世界戦を戦うのは中西ではなく外国人選手です。黒木の母親は小説では出てきません。他にも沢山違いがあります。
小説ではボクシングシーンの描写もよく伝わりとても映画同様面白いですが四人の老いたトレーナーや佳菜子(橋本環奈役)らとのほのぼのしたやりとりを楽しめたり主人公らの人生哲学みたいなのも考えさせられます。
原作と映画の内容がかなり違いますがそれがダメだとは思いませんでした。それぞれがそれぞれの良さがあると思います。気になった方は是非小説も読んでみてはいかがでしょうか。
流星群(o^^o)
このタイプの作品は予告を観ただけで大体のストーリーが想像出来ます。
本作も然り。
誰が勝つのかが見所で、誰かが後遺症を負ったり命を落としたり、、
なんだろ〜と。
案の定、ストーリーに目新しさは感じなかったし、本作オリジナルの強みみたいな所も薄かった印象。。( ; ; )
広岡(浩市さん♡)の渡米後の成功も話しが出来すぎだ。
あんなクレバーなボクサー見たことない。。。
ごめんなさいm(_ _)m ×100!
そしてお決まりの病気持ち。。
自らが成し遂げられなかったチャンプの夢。そこに、未来を託せる才能のある若者が都合良く登場。
世界タイトルマッチが決まるまでのマッチメイク。大した苦労も努力も描かれずスムーズ過ぎる。。
やっぱりか。感。。ムムム。。
そしてほぼすっぴんで登場の環奈ちゃん。
集客要員でしょうか。この部分は蛇足。全くなくてもよろしい。
でも今まで見たことのない苦労が滲み出た演技は新鮮で良かったですよ(^。^)
もっと言うと会長の娘(山口智子さん)の絡むシーンもいらなかった。。
削除しないで。
でも、このお二人が出ていなかったら、大分観る方減るでしょうから仕方なし。。
ただ、物語に深みを出すのならこの分の尺を広岡、翔吾(流星君)に使うべき。
広岡、翔吾の心に空いた穴を埋めるべく、その負の感情を原動力として進む姿を深掘りして欲しかった!
買い物も行かんでよし。
ラストの翔吾、佳菜子(環奈ちゃん)の部分も同様で蛇足。
桜の木の下に
広岡が倒れているシーン。。からの、
タイトル「春に散る」バーーーン!!
で清く終わり!!の方が好みでした。
と、書いてみて、マイナスに感じた所が多くて自分でもびっくり('◉⌓◉’)
あ!私、ボクシングは女では知っている方だと思います。
嫌いじゃないですから!
東京ドーム!!!の近くのジムで試合を観た事もありますw
ここまでマイナスに感じた事が多かったのに、なぜ星4にしたかというと。
流星君、窪田君、坂東君が本物のボクサーに見えたから!!
坂東君、そんなイメージなかったので、えらい驚いた!!
3人ともシャドーやサンドバッグを打つ姿も様になっていたし、流星君のあのスピードとパワーのあるパンチをミットで受ける浩市も地味にすごい٩( ᐛ )و
役者さんて本当に凄い!ここまでやっちゃえるんだもん!尊敬します。
試合シーンは圧巻です!
本物のプロ同士のファイトに見えます。
飛び散る汗!パンチの当たる音!
歪む顔!リアル過ぎて私もその場で観戦する観客になったかのようでした。
翔吾vs大塚 翔吾vs中西
この2試合は、3人の、ボクサーを演じる役者としても、作中のボクサーとしても、本気の
「負けたくない」という気持ちがビシビシと伝わってきました。
勝敗は決まっているのですが、決着がつくのが辛かったです。
見所のタイトル戦、ファイナルラウンドまでもつれるので仕方ないが、スローモーションでの処理が多過ぎて残念。
流れが変わるワンラウンド位長回しで観たかった(や、死んじゃうかw)
本当のタイトルマッチを観ている感覚にまでしてくれたので、そんな風に思っちゃいました。
そして、セカンドキャリアについて。
これは老いた元ボクサーだけの問題ではなく、老いてからどのように生きるか、どのように死に向かうのか。。
特にスポーツ選手は引退後の人生の方が長いですもんね。。
いっときの栄光と引き換えに失う物の大きさ。
日本ではチャンプになったって一生食べてはいけません。。
私なら天秤にかけてしまいそう。
「男の美学」リカイ ガ ムズカシイ
考えさせられました。
原作上下巻合わせ900ページ超えの大作を130分に収めるのは難しいですね。
ちょい浅のストーリーや構成、人物描写の不足などのマイナス面をさっ引いても役者の迫真の演技が上回り、魅せられました。
ので、星4です!
