「"結論を急ぐな"」ウェスト・エンド殺人事件 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
"結論を急ぐな"
言ってしまえばなんてことない内容の身も蓋もない作品…だけど何処かキライになれない魅力もある
サム・ロックウェル ✕ シアーシャ・ローナン = 大ッ好きな2人が肩の力抜いて楽しげに挑む往年ミステリーへのパロディ(リスペクト)に満ちたユル〜いコメディ!! 最高すぎるタイトルと最高すぎるキャスト組み合わせ、こんなの間違いなく好きに決まって…!"結論を急ぐな"。弱いけどチャーミングでそれなりに楽しめる居心地いい時間。正直期待していたよりもずっと映画的カタルシスはなく少し退屈もしたけど、かわいらしくて洒落てて(ある程度は)楽しめた。分かっててやってるのは分かってもやっぱり、ん〜〜養護しきれないところもあるっちゃある。
ウエストエンドの劇場で起こった殺人事件はよくあるフーダニット?長たらしい序盤で入り組んだ人間関係が説明されてからやっと殺人。いつも嫌なヤツが殺される。そしてくたびれた刑事が登場?お決まり。足を引きずる警部と夫に先立たれた巡査、絵に描いたように気だるそうすぎるストッパードと真面目すぎるストーカーの凸凹コンビ。復讐心の表れだ。大事だと思ってなんでもメモする、すべて書く。面白いそうですよ、私は見てませんが。そして最後には何故か都合よく雪積もる山荘に集う容疑者たち、そこで刑事は予期せぬ人を犯人だと指す。破綻してる、支離滅裂だ!はい、ここまでがセット。
個人的に嫌いじゃない波長だし、内容自体もシャレが効いている。それなりに中毒性のある軽妙なやり取りや回想に、美術や撮り方、スプリットスクリーンの多用など自虐的な語り口で紡ぐ独特なテンポ。(お笑いコンビ千鳥が一時期血迷っていた時期にしていた今からボケることを全部先に言うというネタみたいに)先に言ってその通りにすることで、敢えてアガサ・クリスティはじめミステリーの王道を皮肉る(=オマージュ/パロディ)・ネタにしてみせる。これははたまた賢さ滲み出るニヤリか?単なるテンポの悪いサブい作品か?懐かしいけど何処かちょっぴり新しいように、誰もが見たことあるような、だけど新鮮さもあるミステリー・コメディ。
ブラボー!アンコール…魅力的な往年のミステリーの味フレーバーを今一度いかが?昨今における往年のミステリーへの回帰ブームに本作も乗っかれるだろうか。ライアン・ジョンソン監督による『ナイブズ・アウト』シリーズや英国演劇会の巨人ケネス・ブラナーによる『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』という一連のポアロ作品の映画化など、回顧主義的にも温故知新的にも「あ〜懐かしい…やっぱりこの雰囲気が魅惑的で好きだな」と思えるようなそれ。カット割りや雰囲気、作品のトーンはなんとなくウェス・アンダーソンにも似ているなと思ったら作品見終わった後に勧めてきたのが『グランド・ブダペスト・ホテル』。クッキー食べたい!
DO NOT
JUMP TO
CONCLUSIONS
Stop! In the name of law!