フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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スピルバーグの優しさの秘密
初めて映画館に連れて行ってもらいそして映画に夢中になった彼に母が8ミリカメラをプレゼントしてくれる。そこから撮影に夢中になっていくサミー…
スピルバーグの自伝的作品ということでまずこの愛された幼少期、幸せな子供時代がどれだけ彼の財産になってるのだろうと思った。それからいろんな経験を経てもゆるぎない土台となるに十分なものに感じられた。そこから、レンズを通すことで母の気持ちに気づいてしまう葛藤、父との価値観のズレ、転校や失恋など、様々な経験を積み重ねてゆく。母への愛と、父への敬意と、そして自分の成長譚。スピルバーグの優しさはあの幼少期に注がれた愛によってつくられたのだなと思った。
気付き
映画「地上最大のショウ」をきっかけに、映画作りに熱中する少年サミー・フェイブルマン。よき理解者でピアニストの母ミッツィと、科学者で引っ越しが多くなってしまう父バート、妹二人と暮らす。サミーが撮った家族キャンプの映像で、彼は気付いてしまう。
スピルバーグ監督の自伝的作品。後の伏線になっていない、細かいエピソードがリアルです。いかに映画が好きで、どう関わってきたかという物語が中心、と思っていたので意外な内容でした。両親への切ない思いが軸です。確かにベニーおじさんは、楽しくて良い人なんだよな。自分をいじめたローガンに対する逆説的な編集映像は、なんとなく理解できそう。嫌な奴だけど、スポーツができて女にもてる彼に憧れもあるんだな。
自伝というよりは、シリアスなファンタジー
テーマは「許容」
スピルバーグが父性を描けない理由がわかるが、
結局父性(男らしさ)は描けていない。
ジョン・フォード役はデヴィッド・リンチ。
本作品こそ王道のアメリカ映画。
(2023年は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』がアカデミー賞6部門を獲得)
ちなみに本作で言及された映画は
『地上最大のショウ』(1952)
『第十七捕虜収容所』(1954)
『大脱走』(1963)
ジョン・フォード監督
『リバティ・バランスを射った男』(1962)
『駅馬車』(1939)
『わが谷は緑なりき』(1941)
『男の敵』(1935)
『捜索者』(1956)
『三人の名付親』(1948)
『黄色いリボン』(1949)
『怒りの葡萄』(1940)
『静かなる男』(1952)
91点
いろんなものがパッツパツに詰まっている
つまりすぎているので何の映画と言いづらい。
とりあえず若いというより幼い映画監督の閃きが凄くて感心してしまう。しかし同時にやはりそうなのかぁとも思ってしまう。
それより家族や学校の方の物語の方が驚いた。
それなのにエンディングが良い。ネタバレになるけどそれ以上に描かれている内容を文字の起こすのが大変なので詳細は述べないが、良いのだ。
期待していたのだけど…
スピルバーグが自伝を撮ると聞いた時は
めちゃくちゃ面白そうだと思ってたのだけど、
いざ蓋を開けてみると、正直思ったより劇的ではなくて、自伝といたよりはむしろこんな親に育てられました。と言う映画で、観たいのはこれだったっけな?
