西部戦線異状なしのレビュー・感想・評価
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『西部戦線1918』については、レビューを書いたのは、長らく僕一人
『男に権力を与えれば、野獣になる』が
『人に力を与えれば、獣になる』
となっていた。かなり意味が違うと思う。この映画の主旨は『男に‥』だと思う。
さて『西部戦線異状なし』系の映画は3種類見たが、この映画は『西部戦線一九一八年』からの着想が多かったと感じた。勿論、元祖からの着想も多数あった。従って、オリジナリティとしての緊張感が全く無い。
90年前の映画のリメイクを見る価値があるのかと感じる位のレベル。だから、本家を見てからのレビューを見る方々には望む。『西部戦線1918』については、レビューを書いたのは、長らく僕一人と言うのが情けなくなる。
また、あれから、100年以上経って、全く同じ事を、地を変えてやっていて、その国に武器を供与しようとドイツはしている。原発に誤って誤弾が、無いことを祈っている。
第一次世界大戦で、数メートルの領地獲得で1700万人死んでいると、反戦を訴えているが、噛み砕いて解釈すると、だから、第二次世界大戦では、ナチスドイツは領土拡大をして、ロシア人を殺戮したのだ。と言っている様に聞こえる。それは事実だが、そのドイツが武器供与するのは、歴史を学習していない証拠だし、こう言った映画は作れないと思う。アメリカに負けた言い訳をしている様に見える。
そもそも、第一次世界大戦と第二次世界大戦は全く違う戦争だと考えるべきだ。ソレは、第二次世界大戦の争いは侵略戦争が主体だと言う事だ。
そして、今の戦争もそれと全く同じ。だから、この映画を見て、反戦を訴えられても、感動一つしない。
追記
そもそも、この映画のストーリーは破綻している。気が付くと思うが、僕は最初気づかなかった。でも、見終わって、許せなくなった。この映画は戦争映画ではない。ファンタジー映画になると思う。
追記2 原作がそうなんだ。原作読んでいないから、驚いた。原作読んで見ようと思うが、この映画の評価は変わらず、
アカデミーノミネートはなぜ?
胸踊る新兵、塹壕戦など、何度も擦られた
第一次大戦のテッパンネタが満載。
今、リメイクするのはなぜなのかと、
ふと思う。
原作は1929年出版で本作公開(2022年)
から93年。
翌1930年映画公開から92年。
1979年のテレビ放映から43年。
今年は開戦から108年。
ちなみに終戦からは104年。
どれも中途半端。そんな中、
1つキリの良いヤツ見つけた。
「原作者のエーリヒは、生誕125年。」
はて?
ウクライナとロシアが背景にあった
としても、それでなぜに第一次世界大戦
なのか、イマイチ理解し難い。
ちなみに、1930年公開の前作は、
第3回アカデミー賞作品賞、監督賞受賞。
さて、第95回アカデミー賞国際長編映画賞
(ドイツ代表作)の行方は?
