「【”寓話を語る男。”映画に魅入られた青年の半生を、彼を優しく育てる両親や父の友人、そして級友達との関りを通して人生の痛みや、映画の持つ力や魅力に青年が気付き、更に映画道を究める決意を描いた作品。】」フェイブルマンズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”寓話を語る男。”映画に魅入られた青年の半生を、彼を優しく育てる両親や父の友人、そして級友達との関りを通して人生の痛みや、映画の持つ力や魅力に青年が気付き、更に映画道を究める決意を描いた作品。】
ー ご存じの通り、"fable"は、寓話を意味する。
つまり、主人公、サム・フェイブルマンとは、”寓話を語る男”となる。
スピルバーグ監督の今作への想い入れが伝わって来るタイトルである。-
◆感想
・物語は幼きサム・フェイブルマンが有能なコンピューター技師である父(ポール・ダノ)と優しくピアノを弾く事を愛する母(ミシェル・ウィリアムズ)と3人で映画”地上最大のショー”を観に行くところから始まる。そして、サミーは、映画の中で列車と自動車が正面衝突するシーンを見て、家に帰ってからも”衝突ごっこ”にふける。
ー あのシーンは、どう考えてもスピルバーグ監督の初期傑作の「衝突」に繋がっていると思う。-
・映画に嵌ったサミーは、トイレット・ペーパーをフル活用して、妹たちにミイラ男に変身させる。そして、その姿をサミーは父の8ミリカメラで映して行くのである。
ー 今作では、常にサミーは映す側に立っている。-
■フェイブルマン一家には、常に父の親友ベニー(セス・ローゲン)がいる。そして、父が腕を買われてGEに会社を変わる時にも、妻の進言で、ベニーも一緒に付いてくる。そして、ある夏の日にサミーが何気なく撮っていたフィルムに映っていた母と、ベニーが親しそうにしている姿。
ベニーは家族にはそのシーンをカットして見せるが、徐々に母に反抗を始める。
そして、理由を問う母に、一本のフィルムを渡し、自分の衣装が掛かっている小さな部屋で母に見せる。
このシーンは、サミーの母に対する優しさと、遣る瀬無さが伝わって来て、胸に沁みる。又、母を演じたミシェル・ウィリアムズの”貴方が考えているような事はしていないのよ‥。”と涙ながらに訴える姿も。
母は、父を愛しながらも、ベニーにもプラトニックな想いを持っていた事が分かる。
だが、このことにより、父がIBMへ再び職を変えた際に、ベニーはついて来ないし、両親の関係もギクシャクし始め、離婚してしまうのである。
・サミーは、転校前の高校では、戦争映画なども、級友達を集めて取っている。
ー 彼が一人生き残った兵士役の青年に言った言葉。”部下が皆、殺されたんだ・・。その想いを映したい。”そして、青年は涙を流しながら、倒れた兵士たちの間を、ゆっくりと歩いて行くのである。彼の映画センスや、戦争に対する想いが表現されているのである。-
・サミーが慣れない土地で、ユダヤ人である事を級友ローガンやチャドに揶揄されるシーン。そんな彼は、高校の卒業記念映画を撮影する。
ー 海岸で燥ぐ級友たちの姿を映す様も、例えばカモメを取った後に、級友たちの顔にアイスを落とすシーンを入れたり、一工夫している。
そして、自分に嫌がらせをしたローガンが、砂浜でのリレーでトップでテープを切る様を撮ったりもする。そして、彼の映画がプロムで流された際に、ローガンとチャド(彼は記念映画では散々な様で映っている。)は、サミーを呼び出す。が、ローガンはチャドを殴りつけ、自分はロッカーに背を預けながら座り込み涙するのである。
サミーが映画でローガンに訴えたかった事。それは、人種差別はイケナイという事だったのである。サミーは心に痛みを覚えながらも、映画が持つ力にも気付いて行くのである。-
・サミーは大学生活に馴染めず、主にTV映画を製作する会社に、メデタク入社する。そこで、彼を待っていたのは・・。
ー ビックリしたなあ。「駅馬車」「怒りの葡萄」などのポスターが額に入れて飾られている部屋で待つようにと言われたサミーの前に現れたのは、ジョン・フォード監督であり、それを演じているのはデイヴィッド・リンチ監督である。
1900年代の前半から中盤のアメリカの大監督を、1970代から2000年代に掛け、カルト的な映画も含め数々の傑作を制作した監督に演じさせるとは・・。-
<今作は、御存じの通りスティーヴン・スピルバーグ監督の半生を描いた自伝的作品である。
そして、今作は幼き時に観た”地上最大のショー”で、映画に魅入られた少年が、青年期に映画製作を通して、人生の痛みや喜びを学んでいく様を、見事に描いた作品でもある。>
イイねコメントありがとうございました😊最後の大物登場はイカしてました。まさにスピルバーグの思い入れ十分作品。【レディ・プレイヤー1】の情報ありがとうございました。いずれ、確実に見ます。
あの人がデヴィッド・リンチ監督だったんですね。勉強不足でお恥ずかしい🤣
6歳(小学生)になったら、親もしくは保護者は、必ず同伴で映画館で映画を鑑賞させること。
(そういう法律ができたらいいなあ)
政府は、それで人生が変わったかも、という人が、今よりも(100人に一人くらいは)増えることを目標としている。
なんて夢を見そうです。