銀河鉄道の父のレビュー・感想・評価
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芸名は「お役所勤めだった事」そして「役どころ広し」
今年57本目。
役所広司さんの芸名は仲代達矢さんが命名したもので「お役所勤めだった事」そして「役どころ広し」と言う意味が込められているそうです。「an an」4月19日号で成島出監督が仰ってました。2ページに渡って役所さんのロングインタビューと菅田さん、成島出監督のインタビュー。詳しすぎる。
5月3日のnews zeroは主演2人のトークで役所さんが今作は「親の教育で人のために」がテーマで最後そこに終着している。親がいかに凄いか感じた作品でした。この2人のコンビだから出来た役だったと思います。
そこそこ
少し泣けて、悪くはないけど何か物足りない感じ。
予告動画を視聴した時に、これ予告でほぼ全部語り尽くしてるんじゃ?と思ったが、その通りだった(笑)。
まあ、原作がある映画だし実在した方の超簡単な伝記みたいなものだから、全部分かった状態で見る人なんて大勢いるだろう。
話が変わるけれども、「銀河鉄道」というワードってロマンがありますよね。
題名が「風の又三郎の父」とか「注文の多い料理店の父(語呂が悪い)」とかだと多分そんな魅かれてなかった(笑)。
作家が変わるが、「羅生門の父」とか「坊ちゃんの父」とかでも。
ところが、「銀河鉄道の父」だと、うわっ感動しそうっっ・・てね・・。
個人的にはキラーワードだった!
……日本のアンデルセン………、
成島出、監督作で初の良作。
ジワッと来る感動作品
ゴールデンウィークの最中なれど、来週は良い時間帯が無いので大黒摩季ライブの前に評価が高い銀河鉄道の父を観に来た。
なるほど役所広司と菅田将暉のガップリ四つのさすがのジワッと来る感動作品だったね。お薦め作品だわ。
宮澤賢治についてはそれほど詳しくなく、映画を観ながら風の又三郎なんかは昔読んだなと思い出すくらいだった。この映画によると宮澤賢治は生前は報われなかったんだね。質屋も継がなければ人工宝石も失敗、日蓮宗に身を尽くすなど何ともならなかった宮澤賢治を支えた家族愛。それも結核に倒れた妹のため物語を書き始めたんだね。
田中泯の怪演も良かったが、名優ふたりに挟まれても見劣りしなかった森七菜がまた良かったよ。テレビのCMでも好印象の彼女は将来楽しみだね。
銀河鉄道の脱線
GWということもあり、会場は多くの人で溢れかえっていた。こんなにも多い人を映画館で見るのは久しぶり、というよりもあまりにも珍しい光景である。
コロナ禍でこの映画館で観た『ジュディ』は自分一人ということもあったことを考えると、WHOのテドロス事務局長による新型コロナウイルスの感染拡大に関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言終了を身をもって体感したということになるだろうか。
しかし、周りを見ると、高齢者があまりにも多い。このGW、他に行くところもなく、彷徨うその行方は映画館だったということか。まぁ、自分も夫婦50割引でチケットを購入したその中の一人だから、とやかく言うことはするまい。でも、この雰囲気は、つまらぬところで、「あえて」声を出して笑ったり、どうでもいいところで「啜り泣く」ようなお年を召した方が多いこと、そんなことが気がかりになりながら着席したのだった。
予感は当たっていた・・・(佐野元春ばりのセリフが口をつく。まぁ、その世代だから許してね、っていうか、周りも、そうだし。。。)
映画のつかみで、なんで面白くもなく場面で笑うん?
(思い切り、この後、中略)
映画のラストに近い部分で、なんでこの場面で泣くん?
的な、方々が多いこと。
それを冷めた目で見ていた(実際には見えないので耳で聞いていた)自分としては、予感通りのことを確信したのだった。
「つまらない」
この映画で言いたかったことって何?
政次郎と賢治の親子物語。・・・気持ち悪いストーリーにしてしまったのは脚本のせい?
賢治のバカっぽさ。・・・それって狙いじゃないよね。この賢治、薄い。
トシとの情愛。・・・森七菜を押し出したかったの?
