「【”愛のかげり”今作は、嗅覚の異常に鋭い少女が能力に覚醒し、過去の母の姿を観てしまった事により起こった事を描くタイムリープスリラーである。】」ファイブ・デビルズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”愛のかげり”今作は、嗅覚の異常に鋭い少女が能力に覚醒し、過去の母の姿を観てしまった事により起こった事を描くタイムリープスリラーである。】
■嗅覚が異常に発達した少女・ヴィッキー(サリー・ドラメ)は、こっそり母ジョアンヌ(
アデル・エグザルコプロス)の香りが付いたモノをガラス瓶に詰めて集めている。
そんな彼女の前に突然、過去に村ファイヴ・デ・デビルズを追われた叔母ジュリア(スワラ・エマティ)が現れる。
そのことをきっかけにヴィッキーのさらなる香りの能力が目覚め、自分が生まれる前の母と叔母の封じられた記憶にタイムリープしていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・作品設定が奇抜でありながら、グイグイと作品に魅入られていく作品である。
・香り(パフューム)を題材にした映画は余り記憶にないのだが、今作は”香り”が重要なカギになっている所が魅力的である。
■ヴィッキーは、学校で苛められているのだが、能力により苛めっ子たちを一瞬で昏倒させたり、更にはタイムリープにより過去に行き、独身のジョアンヌとジュリアが恋仲である事を、酒に酔った二人がパブでボニー・タイラーの名曲”愛のかげり”を仲良く歌っている姿をサングラスを掛け乍ら見ているのである。
そして、現代に戻った彼女は言うのである。
”お母さんがジュリアと別の地に行っていたら、私は生まれていなかったんだよね。”と。
・更には、過去にジュリアが皆がダンスを習っていた建物に放火し、そのために現在はジョアンヌの夫であるジミー(スタファ・ムベング)の且つての恋人ナディーヌの顔面に酷いやけどを負わせてしまうシーンもヴィッキーは、観てしまうのである。
<ラストは切ないし、色々と考察したくなるシーンが展開される。ジュリアはジョアンナがいつも寒中水泳をしていた湖に行って、身を沈める。
ー そして、その湖は且つて二人が愛し合っていた場所でもある”愛のかげり”が流れるショットが描かれる。この辺りの描き方は巧い。-
だが、その事を察知したヴィッキーは、母ジョアンナと共に湖に駆け付け、ジョアンナは救急車の中で息を取り戻したジュリアに、涙を流しながら寄り添うのである。
そして、最後に現れた褐色の肌の女の子が突如現れるのである。彼女は、ジミーと且つての恋人ナディーヌの子供なのだろうか・・。
今作は、観る側に色々と考えさせる作品なのである。>