凄まじい作品
疲れた
一気に観た…疲れた〜。
100年以上前、第一次世界大戦。
フランスに侵攻したドイツ軍の最前線。
わずか数メートル進むために1700万人も亡くなったらしい。
親に嘘をついてまで入隊したパウル。
いきなり仲間達と親しくなっていたが、その辺りは割とあっさり。
ほとんど戦場のシーンだったので、息つく暇があまりなかったし、最後の最後までハラハラ。
結局は前線で戦う兵士達は捨て駒なんだよね…戦争の浅はかさ、人間はいつになったらわかるのでしょうか。
戦場の日常、究極の疑似体験。
史上最高の戦争映画と言っても過言ではない。
それくらい凄まじい作品だった。
安易に美化しないリアルなストーリー展開も含め高評価を付けざるを得ない。
プライベートライアン以降、映画における戦争描写はリアリティを増していったが、本作は一つの到達点と言って良いかもしれない。
数多ある戦争映画の中でも「理不尽さ」で言ったらずば抜けていると思うし、これが戦場の日常なのだろうと納得せざるを得なかった。
第一次世界大戦を舞台にした映画というと近年は「1917」などがあり、あちらはノーカット長回しの没入感を売りにしていた。
しかし個人的には本作の方がよほど没入感が高く、映像面でもドラマ面でも優れていたと確信している。1917はいわゆる「主人公補正」が強く、フィクショナルなストーリーだった。故にエンタメとして見るしかない。
しかし本作はそうではない。
祖国の為に戦地に赴いた4人の若者は、"偶然カメラに映った兵士"にすぎない。
どちらかといえばドキュメンタリーに近い。
彼らの"目"を通して我々は想像を絶する凄惨な戦場を目の当たりにする。
だから2時間28分という長尺ながら、一切の隙がなく油断ならない。いやそれどころか、一定の緊張感が最後の最後の最後まで持続する。
息つく間をも与えない。
エンタメ的に都合の良いストーリー展開などここにはない。目の前にあるのは理不尽な戦争だけだ。
この疑似体験を経た後、戦争にヒロイズムを感じる人間はまずいないだろう。
戦争が如何に愚かで酷く非合理的なものか、それを言葉ではなく映像で見せつける。分からせる。
いつの世も命を落とすのは未来を生きるべき若者だ。
そしてその命を踏み躙る愚かな決断をするのは年老いた時の権力者達だ。
このロジックがある限り、時代を経ても愚かな戦争は起こり続けるのだろう。そして新たな命は失われ、永遠に帰ってくることはないのだ。
アバンで描かれたとある兵士の死が、まさかあのエンディングに綺麗に繋がるとは。
戦争の本質を示唆した巧みな演出は本当に見事だった。
アカデミーノミネート作品、この機会にぜひ!
かっこいい戦争なんてない
死んだ兵士の首に掛けられている認識票の半分を切り取り袋に回収する。それが兵士の名前と戦死者数記録に使われるんだろう。このシーンが映画の冒頭と最後に置かれている意味はとても重い。
死んだ兵士の軍服は丁寧に脱がされ、血まみれの水を大量に出しながら洗われ、その軍服は大きな裁縫工場で女性達によってミシンで繕われ、新兵に渡される。新兵には主人公のパウルのようにまだギムナジウムの生徒達も居る。徴兵制でないし母親にあなたには合わないと言われていたのに、学校の教師や友達の愛国的言葉につられて志願してしまうパウル。
みんな名前があり個性があり母親が、妻や子どもがいる。飢えに苦しみドロドロになり寒さの中で塹壕戦を戦う若い兵士達、戦争が終わった!とほっとした彼ら。一方、暖炉のある部屋で素晴らしい料理と赤ワインを楽しむフリートリッヒ将軍(年寄り)は、あと15分で休戦、にも関わらずドイツ勝利の為に戦えとドイツ兵達を煽る。批判能力も思考能力もとっくに失った兵士達は従い、まさに犬死に、野垂れ死に、無駄死にへ。
4年間で300万人以上が戦死した西部戦線に「異状なし= 報告すべきこと無し(nichts Neues)」のわけがない!