プレビューを見たら、いつものように「提灯」レビューが多いのにうんざり。
この映画は、どう頑張ったところで、父、息子、娘(妹)、そして母。どの視点から見ても描き方が物足りないということに尽きる。
しかし、
真っ当な意見もあり、少し安堵。良心的な真っ当な映画ファンはいるんだね。『キネ旬』的な。・・・・休刊にならないこと願いますよーー。それだけが、今の心配。(「脱線」しましたwww)
# 感動の「脅迫」に、みなさん、乗ってしまってはいけません。こんな映画で。
# 「あめゆじゅ とてちて けんじゃ」で妹との関係性にフォーカスした方が良かったかも。誰もが知っている事実だからこそ、自分なりに解釈を入れ込むことができる。
# 「銀河鉄道の母」の方が、さらに面白かったかもね。母イチの視点でナラティブ構成した方が映画としては出来が良くなったかもしれませんね。
# 父親に最期の場面で「雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ・・・」一番やってはいけない最悪の脚本。これには参った。
# 父親との関係から死後発表の「銀河鉄道」に固執するあまり、映画のラストシーン、もはやコメディ。自分なら同じような死後発表なら『ツェねずみ』の「私のような弱いものをだますなんて!償うてください、償うてください」で、そこに至ってしまった賢治の心を語りたいけどね。生前なら『オツベルと象』。日蓮宗に持ち込む「下手くそな展開」よりも、断然いいと思うけどね。
「こんなにみんなにみまもられながら
おまへはまだここでくるしまなければならないか
ああ巨きな信のちからからことさらにはなれ
また純粋やちひさな徳性のかずをうしなひ
わたくしが青ぐらい修羅をあるいてゐるとき
おまへはじぶんにさだめられたみちを
ひとりさびしく往かうとするか」
この映画の目的は
賢治を愚弄することにあったのだろうか。そうではないと思いながら、こんな映画を世に出している人々を恨む。
よかった
滑り方が半端ない。名演なのに残念。
原作「銀河鉄道の父」は未読ですが、宮沢賢治先生の「銀河鉄道の夜」他、数作の作品は読了しております。
近年、宮沢賢治先生の生涯は、そのご家族(特に妹であるトシさん)も含めて作品や資料に基づき研究がなされてるのはみなさんもご存知の通りです。
その生涯がドラマ仕立てに脚色され映像化されたのも今回が初めてではなく正直、語り尽くされた感もありますが、今作は原作が直木賞を受賞され、先生のお父上の視点から物語が進行する新しい試みとのことでしたので、期待して映画館に足を運びました。
父親がその妻から「旦那様」と呼ばれる今では想像もつかない明治末期の家父長制が強い、資産家の家庭で育った賢治が、幼少期よりどれだけ父親から愛情を注がれて育ったかが映画冒頭より語られております。生来、賢治の身体が丈夫でなかったこと、また、長男で後継であるから期待していたという理由はあるかもしれませんが、たぶん、それ以上の溺愛とも言えるくらいのものかもしれません。
しかし賢治が学問に励み、海外の文学、先進の思想にふれた結果、思想がより理想追求型になると、当然ですが、現実の商売や家業の存続に重きをおく父親からはそれを頭ごなしに否定され、しばしば、衝突が起こります。父子の愛情の裏返しゆえ、その凄まじさに拍車がかかる様です。うちも同様、親子喧嘩あるあるですね(笑)。
父親としての息子への深い愛情と、家長として家業を維持する義務、その狭間で悩む姿はよく描けていたな、と思いました。
ただ、ここからが問題。
物語の節目節目で事実として起こった重要な出来事を、作品としての名シーン、感動ポイントとして作り込んでられましたが、何かそれが全体的に「唐突」なんです。
事前説明や前振り、伏線張らずにいきなり名場面がガツっとくるからタチ悪いのです。
失礼ですが、から滑りしてるみたいな妙な空気が流れてしまうのですよ。
しかも、役所広司さん、菅田将暉さんとかいずれも名優が、半端ない熱量かつ瞬発力でされるでしょ?
