劇場公開日 2023年1月6日

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「序盤で期待が高まっただけに」恋のいばら TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0序盤で期待が高まっただけに

2023年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まずこの設定はリアリティがあり、感情移入しやすい面白いアイディアだと思います。
序盤から不安定感全開の桃(松本)。怪しさ溢れる雰囲気で莉子(玉城)にアプローチし、二人に共通するかもしれない「危機」を朗々と訴え、そして莉子を説得します。桃の話に初めは疑いを持ちつつも「自分にも覚えが?」と、一度引っ掛かるとリアリティがありそうで、徐々に気を許し協同していく二人。
この設定になんら無理を感じないばかりか、特に(観ている)女性はゾッとすることを想像したりするのではないでしょうか。だからこそ、ここから二人の計画・実行していく「よろしくない行為」にも「無理からぬと」寄り添いたい気持ちで物語に集中していきます。
が、、、ここからはほぼ苦言。。。
私、この設定ならもっと「深み」や「味わい」を出せたような気もするし、逆にオフビートに「皮肉さ」や「滑稽さ」を出せた気もする。正直もっと期待していたんですけど、残念なことに仕上がりは「中途半端」な出来になってしまっているような気がします。
まずは、ミステリーな要素として序盤から方々にチラつかされる、、と言うかあからさまに「伏線」としか思えないシーンやアイテムが出てきますが、いざ後半それらの「回収」劇とそこに秘められたものを説明され、正直「驚き」もなければ、なんなら「重要性」も感じず。。
或いは、二人が出会うきっかけや微妙な関係性もあり、単純な「シスターフッドによる復讐劇」にしていないところは悪くないと思います。でも、例えば莉子の家族との食事エピソードなども「このシーンいる?」と思ったり、さらに意外な人物が二人の距離を縮める役割として存在したりで、冒頭で設定に感じたリアリティに対してそれを裏切るファンタジーな展開の数々。。
ただ、これらの不要とも思える要素やシーンを入れても98分かと思うと、初めのプロットに対する脚本が十分に練られていなかったのではないか思わざるを得ません。
けしてつまらなくはなかったけど、序盤で期待が高まっただけにちょっと残念でした。

TWDera