フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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芸術家とエンジニアの天才の子
相反する才能を持った2人から生まれたのがスピルバーグなんだね。 ママの芸術家っぽい奔放さは美大に行ってたからめたくそわかるし、浮気といえど好きな相手への想いを隠し通すことはできないってのもわかるし、いや、むしろ子供のためによく隠してたよ、頑張った。だが、この頃からフリーマリッジの概念があればねぇ。 芸術家の心と体を縛るのは無理よ。無理。 自叙伝とはいえ、少々ダルい。
思い通りにいかないときは 悲しむだけ
スピルバーグの伝記と云う触れ込みで、もっと違う角度のモノを期待してた。 一つの物語としても、決して劣ったものでは無いのだが、少し違うモノを期待してしまった…。 列車の衝突が脳裏に焼き付いたとこから始まる映画への熱烈な想い、解らなくはない。しかし、スピルバーグと云えば、宇宙への(からの?)交流が真っ先に印象として浮かぶから、その辺のエピソードを期待していたのかも。 母親との関係性が複雑で妙味が深い。 誰が悪いわけではない様に感じてしまうが…、いつまでも同じところに留まるわけには行かない、と諭された気分。 映画人スピルバーグとしての物語より、その家族関係が色濃く残ってて、切ない気持ちを引きずる感覚を味わった。
スピルバーグも枯れ果ててしまったものだ。
まさかスピルバーグ作品で、これほどつまらない映画になるとは夢にも思わなかった。 とにかく地味で、暗くて、退屈で、辛気臭くて、つまらない。本当につまらなかった。 確かに監督の過去作でも、「ターミナル」など、やや地味めな作品もあったが、それでも確かな面白みはそれなりにはあった。 本作はそれすらも、無い。 追い打ちをかけるのが、こんなにつまらない作品にもかかわらず、150分と言う異常な長尺。 そしてとどめにあのラスト。拍子抜けするような幕切れだった。 あれが気が利いているような幕切れだとでも本気で思っているのだろうか。 ただ、一つだけ、かろうじて褒められるシーンがあり、高校時代のいじめのシーンは、 あの決着の付け方は新鮮に思えた。
スピルバーグの優しさの秘密
初めて映画館に連れて行ってもらいそして映画に夢中になった彼に母が8ミリカメラをプレゼントしてくれる。そこから撮影に夢中になっていくサミー… スピルバーグの自伝的作品ということでまずこの愛された幼少期、幸せな子供時代がどれだけ彼の財産になってるのだろうと思った。それからいろんな経験を経てもゆるぎない土台となるに十分なものに感じられた。そこから、レンズを通すことで母の気持ちに気づいてしまう葛藤、父との価値観のズレ、転校や失恋など、様々な経験を積み重ねてゆく。母への愛と、父への敬意と、そして自分の成長譚。スピルバーグの優しさはあの幼少期に注がれた愛によってつくられたのだなと思った。
気付き
映画「地上最大のショウ」をきっかけに、映画作りに熱中する少年サミー・フェイブルマン。よき理解者でピアニストの母ミッツィと、科学者で引っ越しが多くなってしまう父バート、妹二人と暮らす。サミーが撮った家族キャンプの映像で、彼は気付いてしまう。 スピルバーグ監督の自伝的作品。後の伏線になっていない、細かいエピソードがリアルです。いかに映画が好きで、どう関わってきたかという物語が中心、と思っていたので意外な内容でした。両親への切ない思いが軸です。確かにベニーおじさんは、楽しくて良い人なんだよな。自分をいじめたローガンに対する逆説的な編集映像は、なんとなく理解できそう。嫌な奴だけど、スポーツができて女にもてる彼に憧れもあるんだな。
自伝というよりは、シリアスなファンタジー