休戦協定に尽力したエルツベルガー(息子をこの戦争で失っている)の話をサイドストーリーに入れていたのは良かった。敗戦国のことも考えてほしいと述べたエルツベルガーに対し、相手国のことは考える必要なしと答えたフランス側。屈辱的な条件でもそれをのめば勝利国も理不尽さをわかってくれるとエルツベルガーは思っていたに違いない(そのエルツベルガーは暗殺され、ドイツは第二次世界大戦へホロコーストヘ)。
戦争を始めるのは簡単なのかも知れないが、一度始まった戦争を終わらせることは難しい。それをなぜ人間は歴史から学ばず愚行を繰り返すのだろう。
光の使い方が美しく、空、平原、葉の落ちた木々の森など自然の映像が見事だった。それだけに人間を人間でないものにする戦争の冷酷さが突き刺さった。
おまけ
私の好きな本『エウロペアナ』(邦訳)のカバー表紙に使われているのは第一次大戦でガスマスクをつけた二人のドイツ兵とラバの写真。まさにこのガスマスクを映画の最初の方でパウルたちが装着するシーンがあって、どきっとした。
衣装やメイクも見どころ
ハラハラドキドキ映画ではありません
見応えはありました。
扇情的
連合国側の映画をみる機会はありましたが同盟国側の映画を見る機会はなかったように思います。
一青年の視点を通じて1917やThey Shall Not Grow Oldのような戦場がうんざりするリアリティで描かれていました。
原作はドイツの有名な小説で、アメリカで映画化され古典になってもいます。
泥濘で命を散らせる一兵卒と、机上で空論を戦わせている偉いさんが対比的に描かれます。エモーショナルでフラグも立ちまくる扇情的な筋立てでした。残虐や愁嘆もくどい印象を持ちました。
小説を知らないわたしでも題名が司令部報告にゆえんするものだと知っていますが、そのような場面はありませんでした。ただし、本映画化に際して小説は脚色され、和平交渉の場面などは追加されたものだそうです。
『──「西部戦線異状なし」の作者エーリヒ・マリア・レマルクは1916 年に学生として戦争に徴兵されましたが、すぐに負傷し、軍病院に移送されました。そこで彼は、重傷を負った他の兵士の話を聞き、後に世界的に有名な小説で使用されたメモを作成しました。売上を伸ばすために、レマルクはすべてのイベントを自分で目撃したと主張しました。』
(wikipedia、Im Westen nichts Neuesより)
西部戦線異状なしはフィクションですが、大志や理想をいだいて戦争へ参加した青年が恐怖し、悲しみ、恥じ入り、幻滅し、疲弊し、心を閉ざす行程──人間が非人間的になるメカニズムが描かれ──それは東西を問わず遍く普遍性のあるキャラクターとして存在しています。
かれが連合国でも同盟国でも、どちらでも通じる話である──ということです。
Edward Berger監督は、映画化にあたって、英雄的なものを排除したことを強調していました。
『「ドイツでは、おそらく他の国とは異なり、自分たちの歴史をより批判的に扱います。」
「アメリカやイギリスの作品とは異なり、ドイツの戦争映画には美化の感覚はあり得ない。」
「私たちはここで英雄的な物語を語ることは許されていません。それは常に悲しみ、恥、罪悪感、恐怖に関するものです。そしてもちろん、これらの戦争で誇れるものは何もありません。」』
(同wikiより)
Berger監督のヒロイズム排除方針は、おそらくサムメンデス(1917)にたいする対抗心があると思います。1917とまるかぶりの塹壕映画ですから、差別化をしたかったのでしょう。(──と個人的には思いました。)
しかしアメリカやイギリスの作品──とて、かならずしも自軍を美化しているわけではありません。むしろ自省する映画のほうが多いはずです。
とはいえサムメンデスに対する対抗心がこの映画のリアリティをあげていたのはまちがいないと思います。映画には恐ろしい説得力がありました。
『西部戦線は1914年10月の開戦から程なく塹壕で膠着。1918年11月の周旋まで前戦はほぼ動かなかった。わずか数百メートルの陣地を得るため、300万人以上の兵士が死亡。大戦では約1,700万人が命を落とした。』