って感じになってしまいました。
ただ、映画への愛情とエネルギーの凄さは感じられ、
そのアイデアや情熱には胸が熱くなるところがあった。
モノマネから始まりオリジナルを試していくと言うのが
成長に繋がるのだなと思いました。
自分は漫画家をやっており、若い頃はSNSなどなかったし、自分で考えてやるしかなかったので、あの頃の試行錯誤は楽しかったなと思い出しました。
派手さはなかったけど、最後のパーティーでの映画上映そして憎い相手をヒーローのように撮った理由を明かすシーンは、若い時にこの目線で撮れたと言う事に震えました。
ラストはずっこい‼︎
偉人は意外にも普通の人だった
すべての物事には意味がある。
自分の生まれ育った環境もまさに。
どの目線で物事を見るのかで、感じ方が違ってくる。
誰もが知る名作を作ったスピルバーグは、どこにでもいる男の子だったんだよってのを伝えたかったのかな
8ミリは真実を焙り出す魔法
8ミリがスピルバーグの出発点。
家族を映し、クラスメイトを映す。記録を紡ぐことが彼の存在証明。
8ミリは人間の裏の顔を無意識のうちに映し出してしまう。
彼は無意識のうちに裏の顔を感じとっていく。
両親の仮面夫婦ぶり。父親の打算、母親の揺れ動く心、クラスメイトの意外なコンプレックス、無意識がなせる想定外の行動。
8ミリは真実を焙り出す魔法なのかもしれない。
彼の感性は、映像の意外性から湧き出てくる。
彼の原点は彼らに委ねられていたのだ。
そう唸らせる、父親役のポール・ダノと母親役のミシェル・ウィリアムスのコラボが絶妙だ。
スピルバーグができるまで
幼少期から映像の面白さに魅了され、ぐんぐんと才能を伸ばしていく様子が描かれていて面白かったです。
映像には真実が写り込んでもどのようにでも編集できる。
いじめっ子でさえもヒーローに仕立て上げられる。
そんな映像の無限の可能性に魅了されていく様が何とも興味深かったです。
巨匠の青春を覗けたお得感と、だからこその非エンタメ感
スピルバーグの自伝的作品なので、映画にどう目覚め、どうやって凄腕監督になったのか、語られる気がしていた。しかし本作の見処は、両親や級友やガールフレンドとの関係。ただし、その顛末は娯楽作品としてはスッキリしない。自分が子供なら、母の振る舞いは理解できないし、かなり大人にならなきゃ赦せもしない。作品鑑賞後の予想外ないじめっ子の反応も、そっち側の気持ちなんて、なーんとなくしか理解できない。ガールフレンドも、もの凄くいがちなコではあるが、エンタメとしてはドラマチックじゃなさ過ぎる。正直、スピルバーグの実話ベースでなければ、出来がいい青春映画とは思えない。ただ実際の人生は、教訓や共感を与えるように、シナリオライターが手を加えた作り物じゃない。伏線も回収も、誰も用意しない。だがそれだからこそ、巨匠の本当の青春が垣間見えた気がするお得感はある。また途中まで、普通のお父さん像がハマりすぎていて、ポール・ダノだと気付けなかった。しかし気付いてからは、彼のなりきり力に目を奪われた。
親子物語
映画制作を通じたビルドゥングスロマンというか大人たちとの記憶でしたね。いじめっこへの復讐?はなんというか、アレをコケにしてると感じ取れるほどのやつなのかな、虚像をむしろ喜びそうな奴じゃない?という疑問は残りました。その感受性あるならユダヤ差別するかなとか。
ネタ元の原体験が散りばめられていて、そこは作品群につながる彼ならではのユニークネスでしたね
タイトルなし
恐らくスピルバーグが映画監督になる迄の姿だけを追うような作品ではないのだろうなと思っていたが、想像以上に映画監督を目指す描写は薄く、家族の問題を色濃く描いた作品になっていた。イジメに両親の離婚と、なかなか表に出したくないような内容を描いている。観ていて楽しかったり悲しかったりもするんだけれど、どの方向にも感情の振り幅は小さく、いつも選んでいる映画.comの印象アイコンを選べなかった。強いて選ぶなら亡くなった祖母からの電話のシーンが滅茶苦茶怖かったので「怖い」かもしれない。
食事のシーンでプラスティックのフォークだと味が変わるって文句を言っていたけれど、日本でもエコを理由に紙ストローや木のスプーンなんかが使われるようになって同じような文句を言っている。恐らく今のアメリカも同じような感じで入れてきた台詞なのかなと思った。
水平線の位置の講釈を受けた直後のラストシーン、つまらないド真ん中に水平線がきていたから慌ててカメラの位置を直す茶目っ気のある演出がベタだけれど良かった。
映画への想いが胸アツ
5~60年代の雰囲気は本当におしゃれで、どのような設定でもストーリーを効果的に盛り立てる。
本作も様々な地域が舞台になったが、どこでもそれぞれの良さがきれいに映えていた。
アリゾナの砂漠感もすごく良かったが、個人的にはやはり何だかんだカリフォルニアのスクールライフの青春感が一番印象的だった。シニアスキップデーの甘酸っぱさもウキウキしたし、夕方のロッカールームでのいざこざも独特の映像美を感じた。
全体を通して、ストーリーは特筆するところはなかったが、映画への熱い想いと景色の撮り方はすごく心に刺さったし、そして何より地味ながらもお父さんの耐え忍ぶ家族愛は何だかんだ一番心に染みたかも知れない。
期待通りとはいかず決め手にかけた作品ではあったが、上映時間150分もあっという間に感じるエンターテイメント作品であったことは間違いない。
まさにウマ男
落語か?落語なのか?