テーマは「許容」 スピルバーグが父性を描けない理由がわかるが、 結局父性(男らしさ)は描けていない。 ジョン・フォード役はデヴィッド・リンチ。 本作品こそ王道のアメリカ映画。 (2023年は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』がアカデミー賞6部門を獲得) ちなみに本作で言及された映画は 『地上最大のショウ』(1952) 『第十七捕虜収容所』(1954) 『大脱走』(1963) ジョン・フォード監督 『リバティ・バランスを射った男』(1962) 『駅馬車』(1939) 『わが谷は緑なりき』(1941) 『男の敵』(1935) 『捜索者』(1956) 『三人の名付親』(1948) 『黄色いリボン』(1949) 『怒りの葡萄』(1940) 『静かなる男』(1952) 91点
いろんなものがパッツパツに詰まっている
つまりすぎているので何の映画と言いづらい。 とりあえず若いというより幼い映画監督の閃きが凄くて感心してしまう。しかし同時にやはりそうなのかぁとも思ってしまう。 それより家族や学校の方の物語の方が驚いた。 それなのにエンディングが良い。ネタバレになるけどそれ以上に描かれている内容を文字の起こすのが大変なので詳細は述べないが、良いのだ。
期待していたのだけど…
スピルバーグが自伝を撮ると聞いた時は めちゃくちゃ面白そうだと思ってたのだけど、 いざ蓋を開けてみると、正直思ったより劇的ではなくて、自伝といたよりはむしろこんな親に育てられました。と言う映画で、観たいのはこれだったっけな? って感じになってしまいました。 ただ、映画への愛情とエネルギーの凄さは感じられ、 そのアイデアや情熱には胸が熱くなるところがあった。 モノマネから始まりオリジナルを試していくと言うのが 成長に繋がるのだなと思いました。 自分は漫画家をやっており、若い頃はSNSなどなかったし、自分で考えてやるしかなかったので、あの頃の試行錯誤は楽しかったなと思い出しました。 派手さはなかったけど、最後のパーティーでの映画上映そして憎い相手をヒーローのように撮った理由を明かすシーンは、若い時にこの目線で撮れたと言う事に震えました。 ラストはずっこい‼︎
偉人は意外にも普通の人だった
すべての物事には意味がある。 自分の生まれ育った環境もまさに。 どの目線で物事を見るのかで、感じ方が違ってくる。 誰もが知る名作を作ったスピルバーグは、どこにでもいる男の子だったんだよってのを伝えたかったのかな
8ミリは真実を焙り出す魔法
8ミリがスピルバーグの出発点。 家族を映し、クラスメイトを映す。記録を紡ぐことが彼の存在証明。 8ミリは人間の裏の顔を無意識のうちに映し出してしまう。 彼は無意識のうちに裏の顔を感じとっていく。 両親の仮面夫婦ぶり。父親の打算、母親の揺れ動く心、クラスメイトの意外なコンプレックス、無意識がなせる想定外の行動。 8ミリは真実を焙り出す魔法なのかもしれない。 彼の感性は、映像の意外性から湧き出てくる。 彼の原点は彼らに委ねられていたのだ。 そう唸らせる、父親役のポール・ダノと母親役のミシェル・ウィリアムスのコラボが絶妙だ。
スピルバーグができるまで
幼少期から映像の面白さに魅了され、ぐんぐんと才能を伸ばしていく様子が描かれていて面白かったです。 映像には真実が写り込んでもどのようにでも編集できる。 いじめっ子でさえもヒーローに仕立て上げられる。 そんな映像の無限の可能性に魅了されていく様が何とも興味深かったです。
巨匠の青春を覗けたお得感と、だからこその非エンタメ感
スピルバーグの自伝的作品なので、映画にどう目覚め、どうやって凄腕監督になったのか、語られる気がしていた。しかし本作の見処は、両親や級友やガールフレンドとの関係。ただし、その顛末は娯楽作品としてはスッキリしない。自分が子供なら、母の振る舞いは理解できないし、かなり大人にならなきゃ赦せもしない。作品鑑賞後の予想外ないじめっ子の反応も、そっち側の気持ちなんて、なーんとなくしか理解できない。ガールフレンドも、もの凄くいがちなコではあるが、エンタメとしてはドラマチックじゃなさ過ぎる。正直、スピルバーグの実話ベースでなければ、出来がいい青春映画とは思えない。ただ実際の人生は、教訓や共感を与えるように、シナリオライターが手を加えた作り物じゃない。伏線も回収も、誰も用意しない。だがそれだからこそ、巨匠の本当の青春が垣間見えた気がするお得感はある。また途中まで、普通のお父さん像がハマりすぎていて、ポール・ダノだと気付けなかった。しかし気付いてからは、彼のなりきり力に目を奪われた。
