西部戦線異状なしのレビュー・感想・評価
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何のための戦い、そして死
国のために戦うことは名誉なことであると焚き付けられ、現実を何も知らされないまま意気揚々と戦場へ送り込まれた兵士たち。
そしてこんなはずではなかったと後悔しながら命を落とす。
冒頭の兵士が代替え可能な消耗品であることを示すようなシーンが辛い。
戦場に横たわる無数の死体。身に付けているものを剥ぎ取られ、人間であることを忘れられたかのように雑に処分される。
そして彼らの軍服は補修され、また次の兵士へと受け継がれていく。
どこまで行っても終わらない泥沼の地獄。
兵士たちはもはや生き抜くことだけを目的に生きるようになる。
しかしほとんどの兵士がいずれ死を迎えることになる。
それが早いか遅いかで、そこには名誉も尊厳もありはしない。
ほとんどのシーンが何も知らない兵士の視点で描かれるが、この戦争の行方を決められる軍の上層部の人間の傲慢さに怒りを覚えるシーンも多い。
彼らは戦場で兵士が倒れているにも関わらず、贅沢な食事をし、己の尊厳のために戦争を長引かせている。
終わらない戦争に兵士たちの目からは次第に輝きが失くなっていく。
休戦協定が結ばれたにも関わらず、自分では手を汚さない軍の上官は、またしても名誉を振りかざしながら兵士たちに突撃を命じる。
とにかく最後まで虚しさを感じさせる作品だ。
戦っている相手も同じ血の通った人間だ。
ただ立場が違うだけで兵士同士に個人的な恨みがあるはずがない。
そしてやはりこの映画は何のために兵士たちは死ななければならなかったのかを考えさせられる。
無意味に思える死が多すぎる。
絶望の中にも一筋の光は見られるが、それでもこの映画に救いはまったくない。
どうしても1930年制作のアメリカ映画と比較してしまうが、より戦争の虚しさを感じさせるのはこちらの方か。
ただ主人公が蝶に手を伸ばそうとして敵兵に撃たれる1930年版のラストシーンもやはり忘れられない。
(良い意味で)しんどすぎる
戦争映画の大事な要素の1つとして
「戦争の虚しさを伝える」
というものがある
その事において、この映画は
トップクラスだと思う。
お通しは戦争映画テンプレートの盛り合わせ。
メインディッシュに到達するまで様式美で
正直、戦争映画を見てきた方々にとってはやや
辟易としてしまうか、歴戦の愛好家様達に
「こういうので良いんだよ、こういうので」
という塩梅になっているかもしれない。
だが、待ってほしい。
メインディッシュが運ばれてきた時に
感じる違和感と
完食後最後にお出しされるデザートがあまりにも
くどすぎてしんどくなってきた。
「まだ、デザートがあるんです。」
おいおい嘘だろ…
もう十分だよ。
全てを終え、あのデザートが本当の
メインだった事に気づく。
「なるほど、実に甘美であった。」
しんどい映画ですが満足感に満ち足りた
険しい顔になれると思います。
これがあの伝説の戦争映画か。
新しい視点
戦地に行って死ぬのは今も昔も君たち若者だ
第一次世界大戦のドイツとフラン軍が塹壕を掘って一進一退の消耗戦を続け、両軍ともにただ負傷者と戦死者の山を築いただけの空しい戦いを描く。
映画の中の若者は血気盛んに戦場に飛び込むが、そこで目にするものはただ死者の姿だけだ。そして、自らも血を流して死んでゆくのだ。
老人は死をイメージしやすい。なぜなら、死はもう隣にあると認識しているから。若者は普段死を意識することはないだろう。戦場は死と隣り合わせ、恐怖におののきながら初めて生命の尊さを知ることになる。
100年前であろうと現在であろうと、戦争の現実は若者が死ぬことだ。近隣国との摩擦が高まれば、それに応じてナショナリズムも高まる。その中にあって、若者こそ冷静に対応するべきだろう。
旧作が偉大すぎる。
盗むべからず
映画ごときを見て反戦を気取る私の軟弱さ。
得る物なし
凄惨な戦場にて