これでは逆に鑑賞者の気持ちが乗らなくて印象が「滑り方が半端ない」になっちゃう訳です。
脚本、演出って本当に難しいから気安く批判したくないけど、名優出演させて彼らの名演があれば多少穴があってもカバー出来る・・・なんてことはありえません。
特に、祖父と対峙する妹のトシさん、いつのまにかこんなに強い女子に?とか、女学校の先生になんでなった?とか。また、いきなりチェロ弾き出す賢治とか・・・そんなの合わせて3分も時間取れば脚本上に違和感なく伏線張れるはず、いや、一言、二言で良いので載せてください。
観客のすべてが脳内補完出来るほど、原作が世に知れ渡ってませんし、宮沢賢治の生涯は認知されてないのだから、ここは留意すべきでしょう。
名優の名演がむしろ仇になるのは、残念でしたね。
「ありがとがんした」
残念だけど、凡作である。私なら人に勧めない。
当初、直木賞受賞作品である原作を読んでから鑑賞しようと考えていた。書店で文庫本の厚さを見て断念した。長編で時間がなかった。だから、もともと原作が駄目なのか、或いは映画化作品が悪いのか判断できない。
カメラワークが安定していず、絶えず画面が動いている。当初は宮沢賢治の先の定まらないブレる人生を表現しているかなと思ったが、作品を書き始めからもブレるので、居心地が悪い。
役者さんはよく演っていると思うが、演出又は脚本に問題があるのか、或いはもともとの原作がその程度の作品かもしれない。物語を面白くするため、多少の脚色は認めるが、やり過ぎかなと思ってしまう。最後の鉄道列車での再会はいい締め繰りだと思うが、どうせならもっとVFXを使用して、いかにも銀河を走る鉄道列車にしてほしかった。
壮大な親バカ物語
子供ファーストの父
直木賞を受賞した作品の映画化。原作も発売当時に既読し、ストーリーや展開は、原作のイメージ通りの内容であった。『雪わたり』や『やまなし』等、今もなお小学校の教科書に掲載されている宮沢賢治作品。激動の明治、大正、昭和と生き抜き、亡くなって初めて、世に認められるようになった宮沢賢治の作品だが、現在では、、日本を代表する文士として、多くの人に愛され、誰もが知ることとなっている。
しかし、名前や作品はよく知っていても、宮沢賢治自身の事はよく知らなかったので、今回改めて、賢治の父の視線で描かれた本作を通して、宮沢賢治という人となりの理解も深まった。揺らめくランプの炎のシーンが随所に盛り込まれ、当時の日本の原風景が色濃く残る、賢治の故郷と相まって、温かなレトロ感を映し出している。
宮沢賢治の人柄については、「アメニモマケズ・・・」の詩から、質素で誠実で、田畑を耕しながら作品を手がけていたイメージを持っていた。しかし実の所は、質屋の倅で、金持ちのボンボンであること、先見性の無く新しいものに飛びついては失敗を繰り返す、不肖の息子。尚且つ、父に表面では反抗しながらも、実のところはファザコンで、妹への異常な愛情を示すシスコンの意外な面もあり(ただ、映画ではそこのところは、あまり色濃くは出していませんでしたが…)真っ直ぐな心持ちの人であることを伝わってきた。
そんな賢治の一番の理解者で、無上の愛を捧げたのは、やはり父・政次郎であり、その姿は、当時の父親像からしたら、子供の思いに寄り添い、後押しをしてくれる、先進的な子供ファーストの父親であったのだろう。
本作の見所は、やはり賢治と政次郎の親子役を演じた、菅田将暉と役所広司のアカデミー賞俳優同士による、親子愛情劇であろう。賢治のラストシーンは、魂を揺さぶる2人の演技に、熱いモノが込み上げてきた。そんな中で、賢治の妹役を演じた、森七菜の凛とした演技も、印象に残った。
なるほど、父親目線のストーリーだからか。
予告編を観て、タイトルに父がついているので、宮沢賢治が作家として頑張るのを父親が反対したり応援したり、色々揉める話かなと想像しながら着席。
