Pearl パール

劇場公開日:2023年7月7日

解説・あらすじ

タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー「X エックス」のシリーズ第2作で、1970年代が舞台だった「X エックス」の60年前を描く前日譚。「X エックス」に登場した極悪老婆パールの若き日を描き、夢見る少女だったパールがいかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明らかにされる。

スクリーンの中で歌い踊る華やかなスターに憧れるパールは、厳格な母親と病気の父親と人里離れた農場で暮らしている。若くして結婚した夫は戦争へ出征中で、父親の世話と家畜たちの餌やりの毎日に鬱屈とした気持ちを抱えていた。ある日、父親の薬を買いにでかけた町で、母親に内緒で映画を見たパールは、ますます外の世界へのあこがれを強めていく。そして、母親から「お前は一生農場から出られない」といさめられたことをきっかけに、抑圧されてきた狂気が暴発する。

前作で主人公マキシーンとパールの2役を演じたミア・ゴスが今作でも主演を務め、若かりし日のパールを演じてるほか、脚本と製作総指揮にも名を連ねている。

2022年製作/102分/R15+/アメリカ
原題または英題:Pearl
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2023年7月7日

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映画レビュー

4.0 もはやホラーじゃないと思うけれど、温故知新で生まれた新ジャンル。

2023年7月31日
PCから投稿
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村山章

4.0 映画の世紀の夢と狂気を鮮やかにえぐるスラッシャー3部作の第2弾

2023年7月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

怖い

1979年のテキサスの片田舎を舞台に、女優志望のマキシーンと殺人老婆パールの対決を描いたタイ・ウェスト監督作「X エックス」(2022)を観た時、これほど壮大な構想を深謀したプロジェクトとは思いもよらなかった。そもそも、ミア・ゴスがマキシーン役だけでなくパールも特殊メイクで演じたことを鑑賞後に知ったくらいだ。

ウェスト監督とミア・ゴスは「X エックス」の撮影準備期間中、すでに「Pearl パール」の脚本を書き上げていたという。時代は1918年、若かりし頃のパールの夢と挫折を描く前日譚だ。厳格な母の監視下、全身不随の父の世話をさせられ、夫は戦争に出征中だが、大衆娯楽として急成長が始まった映画の世界でスターになることを夢見るパール。

「X エックス」が「悪魔のいけにえ」などの1970年代の低予算ホラー映画にオマージュを捧げたように、「Pearl パール」はテクニカラーの幻想的なミュージカル「オズの魔法使」へのオマージュに満ちている。世代の異なるマキシーンとパールという、映画スターを夢見るヒロインたちをめぐる血みどろの惨劇を描きつつ、20世紀の米映画史を(断片的ではあれ)振り返ってみせる側面もあるのだ。

第3作「MaXXXine」の概要も少しずつ明らかになっている。ティーザー予告によると、舞台は1985年のロサンゼルス。時系列では「X エックス」の後日譚となり、タイトルロールのマキシーンが当然主人公だが、“XXX”は本格的なポルノ映画を指すラベルなので、彼女はやはりポルノ業界で夢を追うのだろうか。主要キャストはミア・ゴスのほかエリザベス・デビッキ、ミシェル・モナハン、リリー・コリンズ、ケヴィン・ベーコンと特に女優陣が豪華。撮影は4月に始まっており、前2作の製作のスピード感からすると来年公開も十分あり得る。パールからマキシーンへと継承された夢と狂気の物語がどんな結末を迎えるのか、今から楽しみだ。