あと、これは蛇足です。すみません。
最初のパパボクサーとの試合。相手の奥さんと子供。あんな近くで、あんな応援されたら本当に嫌だw
芸人さんの「こんな応援はイヤだ」のフリップ芸みたいで笑っちゃったw
あと、流星君のファンの事を
「流星群」っていうらし〜ですw
あと、やっぱり浩市の白髪ヘアはまだ見慣れない(°▽°)
マイナスに感じた事をたくさん書いてしまいましたが、私の感じた事ですので、作品や演者さんを否定する気持ちはありません!
生暖かい目でお願いしますm(_ _)m
ジャパニーズドリーム?
ここのところ全く好印象のレビューをしていないので、
今度こそは!と意気込んでいたのだが全くの期待外れ。
ロッキーのような圧倒的な迫力は期待できないとしても、
あれだけの戦闘シーンがありながら高揚感のかけらも出なかった。
むしろ会場のチープさや観客のわざとらしさに白々とするばかり。
設定もありきたりでジャパニーズドリームには無理があった。
では、日本らしい琴線に触れるような細やかさがあったかというと、
私には微塵も感じられなかった。
佐藤浩一や山口智子など主要なキャラの設定がブレブレで、
え⁉︎と思う不可解なシーンの連続に何度も吐息が漏れた。
窪田正孝も最初はいい感じだったのに尻すぼみ、ガッカリだよ。
もう本当にそろそろポジティブな気分で映画館を後にしたい。
ボクシングでつながる2人に特化したつくり
物語的には予告編で全て。
オーソドックスなボクシングもので、あまり目新しさはなかった。
それでも唸ったのは3点。
ボクシングに関しての2人に特化したエピソード構成。
恋愛や家族のことは補助的で、いつのまにか一緒に暮らしてたりなどろくな説明もない。
これが疾走感を生み出しているのと、2人の関係性だけが浮き彫りになっていくところがよかった。
(恋愛などを重視する人には雑とも捉えられかねないが)
次に、生き生きした老人たち。
特に、かつてボクサーでもあった片岡鶴太郎の動き。
そして、ラストの世界戦の試合シーンの、リアリティある撮影。
『ロッキー』みたいなファンタジー風味ではなく、本当に世界ランカーが試合やっているみたいに見える演技、カメラワーク、照明、レンズがすごかったのだ。
もう少し、師匠(広岡=佐藤浩市)直伝の技を見せてくれたほうがいいと思ったが、やりすぎると漫画っぽくなるから、これでいいのかな?
役者と製作陣の熱量に圧倒される
元プロボクサーと、夢を諦めかけていたボクサーの青年の師弟関係を描いた作品。
役者の熱量が高く、製作陣の熱意を感じる。黒木と中西の試合シーンは、本物のタイトルマッチを見ているような迫力。圧巻です。
『二人は「一瞬」だけを生きると決めた』…このキャッチフレーズが言い得て妙。
自分が輝ける一瞬に命を燃やして、後先考えずに走り抜くことって、誰にでもできることじゃない。
そういう劇的な生き様に人の心は動かされて、夢を見せてもらえるんだな、と感じる作品でした。
映画という尺に収めるために、若干唐突なシーン展開もあるが、その違和感を上回るほどの熱でこちらを魅了してくれる作品です。
まだ観ていない方は是非!
ふたりの出会いからタイトル戦までの1年間にてんこ盛りにしながら、ダレずに引きつけるのは瀬々監督の力業でしょう。ギッシリ濃密な力作です。
ボクシング映画にハズレはない。そしてシンプル。リングでは倒すか倒されるか。殴り合いにのめり込む人々の生き様(時には死に様)や人間模様がドラマとなるのです。
何者でもなかった主人公が、血と汗と涙の末に夢をかなえる。胸が熱くならないわけがありません。
一方でボクシング映画は難しい。スポ根の王道を行く物語はこれまで何度も作られており、どこかで見たようなとなるからです。それだけに、試合の場面がウソくさいと全てが台無し。
このところ俳優が体作りに精を出し撮影技術も蓄積されて、「BLUE/ブルー」「ケイコ 目を澄ませて」など力作が目立つこのジャンル。本作は沢木耕太郎の同名小説を、瀬々敬久監督で映画化しました。見応え十分、プロの力を感じさせる一作です。
●ストーリー
40年ぶりに故郷の地を踏んだ、元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)。引退を決めたアメリカでホテル事業を興し成功を収めていましたが、心臓に病を抱え、不完全燃焼だった人生にケリをつけようと突然帰国したのです。
かつて所属したジムを訪れ、かつて広岡に恋心を抱き、今は亡き父から会長の座を継いだ令子(山口智子)に挨拶した広岡は、今はすっかり落ちぶれたという二人の仲間、佐瀬健三(片岡鶴太郎)、藤原次郎(哀川翔)に会いに行きます。
ある夜、酒場で絡んできたチンピラを軽々と殴り倒した広岡。それを近くで見ていた黒木翔吾(横浜流星)は、そのパンチに見惚れて、思わず広岡に手を出してしまうのです。翔吾は、不公平な判定負けに怒り、一度はボクシングをやめた元ボクサーでした。しかし広岡は翔吾を必殺のクロスカウンターでKOしてしまいます。この一発で翔吾はボクシングへの情熱に目覚めるのでした。
季節が巡り、一軒家を購入した広岡は、佐瀬や藤原に広岡の姪の佳菜子(橋本環奈)も加わり、不思議な共同生活が始めていました。そこへ翔吾が訪れ、再起を期してボクシングを教えてほしいと頼み込みます。
やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、翔吾はもちろん一度は夢を諦めた周りの人々を巻き込んでいきます。果たして、それぞれが命をかけて始めた新たな人生の行方は?
