Pearl パールのレビュー・感想・評価
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エンドロールスマイル
「X」の前日譚にあたる作品で、前作のファイナルガールのマキシーンと、農場の婆さんパールの両役を演じたミア・ゴスが若かりしパールを演じています。予告では「X」よりもキャッチーな雰囲気がありましたが、今作はその期待を裏切ることなく楽しくヤベー作品に仕上がっていました。
パールという純真無垢なシリアルキラーが誕生したのが、母親からの圧、夢を遮られた苦しみやもがきが最終的に殺しを引き出してしまったというのがなんとも皮肉です。現実を見ろという親も正しいですし、夢を追いかけようと直走るパールも正しいです。間違いは無いけれど、互いを間違いだと認識してしまったが最後…という悲劇的にも取れるシーンのはずなんですが、パールが軽快に動き回るので、少しだけハッピーな絵面になるのが不思議なところです。
殺しの一歩目としてアヒルをぶっ刺すという中々に残虐な事をしでかしたのは、シリアルキラーの兆候としてよく例に挙げられるので再現してるなーと思いました。
パールの夢はダンサーで、実家の牧場の動物たちを目の前に披露しているのは夢見る少女な感じがしていてとても良かったです。街へ買い物に出かけた際に立ち寄った映画館で観たダンサーの映画に心を奪われ、パンフレットを持ってウキウキな気分のパールはとても可愛らしかったです。映画のフィルムを貰ってこれまたウキウキなのもとても良かったです。
パールがダンスで巡業するためにオーディションで踊った自前のダンス、とても朗らかな雰囲気に楽しげな振り付け、表情を見ると必死さがこれでもかと伝わってくるのも良かったです。
1人で踊っているのに、兵士のバックダンサーの幻覚と戦争の光景を背景に踊り狂うという目に焼きつきまくるベストタンスでした。
スプラッターのシーンはそこまで多くなく、死ぬだろうなという人物も最小限なので、予想の範疇で殺されていきます。草掻きレーキで突き刺したり、事故とは言え体に着火させたり、斧で背中をぶっ刺したのちに体をバラバラにしてクロコダイルのお食事提供したりと、少ないながらしっかりインパクトに残っていて良かったです。
「X」よりかは改善されてたんですが、物語のテンポがそこまで良くないのがこの2作で表面に出てきたかなと思います。
スプラッターが開幕するのかと思いきや、それが未遂で終わるのはしょうがないとして、ひたすらに愚痴を言いまくるシーンはとっても長くてもういいよという気持ちが強くなってしまいました。お気持ち表明の時間に監督やミア・ゴス含め伝えたかったことを全部詰め込んだ気がしますが、どうにもグダグダしててここはかなりのマイナス点になってしまいました。
今作の最高の見せ場というか、鳥肌ゾクゾクシーンはエンドロールでのパールの表情筋限界まで引きつった笑顔を長尺で演じたミア・ゴスの目から涙が飛び出すくらいの顔芸です。もうここが最高すぎて、テンポの悪さが一気に吹き飛んでいきました。今まで観た映画のエンドロールの中でも衝撃度はピカイチのものでした。この表情を保ち続けたミア・ゴスにはもう頭が上がりません。
次回作「MaXXXine」でシリーズは最後を迎えてしまいますが、ホラーアイコンとして強烈なインパクトを残しているので勿体な気もしますが、どのように物語を締めるのか、その面でも次回作が今から非常に楽しみです。
鑑賞日 7/7
鑑賞時間 13:50〜15:45
座席 G-3
後からじんわり何かを感じる
初日に鑑賞
前半は抑圧された狂気がまだあまり解放されていないので、ちょっと冗長気味。後半、ゴアシーンとなるのだが、被害者は4人で、決定的なとどめのシーンは見せてはいない。殺人という狂気性より、亡くなった両親とウジノワイタブタの食卓の異常性の方が怖かった。
動くことも話すことも出来ない父。そんな姿になった父だけには献身的なパール。パールの行為に対し、何かを訴えている父の眼差し。
前作「X エックス」の前日譚であるが、今作で戦争から帰還した夫は、この狂気の場面を目撃していても60年も共に生活したわけで、夫のその精神状態が知りたい。
「X エックス」の老婆パールは、寛容な若者の性に対して、自身は抑圧されていた為、敵視していたのだと思っていたが、今作ではそこまでの描写はなかった。自分の解釈違いか?
エンドクレジットになっても、ずっと映され続けるパール。もう直視出来ない。
帰りに誰ひとり声を出さず無言で劇場を後にする。観客が少なかった事とは関係ないと思う。
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