葬送のカーネーション

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葬送のカーネーション

解説

トルコの気鋭監督ベキル・ビュルビュルが、亡き妻を埋葬するため棺を背負って歩き続ける老人とその孫娘の旅を、リアリズムと虚構を交差させながら描いたドラマ。

荒涼とした冬のトルコ南東部。年老いた男性ムサは他界した妻との約束を守るため、彼女の遺体を故郷の地に埋葬するべく棺を背負って旅をしている。紛争の続く地域へ帰りたくない孫娘ハリメは、親を亡くし仕方なくムサと行動をともにする。彼らは旅の途中で出会ったさまざまな人たちから、神の啓示のような“生きる言葉”を授かりながら進み続ける。

シリア出身で、戦争から逃れるためトルコに移住した新人俳優シャム・シェリット・ゼイダンが孫娘ハリメ、トルコの映画・舞台・テレビドラマで活躍するデミル・パルスジャンが祖父ムサを演じた。2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門では「クローブとカーネーション」のタイトルで上映されている。

2022年製作/103分/G/トルコ・ベルギー合作
原題または英題:Cloves & Carnations
配給:ラビットハウス
劇場公開日:2024年1月12日

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映画レビュー

5.0死者との旅

2024年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

荒涼とした大地を、棺を抱えながら歩く老人と少女の姿を、非常に少ない台詞と美しいショットの連続で描いた作品。全編の抒情的な雰囲気が素晴らしくて大変にセンスの良い作品だ。二人がどこに向かっているのかは終盤までわからない。棺の中は男の妻の遺体。ことはわかる。死者との旅という点でトミー・リー・ジョーンズが監督・主演した傑作「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」なんかを思い出す。
死者との旅は生きる意味を問い直す旅となっている。道中、色々な人に助けられながら進んでいく二人は、様々な生活をしている人たちと束の間の時間を共有する。人の営みと無言の遺体。この映画の二人はそのどちらともコミュニケーションしているのだと思う。
途中、幻想のシーンも挿入されるためか、全体的に寓話的な雰囲気も漂う。遺体を担いでシリアの紛争地帯を目指す親子、世界は争いに満ちていて、人が理不尽に死ぬ悲劇に溢れている。国境は生と死の境界線か。しかし、この映画は生と死の境界線が曖昧な雰囲気が漂う。それは悪い意味ではなく、生きる者は死者とともにいるのだということでもあると思う。

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杉本穂高

風の冷たさが見る者の頬に感じられる

2024年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 祖父と孫娘が祖母の埋葬の為に棺桶を担いで故郷の村まで歩いて帰ろうとするトルコ映画です。

 荒涼とした平原を殆ど言葉を交わす事もなく歩き続ける二人の背景は必要最低限の事しか語られず、カメラはひたすら彼らの行程を追います。

 「なぜ、そうまでして棺を運ばねばならないんだ?」
 「一体、どこに向かっているんだ?」
 「国境を超えるのか?」

など、観る者の疑問に丁寧には答えてくれません。行く先々の光景は寒々として、どこか奇妙で、でも切なくて遣る瀬無くて美しいのです。そして、風の冷たさが見る者の頬に感じられるのでした。

 トルコを巡る国際情勢をもう少し知っていた方がよかったな。そもそも、トルコがどこと国境を接しているのかもよく分かっていませんでした。 (2024/1/13 鑑賞)

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La Strada

3.0老人と孫娘と妻の遺体の旅

2024年2月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

妻の遺体と孫娘を連れて老人はどこへ向かっていたのか。
トルコから遠く離れた日本に住む僕には理解し得ない何かがあるか。
現実世界に、戦争が発生している事は知っているが、実感はできない。
戦争を題材にした映画ではないが、紛争に近い地域の生活が垣間見える。

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ニッキー

3.5人生には意味がない

2024年2月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

意味がないから何もしないのではなくて、意味に含まれた何かを探し求めるために人は行動を起こす。トラックで流れるラジオの言葉に妙に共感してしまった

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印刷局員