「なりたい自分になりたい王子は茨を潜り抜けて無事姫を目覚めさせることが出来るか。」恋のいばら レントさんの映画レビュー(感想・評価)
なりたい自分になりたい王子は茨を潜り抜けて無事姫を目覚めさせることが出来るか。
城定監督作品初鑑賞でしたが、これは面白い。「アルプス...」も見なければ。
今カノと元カノがタッグを組んで難攻不落の彼氏の部屋のデーターベースの情報を奪い取るミッションに挑む。しかしそれには手強いセキュリティーをかいくぐらなければならない。
先ずは侵入のためのマスターキーのコピーを作成することだ。うまくターゲットを誘い出し、ターゲットの気をそらせたすきに鍵を奪い、鍵屋でコピーを作る。後はターゲットのスケジュールを把握し決行あるのみ。
しかしまだまだ敵は手強い。家にはおばあちゃんがいる。このおばあちゃんは夜の十時には機能を停止する。その時間を見計らっていざ侵入。なんとか玄関の鍵は開いた。老練のカギ職人のなせる技だ。だが変だ、扉が開かない。最後のセキュリティーシステムであるチェーンが彼女らの行く手を阻んだ。
ミッションを成功させるにはチームワークが大切だ。二人の心が一つになることが。果して今カノと元カノという利害が相反するふたりの心が一つになれるのか。彼氏に未練があると思われる元カノと現在ラブラブの今カノとではやはりこのミッションはインポッシブルではないのか。
だが、それは違った。元カノの桃は実は今カノである莉子に興味を抱いていたのだ。最初はふられたショックから今カノがどんな人間か探った。しかし、探ってるうちに莉子こそ自分がなりたい憧れの存在なのだと気づいた。ミッションは莉子に近づくための口実だったのだ。
桃は茨をくぐり抜け、データーベースにたどり着く。そして眠っていた莉子を目覚めさせる。ずるずると惰性で続いていた関係から目覚めた姫は王子と結ばれるのだろう。
一見、相反する二人の女性が共通の目的を持ったところから、徐々に打ち解け、やがて無二の関係になってゆく様を描いたラブコメ作品。ちょっとしたわきを固める人物も面白い。個人的には公園で独り言をつぶやいていたサラリーマンが良かった。
さすが今乗りに乗ってる城定監督作品だけのことはある。