母が父に内緒で映画を応援してくれたことが後で別の秘密の共有につながるとか…そういう語り口のうまさ、もはや落語じゃん、ていう。
なので面白さより僅差でうまさが勝つ(もちろん面白い)。
そりゃ本人が撮ってるんだから、のちの名監督のアマチュア時代、とかいう絶妙にむずかしい芸術内芸術問題もぬるっと解決でしょうよ。
普通こういうのって、後から別の監督が撮って文句言われたりするものでしょ…? そこをご本人登場って微妙にズルくない?自分はともかく、両親のことを描きたかったんでしょうけど。
あと例の有名なエピソードがまさか映画で観られるとは。あの終わり、「ウマい!」しか感想なくないですか…?
映画探偵フェイブルマン、彼のフィルムはあらゆる嘘を暴くのだ!と脳内番組が始まるくらい筋金入りのフィルム人間、つまりウマ男なんだけど、才能があるぶん、下手すると誰かの人生を破壊しかねない、端的に暴力だってことなんだろう。
「人には言わない。秘密だよ」と言いながらレンズを向けるスピルバーグ…。彼はユダヤ人だけど、なんなら彼の神より多くの人を劇場に呼び集めることができる。
かつて流浪の民だったユダヤ系は便宜上つけたために意味のわかる苗字が多いと聞いたことがあって、Fabelは寓話…タイトルまでウマいとか。
あと映画での扱いに傷ついた彼と、そうとも知らずに結ばれた彼女。2人の行く末を考えると…怖い。
デミルとフォード
セシル・B・デミルの『地上最大のショー』にはじまり、ラストは“映像の詩人”ジョン・フォード(デヴィッド・リンチ!!!)の登場で幕を閉じる。ジョーゼフ・L・マンキーウィッツのパージを巡ってデミルとフォードが対立した経緯をご存じの方なら思わずニヤリとさせられる演出である。フォードに「大衆の好みを誰よりも知っているが、わたしゃあんたが嫌いじゃよ」と言わしめたデミル。デミル→フォードへと、年齢を重ねるにつれ作風が変化してきた監督スピルバーグの半自伝的作品といわれる1本だ。
技術者の父さん(ポール・ダノ)はメカのことになるともう他のことは目に入らない。小さな電気メーカーからGEに引き抜かれ、やがてIBMに転職する理系わらしべ長者だ。しかし、家族のためにピアニストになる夢をあきらめた芸術志向の母さん(ミシェル・ウィリアムズ)にしてみれば、堅物の父さんは優しくていい人だけどどこか物足りない。家族は父さんの出世に伴って、アリゾナからカリフォルニアへと移住、生活もだんだん豊かになっていくのだが....
