劇場公開日 2023年9月1日

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「山田ワールドに大泉洋がドハマり!」こんにちは、母さん shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0山田ワールドに大泉洋がドハマり!

2023年8月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

しみじみ良い作品。
肩越しのアップや、暖簾ごしから次のポジションに移る完璧なアングルに痺れます。
絶妙なタイミングで鳴く蝉が、たまらなく気持ち良い!!
両引き戸を開け放つ吉永小百合のエモさ。
この感覚がたまらなく好き。

非常に山田洋次的な映画ですが、おんとし91才!
現場でメガホンを取っているのかしら??
お元気で何よりですが、実のところ『お帰り寅さん』『キネマの神様』で、山田洋次監督は映画界への遺言を撮りきったと思っていました。
なので、思いもかけなかった追加プレゼントに驚いています。
しかも吉永小百合さんが主演!
岡田裕介氏が亡くなって、もう彼女が主演の映画は見られないかも…と思っていたのでWで嬉しい!
これで母三部作が完結するのですね。
いよいよ伝え残すことは無いはず…と思って見始めましたが、なんのなんの。
このタイミングで芸達者な大泉洋を山田組に迎えて、水を得た魚のようにますます元気!
渥美清→西田敏行→大泉洋
このままシリーズ化もできそうな勢いでした。
実際、これだけ多作で山田演出がブランド化されているから、優秀な山田組のスタッフで作れそう。笑
ファンタジーに社会的な問題をプラスするところも山田洋次監督の魅力なので、老々介護問題も撮ってほしい。

良くも悪くも昭和な人々
褒め言葉だと思って“美人”をつけるオヤジ
紙に印鑑
鍵をかけない家にご近所さんが上がってくる…
辛いこともあるけれど、人と人の繋がりで生きていける。
寅さんも明るく楽しいイメージですが、実は深刻な悩みを抱えたマドンナも多いんですよね。死に場所を探していたり。
山田洋次監督は「いつでもおいで」と言ってくれる人がいることの大切さを描き続けている気がします。
昔は「とらや」がシェルターでしたが、今はボランティアや教会がその役目を担っている。

そして忘れてはいけない、次の世代へ伝えるべきことは田中泯さんが背負ってくれてます。
ちなみに下町生まれ下町育ちの私の姑は、隅田川の花火を見ませんでした。とくに「しだれ柳」は焼夷弾に似ているそうで怖がっていました。

店舗兼自宅が良い!
昔ながらの 畳 板の間 縁側 物干し
そんな和風な建物と絶妙なバランスで溶け込んでいるレトロでモダンなソファーが一際存在感を放っていました。
どういった経緯でここに落ち着いたのか、想像を掻き立てられます。
そして2階へ上がる階段は、やっぱり良い。

追記:クドカンが事務所で走るシーンに驚きました。あの躍動感の意味…
会社へのフラストレーションの爆発??
カメラを動かしてみたくなっただけ??

shiron
shironさんのコメント
2023年10月15日

Mさん、コメントありがとうございます!

そうなのですね!現場でバリバリ演出なさってたとは。恐れ入りました。
まだまだお元気なら、次も期待できそうですね!
教えてくださって有難う御座いました。

shiron
Mさんのコメント
2023年10月2日

あと、吉永小百合さんに対する監督の演出が予想以上に厳しかったのに驚きました。
天下の吉永さんにあんなに厳しい物言いができるのは山田監督だけだろうなあ、と妙に納得しました。だから、山田さんのスタッフだけで、今までと同等の作品を作るのは無理かもしれませんね。似て非なるものになりそうな気もします。
表題の「山田ワールドに大泉洋がドハマり!」はまさしくその通りだと思いました。
山田さんにはあと10年程はがんばってもらって、大泉さん主演の作品を作り続けて欲しいものです。

M
Mさんのコメント
2023年10月2日

NHKの「プロフェッショナル」はご覧になられましたか?
山田監督と吉永小百合さんの回でした。
最初、吉永さんが「最後の作品が山田監督のもとでできてよかった」みたいなことを言っていたので、少し心配していましたが、映画を撮り終えて試写会(山田監督は不在でした)の後のコメントがとても印象深いものでした。
ぜひ機会を見つけてご覧ください。

M