(お終いのテロップより)
1700万人 / 1 人
全戦異状あり
戦争をドイツの視点から描く。
と言っても第二次大戦ではなく、第一次大戦。あの独裁者は生まれていたが、まだ政治の世界に入る前。
第3回アカデミー賞で作品賞を受賞し、名高い反戦映画の名作を、原作と同じ本国ドイツでリメイク。
尚、原作未読。昔の映画も未見。初めて“西部戦線”へ。
親の反対を押し切り、書類を偽造してまで、青年パウルは戦争へ。
国や周りが闘っているのに、自分だけじっとしていられない。
軍上層部も2週間で敵は墜ちると豪語。
意気高揚と戦場へ。
そんな浅はかで青臭い闘志が脆くも砕かれるのは目新しいものではない。
が、いつ見ても、どんな作品見ても、突き付けられる。
戦争という地獄を…。
膠着状態続く。
塹壕に身を隠し、響き渡る敵の銃声、砲声。
爆発や死がすぐ隣に。
仲間も次々命を落としていく。
赴いて初めて知った。戦争の現実を。
そこには掲げた理想も正義も秩序も理性も微塵も無い。
顔身体中泥や血にまみれ、過酷と恐怖に迫られ、今にも気が狂い出しそう。
先に気が狂った方がまだマシかもしれない。
こんな状況下でずっと恐怖でいたら、生きている心地がしない。生き地獄。
2週間なんてとうに過ぎ、2年経っても終わりが見えず…。
そんな中でも、気を紛らわす事が出来るのは、仲間との交流。
他愛ない話をしたり、食糧にありつけたり…。
前線で食糧の配布なんてない。現地…つまり、敵陣にて調達。銃をぶっ放してくる農夫から逃げおおせ、カモをゲット。
盗みは罪だけど、こんな地獄で生きていくには仕方ない。
が、終盤、同じシチュエーションで…。
仲間の死は辛い。それを目の当たりにするのは特に。
フォークで自分の首を刺し、死を選ぶ。負傷した身体。いつ終わるか分からないこの地獄。こんな世界で生きるよりかは…。
敵兵と遭遇。取っ組み合いになり、短剣で相手を刺す。
息も絶え絶え、苦しそうにもがき苦しむ“人間”を見て、正気を取り戻す。
とんでもない事をしてしまった…。
恐怖と後悔。幾ら戦場での任務とは言え、この手で、人を殺してしまった…。
戦場に転がる敵味方の無惨な遺体…。
毒ガスによって重なり合うように死亡…。
血と唸り声と死が溢れる野戦病院…。
戦争は、全てを狂わす。
戦争を続けたがるのは軍上層部。
が、一部は戦争終結に奔走。
会合での条件はあまりにも不条理なもの。
多くの未来の命を犠牲にし、得たものは、何も無い…。
停戦日時が決められ、後僅か。
やっと戦争が終わる。ここまで生き延びたんだ。死んでたまるか。
戦争で命を落とすのは惨劇。
戦争以外で命を落とすのは悲劇。
食糧調達で再び農家に忍び込む。が、見つかり…。しかも、撃ったのは…。
自業自得とは言え、あまりにもやるせない。
停戦間近で、あちこちで戦闘も無くなり、静かになり…。
そんな時、耳を疑う命令。英雄として帰還したくないか?
敵陣へ奇襲。
後僅かで停戦。
死にたくない。絶対に。
が、戦争の渦中には、いつだって死神がさ迷う…。
軍上層部は前線の事など何も知らない。結果や報告を聞くだけ。
停戦の時刻。戦争が終わった。
後ほんの少しだけ、早かったら…。
周囲に気を付けていれば…。
運が良かったら…。
運はここまで生き延びた事に使い果たしたのかもしれない。
戦争は悲劇でしかない。
戦場の迫力、臨場感は圧巻。
Netflix配信なのが惜しい。劇場大スクリーンで観たかった。
そして恐怖しただろう。考えさせられただろう。
この第一次大戦以前も以後も、現在も戦争は続く。
不条理な理由で。
多くが犠牲に。
人間と戦争は切り離す事は出来ないのか…?
EDクレジットによると、第一次大戦の犠牲者は1700万人以上。
最後に表示されたタイトルが皮肉だ。
西部戦線異状なし。
何処に異状など無い…?
いつだって、全ての戦争は異状ありだ。
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