●感想
元ボクサーの広岡と路地裏でクロスカウンターを打ち合う翔吾。この。瞬間”が、運命を決定づける出会いのシーンが鮮烈です。
大筋は正統派。ともに不当な判定負けを喫した過去を持ち、黒木は再燃した勝負への熱意を広岡にぶつけ、老境に差し掛かった広岡は諦めた夢を黒木に託す。世界を目指す2人に、父子のごとき絆が生まれるのです。
世代間の継承という主題は、老いたロッキーが青年を指導する「クリード チャンプを継ぐ男」を連想させます。味わいはもう少し複雑。翔吾にとっては人間的成長を遂げる通過儀礼の一年間でもある。対して仁一は黒輝明の「生きる」ではないが、残された人生でどんな仕事をするべきかとの問いに向き合うのです。
原作では、老いた男の生き方、あり方をテーマにしたところに新しさがありました。映画は、一度はボクシングを諦めた青年の再起に同じぐらい重きを置いたのです。
定番の展開となり、盛り上がりは保証されましたが、同時に既視感も出てしまいました。また主人公が2人になったため、感情が迷子になってしまいました。その点は難しいところです。
惜しむらくは、ドラマ部分が駆け足なこと。上・下巻ある長い小説を、2時間13分の映画に収めたせいかもしれません。翔吾の恋人になる佳菜子(橋本環奈)、仁一に複雑な感情を抱くジムの会長、かっての仲間との人間模様にまで踏み込んだせいで、話が散漫になったきらいがあります。エピソードを絞るか、2部作にしても良かった気がするのです。 とにかくこれだけのドラマを、黒木と広岡の出会いからタイトル戦までの1年間にてんこ盛りにしながら、ダレずに引きつけるのは瀬々監督の力業でしょう。ギッシリ濃密な力作です。
●素晴らしい横浜流星の役作り
ともあれ横浜がいい。最近の日本のボクシング映画では、「あゝ、荒野」の菅田将暉、「アンダードック」の森山未束も良かったですが、それ以上でしょう。肉体は本物のボクサーのようで、筋肉を付け鍛錬を積んだのが分かります。パンチにもキレがあり、走るシーンまで美しいのです。
試合場面では音といい動きといい、本物らしく見せる工夫が十分。クライマックスの20分にわたる死闘は、まさに手に汗握ります。激しくストイックなトレーニング風景など、定番要素は十二分に盛り込まれ申し分ありません。
原作では脇役だった中西を敵役に格上げし、翔吾陣営を挑発する世界王者にしたのもいいアイデアでした。演じた窪田正孝の小憎らしい演技と持ち前の身体能力も手伝って、ピリピリとする打ち合いとなりました。最後のスローモーションの多用と判定による決着を除けば、ボクシングシーンに不満はありません。
●広瀬は監督の分身
老いや死をどう迎えるかの美学を描いた原作を踏まえた本作は、どこか黒澤監督の『生きる』につながるところを感じました。特に唐突に描かれるラストシーンはまさにそれです。
瀬々は仁一に自分と同じ大分出身の設定を付与し、同い年の佐藤に主役を託しました。広岡がボクシンから離れていた空白期間は、瀬々が映画作家として日本社会の軋みを描き続けた時期と重なります。そして今、分断や格差を埋める架け橋となり、チャンスを与える存在となって本作に取り組んだのです。
広岡に瀨々監督を重ねて鑑賞すれば、きっと瀨々監督の映画の情熱を感じることになるでしょうし、瀬々個人の“うた”が確かに聞こえてくることでしょう。
日本的ボクシング映画
原作は読まないので、何処まで原作によりそっているかは知らないけどすっごくよかったです。
ハリウッドの映画とはやはり違うなとおもうし非常に丁寧に作っていると思います。横浜流星さん、窪田正孝さんは経験済みだけど今回は更に磨きがかかっていましたね。ボクシングシーンは本物に見えていました。
リングでのファイトシーンは迫力がありました。
只ラストシーンが正直いまいちだったかなと思います。
個人的には、三羽烏と言われた佐藤浩市さん、片岡鶴太郎さん、哀川翔さんのリングに上がっていたファイトシーン等があればよかったかなと思います。
流星くんの魅力にノックアウト!
