「ウクライナ支援入口からの、普通に素晴らしい映像体験!」ストールンプリンセス キーウの王女とルスラン tohru hayabusaさんの映画レビュー(感想・評価)
ウクライナ支援入口からの、普通に素晴らしい映像体験!
(良かった点)
アニメーションの色彩がとにかく美しい。街の通り、水辺、雄大な自然(おどろおどろしい場所も)。人物の肌の陰影も自然でよかった。
キャラクターはディズニーみ強めだが(少しヒックとドラゴンを連想)、造形や表情の動きが主人公2人を筆頭にとにかく活き活きしてて、かつチャーミング!
ケーキたちが魔力吹き込まれてミラを追うシーンでは、ジブリみ(千と千尋み)も感じれたな。
折り鶴が出てくるのもよかった。
後に日本で配給が決まることと、何か不思議に結びついてくるような。
「魔法の本質」について気づかせてくれた場面があった。
チェルノモールが姿を変えた偽りのミラが、ルスランに「助けになんて来なくてよかった」と彼の思いや意志をを打ち砕くシーン。
魔術でミラの姿へと「ほぼ完璧に」化けていたからという前提はあるが、やはり「言の葉」は間違いなく魔法なのだと思った。時には人に奇跡的な行動力を与えもするし、呪いを与えもするものだ。
ストーリーはザ・王道ファンタジー。
映像や展開は疾走感に満ちていて、小さい子から大人まで100分引きこむ力が全編、宿っている。
主役2人の声の演技、見事。INUのテーマソングも、映画の雰囲気と合っていた。
(惜しかった点)
・メインビジュアル(ポスター画)のルスランの表情がちょっともったいなく思う。口をゆがめて、何か良からぬ巧みをしている感じに見えてしまって。でもスクリーンのルスランはそうじゃない、ピュアで勇敢でただただすごく良い奴。
もっと魅力的な表情にしてあげてほしかった…。興業収入にも結びついてくるレベルだと思う。
・「人は生まれに縛られなくていい」「なりたい自分になろうと努力して良いのだ」という変革が王国に訪れたのかどうか、分からなかった点。物語の大きなテーマの一つだったので、この解題は必ず欲しかった。
・脇役たちのエピソードや裏設定がもう少しあると良かった。
例えば、魔法使いフィンが実はミラの父親で…とか、イヤミな騎士と兄弟のトホホなやりとり、ウナとハムスターが仲良くケンカしてるやり取りもぜひ!
・ラストの展開よ…。
(原作未読なので、オリジナルストーリー通りなのか不明ですが…。)
ルスランが倒れ、ミラが救う!の展開は胸熱なので、チェルノモールをもっと困難の末、機転を効かせて(あるいは、歴代の姫たちの愛の力も借りて)倒す、とかが良かった。
そして、魔力取り戻したフィンがあっさりルスランの命戻しちゃうのもなぁ。
不満も書いてしまいましたが、「すごくいい映画見られた!」と充実した気分で映画館を後にしました。
このアニメーションスタジオが手掛ける他の/今後の作品を、ぜひ観たいな!と感じました。