親子物語
映画制作を通じたビルドゥングスロマンというか大人たちとの記憶でしたね。いじめっこへの復讐?はなんというか、アレをコケにしてると感じ取れるほどのやつなのかな、虚像をむしろ喜びそうな奴じゃない?という疑問は残りました。その感受性あるならユダヤ差別するかなとか。 ネタ元の原体験が散りばめられていて、そこは作品群につながる彼ならではのユニークネスでしたね
タイトルなし
恐らくスピルバーグが映画監督になる迄の姿だけを追うような作品ではないのだろうなと思っていたが、想像以上に映画監督を目指す描写は薄く、家族の問題を色濃く描いた作品になっていた。イジメに両親の離婚と、なかなか表に出したくないような内容を描いている。観ていて楽しかったり悲しかったりもするんだけれど、どの方向にも感情の振り幅は小さく、いつも選んでいる映画.comの印象アイコンを選べなかった。強いて選ぶなら亡くなった祖母からの電話のシーンが滅茶苦茶怖かったので「怖い」かもしれない。 食事のシーンでプラスティックのフォークだと味が変わるって文句を言っていたけれど、日本でもエコを理由に紙ストローや木のスプーンなんかが使われるようになって同じような文句を言っている。恐らく今のアメリカも同じような感じで入れてきた台詞なのかなと思った。 水平線の位置の講釈を受けた直後のラストシーン、つまらないド真ん中に水平線がきていたから慌ててカメラの位置を直す茶目っ気のある演出がベタだけれど良かった。
映画への想いが胸アツ
5~60年代の雰囲気は本当におしゃれで、どのような設定でもストーリーを効果的に盛り立てる。 本作も様々な地域が舞台になったが、どこでもそれぞれの良さがきれいに映えていた。 アリゾナの砂漠感もすごく良かったが、個人的にはやはり何だかんだカリフォルニアのスクールライフの青春感が一番印象的だった。シニアスキップデーの甘酸っぱさもウキウキしたし、夕方のロッカールームでのいざこざも独特の映像美を感じた。 全体を通して、ストーリーは特筆するところはなかったが、映画への熱い想いと景色の撮り方はすごく心に刺さったし、そして何より地味ながらもお父さんの耐え忍ぶ家族愛は何だかんだ一番心に染みたかも知れない。 期待通りとはいかず決め手にかけた作品ではあったが、上映時間150分もあっという間に感じるエンターテイメント作品であったことは間違いない。
まさにウマ男
落語か?落語なのか? 母が父に内緒で映画を応援してくれたことが後で別の秘密の共有につながるとか…そういう語り口のうまさ、もはや落語じゃん、ていう。 なので面白さより僅差でうまさが勝つ(もちろん面白い)。 そりゃ本人が撮ってるんだから、のちの名監督のアマチュア時代、とかいう絶妙にむずかしい芸術内芸術問題もぬるっと解決でしょうよ。 普通こういうのって、後から別の監督が撮って文句言われたりするものでしょ…? そこをご本人登場って微妙にズルくない?自分はともかく、両親のことを描きたかったんでしょうけど。 あと例の有名なエピソードがまさか映画で観られるとは。あの終わり、「ウマい!」しか感想なくないですか…? 映画探偵フェイブルマン、彼のフィルムはあらゆる嘘を暴くのだ!と脳内番組が始まるくらい筋金入りのフィルム人間、つまりウマ男なんだけど、才能があるぶん、下手すると誰かの人生を破壊しかねない、端的に暴力だってことなんだろう。 「人には言わない。秘密だよ」と言いながらレンズを向けるスピルバーグ…。彼はユダヤ人だけど、なんなら彼の神より多くの人を劇場に呼び集めることができる。 かつて流浪の民だったユダヤ系は便宜上つけたために意味のわかる苗字が多いと聞いたことがあって、Fabelは寓話…タイトルまでウマいとか。 あと映画での扱いに傷ついた彼と、そうとも知らずに結ばれた彼女。2人の行く末を考えると…怖い。
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