「完全なるミア・ゴス・ショー怪幕…!!」Pearl パール とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
完全なるミア・ゴス・ショー怪幕…!!
Pardon?
…もう行かなくちゃ。印象的な壁紙やビビッドな世界観よりも強烈に記憶に刻まれる彼女から、その場をあとにできない!逃れられない主演ミア・ゴスの忘れがたき怪演・熱演、監督タイ・ウェストの演出、そして2人による共同脚本。主演の放つ熱量を決して損なわないで、またショッキング描写を際立たせる随所の長回しなど効果的。幸福な組み合わせと化学反応、共作・共犯関係。おかげで、大まかなあらすじや展開それ自体には大きな驚きもなく、ある程度予想した通りなのだけど、正直思っていたより楽しめたかも。メインタイトルが出るカット笑った!
"I'm a star!!" 彼女の夢は農場を出て、映画スターになること。厳格で抑圧的な母親と、第一次世界大戦に出征している夫側の金持ち家族。無垢といっても彼女にも性欲がある。前作『X』でもあったように。今回もポルノというものへの言及・描写があったから、やはり本シリーズとそれは切っても切れない根幹の部分になっているのだろう。
持ってるものを大切にしなくちゃ…。新型コロナウイルスをどうしても重ねてしまうスペイン風邪によるパンデミック、名もなき市井の人たちに"未知なる要素"Xファクターを求めるオーディション番組のようなもの、と今日とも重なる時事性。また、落ちたときにはウジ虫も落ちる。新スーパーマン俳優もやられる。いや、逆に一度死ぬことで、復活・生き返ることで救世主になるキリスト教的精神とも。そんな余談はさておき衝撃のラストカットまで退屈しなかった。最後、なんちゅう最恐の"笑顔"!!!!
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例えばNetflixオリジナル映画『フィアー・ストリート』3部作よろしく、時を遡る入れ子構造的作りで、タイ・ウェストがどのような物語を作品単位で描き、あるいはシリーズ通して世界を紡ぐのか、一映画ファンとして素直に気になるところ。
"A24初の3部作"という触れ込みに、謎めいてスタイリッシュなタイトル(ポルノのことではあるが)とポスタービジュアルから、恐らく映画ファンの間では高い期待値を持って迎えられた前作『X』。そういう自分もまたその一人だった。蓋を開けてみれば、当初期待していたような観客を誰彼構わず引きつけるキラーチューン的ポップさはなかったけど、名作『悪魔のいけにえ』などを彷彿とさせるプロット --- アメリカの田舎には物騒な家族がいて怖いあるある(?)というお約束のやつ --- を、マナーに則りながらも単なる真似でなく、一本の作品としては勿論しっかりと種をまく導入部としてもやり切ってくれたので好感を持てた。印象的な選曲も手伝って監督の確固とした語り口に魅了されもした。
そんな前作『X』で共演しているジェナ・オルテガと並び、新時代のホラークイーンなミア・ゴスの顔が印象的な予告編から楽しみにしていた続編『パール』!新生ホラーアイコン登場なるか?『X』本編終わりの予告パートを見たときから「これは見るしかない!」と決めていた。若さに取り憑かれた老婆の若い頃、夢見る少女に何があったのか?しかもここに来て、マーティン・スコセッシ御大の絶賛コメントも。