山女のレビュー・感想・評価
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山を降りても、人ではなかった
ふと思ったんです。「鬼滅の刃」の柱って、彼女のこと?。異形の者として、ヒトの生存を脅かすモノと抗い続ける宿命。ヒトであり、柱である存在。彼女が抗い続ける鬼の正体って…。
そうすると、彼女の呼吸は火?、水?、それとも…。みんながこぞって鬼滅を応援するのは、あの時代のDNAの為せる業かも知れないですね。
私の内に、あの時代のDNAが、どのくらいあるのかしら。少なくとも、あの時代を生き延びたDNAがなければ、私達は、今、ここにいない。その一方で、私達は、何人の凛を、必要としたのかしら。
エンドロールを見る限り、海外マーケット狙いかな。上映館も少ないし。それにね、なんとなくですが、私のDNAが、この映画を拒否するんですよ。生き延びちゃって、ごめんねって…。
とにかくね、可哀想で片付けるのは、止めてね。我々は何処から来たのか、我々は何者なのか、我々は何処へ行くのか、強制的に考えさせられる作品です。
咎人は、咎人が作るのか、あるいは、自らの悪意に気づかない善人が作るのか、皆様も御考慮下さい。
ただね、あのラストはちょっと…。お前は◯◯◯◯◯◯○◯◯◯(注1)かって、みんなで突っ込みたくなる展開ですが、まぁ、それも、映画ならではのエピソードということで。
注1) ◯には全てカタカナの語句が入ります。気になる方は、是非、劇場まで!。
追記
この映画は、おとぎ話?、昔話?。なら、どうして今、創られたの?。他者を排撃、死に至らしめる、悪意なき善人のすることは、止みました?。教育の現場で自らの命を絶つ事例は、どんな鬼が、やらかしたの?。遊び感覚で、他者を死に追い込む鬼は何処に棲む?。鬼をおとなしくさせるには、異形の柱に任せたら、それで済むの?。私達は、自らの悪意に目をつむり、念仏唱えていればいいの?。
皆様の全集中の呼吸に、期待します。
遠野のジャンヌ・ダルク
冷害による飢饉に苦しむ東北の寒村が舞台の時代劇。祖先の罪で村八分となり、村の穢れ仕事で糊口をしのぐ一家の娘リンを山田杏奈が演じる。
弟を守るため父親の悪事の肩代わりで村を追われたリンは、隠れ棲んだ山奥で不思議な男と出会う。抑圧された村での暮らしから解き放たれ、リンは初めて心の自由を得るのだが……
家族を想い苛酷な運命を甘んじて受け入れていく、リンの意志の強さには神々しさすらある。白装束の彼女の姿にはジャンヌ・ダルクを想起した。
遠野物語の世界観をベースに、差別や貧困といった現代を照らし出すテーマ性を落とし込んだ意欲作。山田杏奈は本格女優への一歩を踏み出した。
邦画の可能性
映画の山田杏奈が好き
この若さとルックスで演技力も高評価を受けてるから、いつも難しい役のオファーが来る
こんかいも紛うことなく難役だ
共演者に関しても永瀬正敏、三浦透子、品川徹、でんでんだったり一縷の隙もない
そして何より演出がすごい
時代背景は18世紀後半、その時代を感じさせるかのような照明・・むしろ照明を当ててないんですよね
役者の顔が映らなくても電気の無い時代の屋内なんて暗くて当たり前で
隙間からさす太陽光だったり、夜なら囲炉裏の火を照明代わりにするという・・・
自分が映画を見ている数が圧倒的に少ないから他にもこういう映画があるのかもしれませんが、個人的にこういう映画が増えていったらいいなぁと思う次第
物語の方は時代だったり天気だったり家族(先祖)だったり
自分ではどうしようもない環境に翻弄される少女を山田杏奈が熱演
中盤ぐらいから出てくる山男が森山未來っていうのが途中までわからなかった
山男がマタギ相手に立ち回るシーンが完全にシン仮面ライダーだった
みなさん、あのラストどう思いましたか?
