劇場公開日 2024年1月12日

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「期待度◎鑑賞後の満足度◎ 個人にとって愛を捧げ誓いを結ぶのが普遍的である世界が、同時に個人のささやかな願いや約束を踏みにじる戦争というものを起こさずにおれない理不尽と不条理さ。」葬送のカーネーション もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5期待度◎鑑賞後の満足度◎ 個人にとって愛を捧げ誓いを結ぶのが普遍的である世界が、同時に個人のささやかな願いや約束を踏みにじる戦争というものを起こさずにおれない理不尽と不条理さ。

2024年1月14日
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鑑賞方法:映画館

①トルコの広漠とした大地を棺を引いて歩く老人とその孫娘が辿り着いた先は、愛と誓いとの場所であった。
しかし、同時に老人の細やかな願いも亡くなった妻との約束を阻む戦争というものが起こっている場所でもあった。

老人の旅に付いてきた(というか付き合わされた?)少女は旅路の果てにそれを目撃する。

②冒頭の結婚式の宴の名残りのシーンと、ラストの老人の思いでの中の結婚式の宴のシーンとを呼応させている構成。

③昨年末に読んで衝撃を受けた川上未映子の『夏物語』(結局、結婚もせず子も成さなかったけれども、もし結婚後に読んでいたら子供を持つのを躊躇ったかも)。
その中の登場人物の一人が言う「一番幸せなのは、この苦しみと悲しみしかない世界に生まれてこないこた」と全く同じことを、老人と孫娘とを乗せてくれたトラックの中で偶々かかっていたラジオのトーク番組でゲスト(多分哲学者?)が言っていたのには驚いた。

極論だし、勿論、正論ではないけれども、平和(と言っておきましょう)な日本では「子をなすのは当たり前だし、子供も自分と同じような人生を送って貰いたいし、その様にも育てる」とほぼ誰もが疑いもせずに思っていることに、

もーさん