様々な人間模様が描かれた中に懐かしい昭和の時代も感じられキャストの皆さんの演技力が素晴らしかったです。とにかく横浜流星くんがかっこよ過ぎた!
しょぼい
黒木がチンピラかぶれだったのに、橋本環奈の前では急に好青年になってるのに、おい!キャラ変わりすぎるでしょ!
黒木があれだけファイト見せたのに、じいさんは手術怖いって手術せず桜の木の下で花びらまみれで野垂れ死にするし。
たとえ死んだとしても、最後のシーンがしょぼい。
橋本環奈がもう家を出た黒木に走りよって新妻気取りでお弁当を持っていくのがわざとらしいし、おそらくマドンナ役なのに、ひたすら暗いのよ。
黒木はチンピラかぶれじゃなく、黒髪で話し方も好青年になり、リクルートスーツ着てるし、結局サラリーマンになるんかーい。
通勤途中、知らないじいさんとぶつかりそうになり、「見えてないんかい!」とキレられるシーンあるけど、黒木の表情だけで、見えてないと分かる表情やらが欲しかった。黒木の演技力が乏しい。
しかも、通勤途中、死にものぐるいで走った土手にきて、ずっと後ろ姿だけで、突然「走りゃいいんだろっ」とチンピラ言葉になり、ジ・エンド。
後ろ姿じゃなく、黒木の表情で様々な思いを伝えたっていいし、幻、幻覚、妄想、せめて空耳でじいさんの声くらい流しても良いよね。
1枚の桜の花びらで始まるなら、最後は桜の花吹雪くらい散らしても良いと思う。
映画を観る人の気持ちを考えていない。今時、読解力が必要な映画はめんどくさい。
非常に後味が悪い映画です。
邦画久々に観たけど、相変わらずしょぼいのにガッカリした。
レビューが良かったから期待した私が浅はかだった。
結局は、若造のわがままに振り回されて老人が死に、自分は片目になりボクシングも出来ず、そこまで犠牲を払ってようやくサラリーマンになると言う薄っぺらい映画です。
迫真の演技
と言うか、演技の域を超えた特に試合シーンでした。二人とも体が完全に出来上がっていますね。横浜流星さんがプロテスト合格や、窪田正孝さんの怪我ってこの作品の影響でしょうか。ストーリー展開も面白かったです。
すっぴんのハシカンは最高❤️
なんだけど、、、
うーん、ストーリーがベタベタなのは分かりきっていたので、特にマイナスにはならないがw、例によって「制作者側は明白のことなのに、観客にはうまく伝わっていない」というシーンが見受けられた。
例えば冒頭の土手をダッシュするシーン。6本しか出来ない黒木に「10本出来るようになってからだ」と突き放すのだが、その“ダッシュ”の苛酷さがイマイチ分からない。草むらをハアハアしながら走っているだけで、ロングも無ければ主人公目線も無い。
そして最初の試合のシーンで、相手の妻子が必死になって応援している姿を見て黒木のラッシュの手が緩んだかと思えば、最後は叩き潰すような流れになり、ジンに呆れられて叱責されるが、何がいけなかったのか私には良く分からなかった。
父親(ジンの兄)が死んで大分の実家が解体されてしまったハシカンが、(そうなるだろうけど)いつの間にかシェアハウスに住んでおり、いつの間にか黒木と恋仲になっているのが唐突すぎる。スマホで「これが広岡家の最後です」というだけでなく、少しは説明を入れてよ。
最後の日本人同士の世界タイトル戦なんて武道館や国技館、横アリレベルのデカい箱でやるのは当たり前で、あの三千人くらいの狭い会場なんてあり得ない。その辺りに日本映画の限界を見るしまう。
…とクドクドと言っては見たけれど、全体的には良く出来ていたと思う。ファイトシーンはどれも素晴らしかったし、最後のシメもアレしかない。
そして、タイトルにも書いたが、すっぴんの橋本環奈は素晴らしい。つい先日はミノムシのような汚い格好で出番も少なかったのに…これぞハシカンここにあり!かと。
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