評価 4.5
森山未來は馬。
遠野物語ベースの映画としては完成度かなり高いと思う。
どうしても日本人なら少しは知ってる話の再構築になるから先が見えてしまうんだが、それでも自然光にこだわった絵は美しく目を離せなかった。
この監督の作品を見た事ないんだけど、いつも外国のスタッフとやってる人なのかな?撮影、音楽、Mix、編集と海外スタッフが参加していてたぶん凄く良い結果出てるような気がする。
2年に及ぶ冷害でひどい状態の割には皆んな血色良すぎて説得力ないが、役者の布陣もまあまあ良い感じ。山田杏奈は22才、当時だととっくに子供産んでる年齢であるが頑張っていた。
最後個人的には馬に乗って行って欲しかった、うーむ、オシラ様の話に小さくまとめたくなかったのかもしれない、、、、。
さて、映画見てて改めて日本の縮図というか、国民性というか、、、事を荒立てない、表面上上手くやる、出る釘は打たれる、我慢する、皆んなの犠牲になる事が尊い、、、これを日本の美徳と考えるか、30年に及ぶ成長不良の原因と考えるか、、現状のどん詰まり感、、原因は根深い。
どっとはらい。
罪を知る神
18世紀後半、冷害が2年続く東北の山間の村で、咎人で田畑を取り上げられた曾祖父を持つ男とその子供達の話。
村外れ死人の処理という忌み嫌われる仕事をして何とか食い物にありつく中甲斐性無しの父親が…話しているのを聞く限りこの父親は村人の中ではかなり色々理解できている様に感じたけれど、なんでそんな行動をという感じ。
そして同じく理解している凛が祠を越えて…。
やり切れない話しだし、何が神だ何が祈祷師だと、もののけ姫にでもなるのかと思ったら、何とそう来ましたか。
ある意味哀しくある意味痛快、しかしながら虚しさも残るなかなか面白い作品だった。
それにしても山田杏奈が最初誰だか判らなかった。
冷害、飢餓の惨状が身に染みる痛みを呼び起こす。
科学進歩と民主的政治等が食糧難と貧困を回避してくれたが、
今日では、より多くより深い社会問題を日常に溢れさせている。
少なくとも18世紀の飢餓よりはましになったことに安堵するが、
そしてたら、次は何をしたらいいのか!
山歩きでもして考えます。
原始の森はまだまだ深くて素足素手では歩けない。
白川和子さんの元気な御姿を観れて良かった。
^^
人間の脆さと自然への畏敬の念、
そして現代にも通じる貧困や差別など社会問題を映し出したドラマ。
18世紀後半の東北。
冷害による食糧難に苦しむ村で、凛は人びとから蔑まれながらもたくましく生きていた。
そんな彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。
ある日、村中を揺るがす事件を起こし、村人から責められる父親・伊兵衛をかばう凛は、家を守るため自ら村を去る。
けっして越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越えた凛は、さらに山の奥深くへと進んでいく。
そんな凛の前に現れたのは、人間なのかもわからない不思議な存在だった。
凛役を「樹海村」「ひらいて」の山田杏奈、
村人たちから恐れられる山男役を森山未來、
凛の父親・伊兵衛役を永瀬正敏がそれぞれ演じ、
二ノ宮隆太郎、三浦透子、山中崇、川瀬陽太、赤堀雅秋、白川和子、品川徹、でんでんらが顔をそろえる。
芸術性9割、娯楽性1割?
『私の人生は、誰にも奪わせない』
とポスターやチラシには書いてあるのですが、そういう映画ではなかったです。少なくとも私には。
夏休みも近いので、レビューをふたパターン用意しました。
【読書感想文的なレビュー】
人権などという概念があるはずもなく、生まれた村以外の社会のことも、教育などもない山に囲まれた小さな世界。
もちろん、そこに住む人間のほとんどは、そこが世界のすべてであり、他と比べて大きいのか小さいのかも分からないし、比較するという発想もない。
生き方において、何かを強いられながら生きるか、生きざるを得ないから自ら生きるか。
その違いしかない。
〝より良く生きるために〟とか〝何をすべきか〟
という命題。現代人にとっては、あらためて突きつけられなくても日頃からある程度、無意識に身についている哲学的な思考だと思います。しかしながら、この映画の世界のように、そんな命題について意識することが無い環境で生まれた人間にとっては、自然環境から受ける影響は、神々からの意思表示の顕現であり、何かに導かれるように降りてきたインスピレーションに従うのは当然のことなのでしょう。
農作業の人手としてもカウントされないほどの飢饉。
だからこその集落からの解放。
天候不順でなく、豊作が続いていたのなら、労働力として否応なく村落に取り込まれていたはずです。
人身御供の儀式か、豊穣への感謝の祭か。
【正直なレビュー】
きっと芸術性の高い作品なのだとは思います。
でも、私には無理でした。
最後まで寝ないで見ることのできた自分を褒めてやりたいです。