岩手県花巻市で質屋を営む宮沢家に生まれた長男にお爺ちゃんが賢治と名付ける。それから始まる父親の政次郎と賢治の関係。あっという間に中学生卒業!?しかもそんな成績で?親としては家業を継いで欲しいよね、長男だし。でも嫌がる賢治はまったくちがう夢を語る。こりゃ長い対立になるなと思ってたら、そうでもない。娘トシの言葉に説得され賢治を農業高校に進学させる。なのに辞めちゃう。そして宗教家になろうとする?本当、ワガママというか自由奔放な人生だ。そして妹の言葉からやっと作家になる事にする賢治。やりたい事をこんなにバンバン変更する息子を応援し続ける父親。賢治がどうやって生活してるか一切分からなかったので、金持ちの父親が援助し続けていたと想像。いい意味で本当に親バカだ。少し物足りなかったのが、賢治にプロの作家感が全然ないのに突然自分の本を持ってきたり、本屋さんで売られていた事。あ、父親目線だからか!と納得。
とにかく役所広司さん、なりたての父親から爺さんになるまで、見事な演技、流石です。菅田君もヘンテコな奴、しっかりはまってたよ。
そこそこ楽しめました。
号泣。。。しなかった
宮沢賢治の名前を知っている人にお勧めする映画
【”あの家族ありて、宮沢賢治ありき。”それまでの宮沢賢治像を粉砕した父の”駄目息子だが愛せずには居られない。”という想いが尊い。そして、妹トシを演じた森七菜さんの畢生の演技が輝く作品でもある。】
ー 序盤は、私が勝手に思っていた”聖人”宮沢賢治の姿とは違う、我儘で生きる道の定まらない賢治の姿にやや違和感及び新鮮な想いを覚えながら鑑賞。
因みに原作は未読である。-
◆感想
・前半は賢治(菅田将暉)の妹トシを演じた森七菜さんの演技に驚く。
ー 何時からこんなに凄い女優さんになったの!田中泯さん演じる厳格な祖父が認知症になり暴れた時に、”綺麗に死ね!”と言ってビンタを張るシーンには参りました。
更に彼の有名な”永訣の朝”の死の間際のトシを演じるシーンも参りました。
”うまれでくるたてうまれてくるたて/こんどはこたにわりやのごとばかりで/くるしまなあよにうまれてくる”という原作の言葉をトシが実際に伝えるシーン。
賢治が記した”永訣の朝”を換骨脱胎した最良の形ではないだろうか。
トシが居たから宮沢賢治は詩人になり、更に”日本のアンデルセン”になった事が分かるのである。-
・賢治が生まれた時からの父(役所広司)の溺愛振りは男親として良く分かるが、終生、嫌、賢治が死んでからも賢治全集を出版した父の息子への想いは素直に頭が下がる。
■やや違和感を感じたシーン、だが。
・賢治が日蓮宗に傾倒し、浄土真宗を信じる父に対し反発する故か、法蓮華経を狂ったように口にしながら、白装束で団扇太鼓を叩くシーン。
実際に賢治は日蓮宗に傾倒していたそうだが・・。
狂的感じがして、作風から浮いていた気がするのである。
あのシーンは賢治の不器用だが、ひたむきな性格が表れたシーンであるとも思う。
■賢治臨終のシーン
ー 名優、役所広司の演技が炸裂する、涙零れるシーンである。
彼の有名な”雨ニモマケズ”を賢治が患った際に、父が賢治が籠っていた祖父の家で見つけ、蝋燭の僅かな明かりで、驚きの表情で読む姿と発した言葉。
”良い詩だ、賢治”
からの、”雨ニモマケズ”を涙しながら大きな声で臨終間際の賢治に聞かせるシーン。
そして、賢治は僅かに目を開いて”初めて褒められたじゃ・・。”と呟くのである。
<今作は今や、世界の宮沢賢治を、父を筆頭にした家族の視点で描いた作品である。
そして、今の世間が認める宮沢賢治があるのは、彼を愛した彼の家族がいたからだという事に気付かされるのである。
更に言えば、役所広司、森七菜(今作の”MIP”だと、私は思う。)、菅田将暉、坂井真紀、田中泯という俳優陣達の演技の凄さにも改めて敬服した作品でもある。>
■追記 <2023年5月11日>
・当初、評点を3.5にしていたが、俳優陣の演技及び今までにない賢治像を見せてくれた事を鑑み、4.0に変更させて頂く。
理由は、今作鑑賞後、宮沢賢治の幾つかの作品(”よだかの星””ビジテリアン大祭”)を読み返した時に、今作が言わんとしている事が腑に落ちたからである。
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