マッドゴッドのレビュー・感想・評価
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一見の価値があると言えるでしょう
フィル・ティペットの頭の中を具現化したようなアート作品。
冒頭にある聖書のレビ記の引用が全てで、台詞やストーリーテラーも全てありません。
死ぬ為にあり、また死ぬ為に生まれる。一才の救いのないディストピアがそこにあります。
驚かされたのがこの世界、日本で描かれている“地獄”そのものなんですよね。
ストップモーションだけでなく、CGや実際の人間も(何故か映画監督のアレックスコックス)ミクスチャーされた絵は本当にカオス。
全編グロテスクで醜いクリーチャーが溢れた世界観は、観る人を極端に振り分けると思います。
が、この強烈な映像は一見の価値があると言えるでしょう。
すごかったです。
既に大きな仕事をやり終えたオジのライフワーク
不気味なクリーチャーと残虐非道行為がひしめく世紀末のような星の地獄めぐりをストップモーションで描いた話。
元々3つの短編だったものを1本に繋げたみたいで、ストーリーはほぼない。とにかく気持ち悪いけどちょっと可愛いクリーチャーの造形やこの星の世界観、あとはストップモーションならではの「これ動かしたの!?」を楽しむ作品。
比較するべきではないとしてもやっぱり最近の『JUNK HEAD』が頭の片隅にちらほら出てきてしまって、『JUNK HEAD』がレベル100なら今作はレベル1000ぐらいに感じた(単純に記憶が薄れてるだけかも?)キャラの全身が柔軟に動く上に造形が複雑、さらにそこに風が吹いたり何体もいたりするし、普通に動いてる人も出てきたり。予算が違うとはいえ貫禄を見せつけられた感じ。
監督のやりたい世界観で、やりたいシュチュエーションで、監督のフェチ全開のクリーチャー、が先行していて、まさに既に本業で多大な業績をあげたオジの趣味兼ライフワークだなと思った。観客を楽しませるぞ!より、俺の好きなものを見てくれ!!って感じね(笑)庵野さんみたいな感じね(笑)
ストーリーないとはいえ、謎の惑星で働かされている奴隷が何の因果もなく簡単に踏み潰されたり飛ばされたりするのを眺めている主人公的なマスク男も足元の小さい生物を気にせず踏み潰し、さらにその男もさらに大きな存在に使い回しにされているにすぎない存在だったという、因果応報的なところは好き。
地獄絵図
CGの時代真っ只中でも実物に勝る映画の魔法=映画的興奮なし!
圧倒的に作り込まれた世界の中でセリフなく繰り広げられるかくも魅惑的なダークファンタジー。時を超え執念の末に実現したこのシュールな世界観に確かな温度感を与えるストップモーションアニメという表現手法はまだ有用というか大いにあり(要する労力は果てしなく面倒くさいだろうが…)!実物ならではの没入感とでも言うか、決して所謂"リアリティー"があるようなタイプではないかもしれないけど、独自の心地よい時間が流れていた。それは映画作りの楽しさや興奮、人々を引き付けてやまない一因を凝縮して目の当たりにしているようだった。神の怒りに触れた人類最後の一人となった男によって派遣されたアサシンが地下世界で目撃する夜の終わりは、まさしく創造と破壊の賜物。時代に逆行したことを貫いたからこその素晴らしいビジュアルによる狂気と熱量に魅せられた。これは舞台裏が知りたくてパンフレット売り切れるのも分かる気がした。
MUD GOD
人類最後の男によって地下深くの暗黒世界へと派遣された孤高のアサシンは荒廃したその地で地獄を目撃する。
地下世界に広がるディストピアを舞台に、グロテスクなクリーチャーが蠢く中を進む主人公の冒険を描いた、狂気のストップモーションアニメーション。
これだけ聞くと何となく『JUNK HEAD』。
予告を見ると更に『JUNK HEAD』。
本編冒頭で完全に『JUNK HEAD』。
JUNK HEADの二番煎じ感がどうしても否めないが、実際にはこちらの方が製作開始から約30年なので、JUNK HEAD側が真似たのかもしれない。
弱肉強食の残酷な世界、人間という愚かな生き物、と毒気全開の地獄のような悪夢のような光景を延々と見させられる。
そこには忖度もユーモアも小綺麗さも何もない。あるのは汚くて気持ち悪くて、それでいてどこか神聖な雰囲気のある混沌。
確かにとんでもない映画だった。唯一無二の世界観だった。
しかし、意外にもあまり印象には残らないかもしれない。
とにかく壮大な物語。
良くも悪くも今年一番長い84分。私には少し壮大過ぎたように思う。
メッセージを詰め込み過ぎて、何が一番伝えたかったのかはっきりしない。
まさか実写を混ぜてくるとは思わないし、地下世界から最終的に宇宙に行くなんて誰が予想できただろう。
後半があのような難解な感じの展開ならば、シー・イットに喰われるクリープとか、空飛ぶモノリスにいとも簡単に轢き殺されるシットマンとかもっと観たかったような。
申し訳ないけど、私は断然JUNK HEAD派。
比べるのは違うって分かっているけれど、この内容ならどうしても比べたくなる。
ただ、嫌いではない。
完成度はこちらの方が上回るし、容赦ない描写の数々にはものすごく熱意を感じる。
いろんな観点から人におすすめできない作品だけど、私のような尖った映画好きなら観る価値は大いにある。
特殊効果の才能と話を作る才能は別
言葉がなくとも世界が伝わる
期待していたものとは違うが、これはこれで受け入れるしかない
伝説の特撮マンであるフィル・ティペットの職人技を後世に残すために製作され、それを堪能できる映画なのかと期待したが、そうではなかった。
これといったストーリーや台詞もないまま、グロテスクでおぞましい描写が延々と映し出されるが、そこで用いられているストップモーション・アニメに、特段、目を見張るような技巧はない。
むしろ、ライカやアードマンのアニメーションの方が、よっぽど洗練されているし、同じような題材と手法の「JUNK HEAD」の方が、遥かに完成度が高いと思えてしまう。
それどころか、表現技法として、ストップモーション・アニメにこだわってすらおらず、ありとあらゆる方法で、悪夢のようなイマジネーションを具現化することだけに心血が注がれているように感じられるのである。
これがティペットの作りたかったものならば、それはそれで仕方がないのかもしれないが、映画そのものよりも、紆余曲折を経た製作の過程にこそ、ドラマを感じる作品なのかもしれない。
不条理と切なさ
junk head的なの期待してたんだけど
よく作り込んでてこーゆーの好きな人にはたまらんのだろうが、セリフなしで延々グチャグチャ80分やってるのは流石にキツイ。
悪夢的な映像のオンパレードでも意味がわからんからいつの間にかホンマの夢の世界で気づいたらエンドロールでした。
まぁ、起きてても意味不明確だから感想もクソも無いんだろうけど。
よくもまあこれだけすごい映像をストップモーションで!
まるで悪夢のような、どろどろぐちゃぐちゃな映像をストップモーションで作るとは。
ストップモーションと俳優による演技とが境目なく延々と続く。
それでも、30年近く前にみた、クウェイ兄弟の「ストリートオブクロコダイル」よりは
見ていて苦痛にはならなかったな。
マッドな映画
ストップモーションへの愛と執念。
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