黒澤明は映画作りの魅力の一つに“編集”の面白さをあげていたが、サミー初期の作品には、巧みな編集や技術的な工夫がふんだんに盛り込まれている。それは、当初大衆迎合的なエンタメに走っていたスピルバーグの(デミル風の)作風とまんま被っている。家族で車に乗ってハリケーンを追いかけるシーンや「全ての出来事に意味がある」なんて台詞を聞くと、あの『未知との遭遇』を思い出さずにはいられない。ナチスをやっつけたはいいものの味方全員を失って悲しみに浸る米軍兵士の物語は、『シンドラーのリスト』や『プライベート・ライアン』へと繋がっているのだろう。
しかし、カリフォルニアに越してきて以来、元気のない母さんのために撮りだめしていたフィルムを編集していたサミーは、そこに見てはいけないものを見てしまうのである。ここでサミー青年は、技巧的な編集には頼らないあのままの人間の姿を映し出す映画が、観客の心に刺さることを学ぶのだ。高校卒業記念に撮った海辺の映画の中で、サミーを苛めるいけすかないジョッグ野郎を美神として演出したくだりなどには、おそらくサミーの、いなスピルバーグのヒューマニズム路線への作風変化をオーバーラップさせているにちがいない。
映画関係の仕事をしているオジサン(ジャド・ハーシュ)から、映画作りにのめり込めばのめり込むほどに「芸術と家族の間で引き裂かれる」ことを予言されるサミー。結局仕事最優先の父さんと夢みがちな芸術肌の母さんが離婚したように、キャリアを最優先させたキリストオタクの彼女に、映画監督を夢みるサミーは思い切りふられてしまうのだ。が、夢をあきらめきれないサミーは、遂にそのきっかけを手に入れるのである。「地平線はどこにある?」ジョン・フォードに面会したサミーは、映画界への一歩を踏み出すのである。まだどこにも定まらない自分だけの地平線を目指して.....
芸術家の血
スピルバーグの幼少期から青年期のストーリー。
史上最大のシヨウを見てから夢中になるカメラを通してストーリーが進む。彼の繊細さと大胆さが垣間見える映画。1回目より2回目さらに3回目見るうちにスヒルパーグがまた好きになる。
父親は天才、母はそんな父を愛すも、心は親友の愛情を欲していた、まさかの内容。
カメラでキャンプの様子を取るうちに、母と父の親友の愛情を知る。知った後の少年の心が良く描かれる。
母の相手役がまさかのセスローゲン、これがとてもいい味出しており、見ていて納得する程に。
可能ならば映画撮影前迄の導入部まで見たかった。父や叔父の血を、の天才を、受け継いたスピルバーグをもっともっと見ていたい作品でした。
ある監督との会話の中、絵が未知との遭遇を匂わす。
スピルバーグの映画がもっと見たい!
映画バカ
スピルバーグ自伝的作品ということ。
昔でいう映画バカってやつだよね。そうじゃないと務まる職業でもないってこと。どこまでリアルかはわからないけど、鵜呑みにしたとすると母あって・父あって妹たちがいる、そして親父のパートナーでお袋の不倫相手がいる複雑な環境下と持って生まれたセンスが融合してんだろうね。
子供なのに仲間集めて映画作れるなんて、求心力あっての才能なんだろう。
作品を振り返ると本当に多種多様な作品作りでやっぱ天才だよね。
最後のジョン・フォード監督との地平線の話、演じてるのがデビッド・リンチ。ラストシーンに監督との話を持ってきてアングルを直す。最後まで見せ場作ってて、観ている人を喜ばせようする映画人。
2時間半楽しませてもらいました。
夢のある、ファンタジーのようだけど現実
映画としての脚色はあるんだろうなと思うが
あぁ、こうやってあの作品たちは生まれてきたんだろうな
と思わせてくれた。
小さい頃に何かに心を奪われ
それを、変わらずに愛し続け
自らのものにする
というのは、誰にでもできることではない。
ただ、そういう稀有な存在があるから、世の中は面白くなっていくのかもしれない。
ファンタジーなんだけど、現実なんだと思うと素敵な世界。
ただ、ちょっと長かったのと少し単調。
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