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高森郁哉

4.5 ホラーとXファクター

2025年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

あのA24製作のホラー三部作のひとつ
時代背景的には最初に当たるが、公開順序では2番目で、私が最後に視聴した作品。
しかし、最初から3部作構成が考えられていたのは間違いないように思う。
この三部作は、物語的につながっているようでつながっているわけでもないように感じる。
つながりがあるのは間違いないが、主演のミア・ゴスがこれらをつなげている。
この「パール」は、1918年当時のスペイン風邪と第1次世界対戦という時代背景が、アメリカ全土に住む国民に与えた影響のひとつをピックアップするように描かれている。
そしてこの作品の背後にある人間性こそ、「サイコ」の根幹。
人の心を蝕み、ゆっくりと破壊している「もの」の正体が描かれている。
今我々はこの作品を観て、当時の社会を批判できるが、当時、つまり現在の我々に現在社会の問題点を明確に批判することができるのかという問いに答えられる人は少ないだろう。
このサイコという概念と「Xファクター」という概念が、三部作を通して示されるが、同時に、映画スターになりたいという欲望、母からの抑圧や父からの抑圧があり、Sexと暴力も示される。
物語的に主人公の想いは最後には叶うが、その過程にあるのは異常なまでの自己暗示的作業と、そうさせる根源の抑圧、そこから逃避して思ったとおりに生きてみたときの自由と失敗というトライアンドエラーがある。
基本的にパールとマキシーンは同じ(群像)だが、時代背景が結果を大きく分けたようにも感じる。
この二人には身体的特徴の違いがあった。
それが顔のあざだ。
マキシーンの顔のあざの原因は明確化されていないが、もしかしたら父による悪魔祓いの結果かもしれない。
この違いはキリスト教の「聖痕」を感じさせる。
似たような二人の人生の違いは、時代背景によるところも大きいが、抑圧から脱出しなければならなかった両者の行動の違いだったのかもしれない。
家族を捨てることができず、大喧嘩がきっかけで起きた事故と、その始末の手段が「殺人」だったこと。
しかしそれは突然起きたわけではなく、パールは殺して餌にする喜びを既に味わっていたから。
この延長線上にあった「サイコ」
そしてロープを編むようにその他の「要因」(ある種のXファクター)である抑圧と時代背景の存在。
つまり人は誰しも「Xファクター」を持っていて、その一つに違いがあるだけかのかもしれない。
容姿端麗 博識 ダンス 演技 これらは「あって当たり前」だが、それ以外の「光り輝くもの(Xファクター)」を探すためにオーディションがある。
そのXファクターは「サイコ」ともなるのだろう。
パールの不合格理由が「それ」で、パールにとって見ればそんな理由は彼女の存在そのものを全否定されたのと同じだった。
「X」では、文字通りその「Xファクター」が何かを探す物語だった。
「X」の要素は、「ジャンル」で変わってしまう。
若者たちは成功を映画に求め、増え続けるポルノ需要に乗ろうと考えた。
舞台となったあの家
老婆パールは彼女の士業と諦めという深い絶望から、殺した母と同化するような思考になっていた。
彼女は若者たちを見て「ふしだら」という。
そしてマキシーンに若かりし頃の自身を重ね合わせる。
父の異常な抑圧と悪魔祓いと称した虐待から逃れたマキシーンは、その負ってしまった顔のあざという聖痕の真偽を試されることになった。
ただ一人生き残ったマキシーンは、つまり「合格」したということだろう。
「マキシーン」で彼女はその「合格」に値する最終試験に挑む。
さて、
マキシーンが成功するために必要だった「Xファクター」とは何だったのだろうか?
時代は既に多様化している。
基本的な容姿があればパスする。
そしてマキシーンは、パールと同じように父を殺した。
それは抑圧からの決別であり、いかなる抵抗もくぐり抜けて「スターになる」という強い意志だったのではないか?
劇中劇のホラーシリーズ第2弾での主役の交代
どんなことでも揺るがない信念
パールの時代に憧れを抱いたセックスシンボル「ゼタ=バラ」を、マキシーンは煙草の吸殻で踏みにじった。
まるでWBCで大谷選手が皆に鼓舞したセリフ「今日だけは憧れるのはやめましょう」だ。
それだけ強いマキシーンの思いが、彼女の未来を切り開いた。
これこそが「Xファクター」であり、オーディションの審査員が「光」としか表現できない「輝き」なのだろう。
パールに欠けていたのは、確かに時代背景というのもあっただろう。
しかし彼女は「自分自身」に頼らず、映画技師のジョニーを頼った。
これが彼女がスターへの階段を上がれなかったことだろう。
この差こそ「心」の差であり、思いの強さの差。
束ねられたロープの要因の、唯一の差
それによって人はスターにもなれるしサイコにもなってしまう。
なかなか恐ろしく奥深い三部作だった。

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R41

3.5 ミアゴスの狂気を演じる幅に安心感

2025年10月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

怖い

単純

ドキドキ

これはXのビフォーワーなんですよね。Xの生き残りのマキシーンを演じたミアゴスがここではXの殺人鬼のババア、パールを演じてます。ホラーと言うよりパールと言う人物像を描いてますね。なんか怖くないけど狂気を感じました。パールがオーディションでダンスを踊りますがすごく下手くそで井森美幸を思い出しました。

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芭蕉翁

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