つまり、エブエブよりは遥かに楽しめた、ということです。
古来の日本にみる「神」という存在を感じる
サービスデイの土曜日、シネスイッチ銀座で今週公開の本作の客入りはけして多くありませんが、雨の中わざわざこの作品を観にくるのですから、やはり皆さん熱心なのだと思います。そのせいか、上映が終わってもすぐに立ち上がることなく、席で「余韻」を味わってる方が多いように感じました。
主演は22歳の山田杏奈さん。小柄で童顔のためまだまだ制服役を演じててもそれなりに見えなくもないですが、子役時代から役者としてのキャリアが長い彼女には「本作のような作品に挑む姿勢」に強い意気込みを感じるからこそ、逆に「彼女主演なら見逃せない」と思わせてくれます。セリフは全編が舞台である遠野(岩手県)の方言で苦労も多かったでしょうが、静かに燃える感情の表し方は流石のもので、後半は物語の展開も乗じて神々しさすら感じます。
そして、助演の皆さんも素晴らしく、特に今回もでんでんさんと永瀬正敏さんはヤバいですね。この手の作品に現代の価値観を重ねてしまうのはむしろ間違った観方だと思うのですが、それにしてもお二人のやることなすこと、立場こそ対照的なのにどちらにも共通する「人間の弱さ、そして狡さ」が、演じるお二人の「表情そのものに刻み込まれているよう」で説得力しかなく、本作を観た後に(本作の原案である)柳田国男の『遠野物語(未読)』を読めば恐らく、そこかしこにお二人の顔を想像してしまいそうな気がします。
さらに、最早「彼以外考えられない存在感」で、「演技を超えたアクション」なのが森山未來さん。世を捨てた凛(山田杏奈)に生きる意味とそして喜びを感じさせますが、けして「(それを)与えている」という恩着せがましさがなく、代償を求めないところは本当の意味で神のようであり、むしろ、人間が「すがるために作り出した偶像的な神」とは違います。途中、巫女のお婆(白川和子)の「貢物も無いしのう」という言葉の偽物感が対比的でおかしく、最後の展開にそれを嘲笑うようなシーンがそれまでの重たい気持ちに対し少し救われます。観る価値ありました。
世界観と物語がマッチ
遠野物語。 山女のエピソードとの事。日本映画らしくない映像で、どこまでも日本独特の物語のマッチングが思いの外あっていて、良かった。
主演が少し現代っぽさと甘さが強いが、怒涛の追い込まれ演出によってかなりそのイメージが排除されてるのにも好感。そこらのくだらない映画見るなら是非
山田杏奈の新たな表現に驚く、歴史を再構築し力強さを与える
東京国際映画祭、ワールドプレミアにて鑑賞。福永壮志監督と山田杏奈さんが登壇。TV版は未見。近年類を見ない、生命力とメッセージ性を兼ね備えた日本の史実を基にした映画。なかなか凄い。
海外に住んでいたことから日本の文化に興味を持ち、史実を組み立てながら本作を完成させた福永壮志監督のオリジナル作品。東北の冷害2年目から始まり、自然と渇き切った感情を抱く人たちの表情から、厳かで緊張感を抱く。その中で生きる凛が、理不尽から開放されるように山女になったことで、自分らしい呼吸をしていく物語。
偉人を描く作品は多くあっても、名も知られない様な1人の女性を軸に描く作品はなかなか珍しくなった。実際、史実に残っていることもあるとのことで、差別や理不尽、集落による逃れられない連帯感は当時からあったと考えられる。非情と言う前に、致し方ない当時の生活感が充満し、現代と奇妙なリンクすら感じる。その中で「山女」として生きた彼女は、社会的には間違っているかもしれない。しかし、それでも呼吸は確かに強く、1人の人間としての生を宿していくのであった。
そんな山女となる凛を演じたのは、出演作が途切れない山田杏奈さん。強い眼差しで立ち向かい、生き続けていく。その様は圧巻の一言。今までにない程、意欲的で挑戦的な役に彼女の強さと重なっていく。そして、周りで出てくるその他キャストが生み出す個々の信念は、重厚的で作品の幹として力強く伸びていく。変化の少ない作品の中では物凄く重要なことだとつくづく感じる。
社会は自然だ。多くのビルや線路が幹や枝葉の様に生え、軋轢の中で確かなモノを抱いて生きていかなければならない。そんな力強さはこの作品にはある。そんな息苦しさの中、確かな生命力を持って生きる彼女から学ぶことも多いと感じた。公開は来年の予定とのこと。じっくりと大きなスクリーンで、宿る魂を感じてほしい。
積極的に見たい作品ではありません
2022東京国際映画祭
似たような歴史的事実はあったんでしょう、多分。最後だけがファンタジーなのかもしれませんが・・・
暗くてつらくて救いない物語です。質はそれなりなので、そういった物語を嗜好する人にとっては最適な作品かも─
出演者みんな汚れ役みたいなもので、特に脇の憎ったらしさといったら─見事なパフォーマンスでした。
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