第77回英国アカデミー賞作品賞受賞作。
Netflixで鑑賞(Netflixオリジナル映画・吹替)
原作は未読、1930年版は鑑賞済みです。
ドイツ文学である原作が、ドイツ語で改めて映画化されたことに意義を感じました。初めてドイツ映画を観ましたが(ネットフリックスの資金力のお陰かは分からないけれど)、ハリウッド映画と遜色無い迫力と迫真の演出に心奪われました。
愛国教育によって自ら兵士に志願した若者たちが戦場の過酷な現実を知り、心も体も蝕まれていく…。旧作でも描かれていた要素はそのままに、原作にも旧作にも無い停戦協定のシーンが挿入されたことで、戦場の兵士と戦場から遠く離れた場所にいるお偉いさんとの待遇の違いが明確に描写されていて、戦場の過酷さがより際立つ構成になっているのが巧みでした。
旧作でも印象的だった、砲弾穴で鉢合わせして刺し殺した敵兵もまた人間であったと主人公が衝撃を受けるシーンは、より生々しくなっていて、胸が痛みました。
さらに驚いたのは、結末が大きく変わっていたこと。旧作のラストシーンも悲劇的でしたが、変更したことで一層戦争の悲惨さが浮き彫りになった様に感じました。
戦争が齎す悲劇を冷徹に描き、反戦のメッセージを突きつける本作は、戦争が起きている今こそ観るべき作品でした。
本能までも奪うのか戦争よ
主人公パウルは、ふたりの敵兵の死に遭遇する。
敵のフランス兵と味方の一番の仲良しのドイツ兵。
死を認めたくないがために死体を揺さぶり、彼らのポケットの中身を引っ張り出す。
家族の写真、身分証明書等々。
銃を持った兵士が、ひとりの人間として焙り出される。
戦争が終わったら故郷に帰って思う存分やりたいことがある。
そう言っていた人間が、一瞬の剣と弾で帰らぬ人となる。
パウロの悔し涙は、命のはかなさを深く刻む。
まばたきを1回したとたん、命が失われていく。
容赦ない冷徹な映像と無機質なロック。
パウルと友人がフランス人の農家に忍び込み鵞鳥を盗むシーン。
そのシーンには、底抜けの笑いと底抜けのペーソスが隣り合っている。
ただ飢えて、鵞鳥の肉を食べたかっただけなんだ。
パウルが最後まで肌身離さず持っていた女性のパンティ。
本能までも奪うのか戦争よ。
泥のなかを這いずり回る場面!!
むごすぎる
すごかった
戦場の過酷さが容赦なくえぐい。しかしもっと興奮してもよさそうなものなのに、夜中子どもを寝かせて小さいボリュームで見ていたせいかあまり興奮しない。自分が青年でもなく、つらい思いをしているのがうちの子よりずっと大きいからか、感情移入ができなかったせいか。
ずっと生き残っていたのに、農家の子どもにお腹を刺されて死ぬのはつらい。機関銃を乱射している戦線に突っ込んで行っても弾が当たる人と当たらない人がいる。ガチャとしか言いようがない。戦争なんてうっかり志願するものじゃないとつくづく思う。ウクライナにも行かない方がいい。
語るべき真実がある、しかし口を閉ざすのだ
原題
Im Westen nichts Neues
感想
エーリヒ・マリア・レマルクによる1929年の同名小説を原作としたエピック・反戦映画。
ものすごく重たい作品でした、観終わって胸を締め付けられる思いです。
ただ壮大なスケール、圧巻の映像美には脱帽しました。
さすがアカデミー賞に色々とノミネートされた理由がわかります。
停戦まで残り15分で突撃って…。
最後のフリードリヒ将軍の突撃命令はイラっとしましたね、自分は現地で戦わないくせに。そして背いたら殺すってどうしようもないです。兵士からすると停戦で終わると思っていたのにですね…
塹壕戦はしたくないです
友人のドックタグは取りたくないです
新兵の仕事はドックタグ集め
僅か数百メートルの陣地を得るため300万人以上の兵士が死亡
第一次世界大戦では約1700万人が命を落とした
※西部戦線異常なし
戦争に英雄なんていない
捨て駒
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