「マグニフィコ王が可哀想」ウィッシュ ザさんの映画レビュー(感想・評価)
マグニフィコ王が可哀想
ネタバレ注意です。
あくまで私個人の意見なのでお気を悪くされたらすみません。
大きなモヤモヤを抱える映画でした。その理由を長くなりますが下に書きます。
マグニフィコ王は願いが叶わないことの悲しみを知っているからこそ善意で国民の願いを預かり守っていました。国民は願いを預ける代わりに願いを忘れてしまうというデメリットを把握した上で努力もせず願いを叶えてもらおうとしていました。
一部の国民は、作中で言われたように自分の力では願いが叶えられないような状況にある人(例えば身寄りのない人や難民など)も願いを叶えてもらおうと移住しています。
移住は無償で行われているし、様々な事情を抱えた人が無制限に入国していたら普通は治安も悪化しそうなものですがこの国は観光業が成り立つほどとても治安が良いです。
その治安の良さは王による叶える願いの選別により国を脅かすような願いが叶わなくなっていることで成り立っていると考えられます。
そうして王が作った平和な国の恩恵を受けてきたのに、いざ自分の願いが叶えてもらえないかもしれないと分かったら、誰より努力を重ねて良い国を作ってきた国王を悪者にして国民が反乱を起こすというのがなんとも言えない胸糞悪さを感じました。
映画後半のマグニフィコ王の暴走も、もとは主人公サイドが"魔法を使えるのは国王だけ"という法を犯して国の安定を脅かしたことで、王は過去のトラウマからパニックになり禁術に手を出してしまっただけだし、暴走する前の王は国民の願いを自分の力にしたりせずに国を脅かす可能性のある願いですら大切に保管するような人でした。
私には、今回の悪役であるマグニフィコ王は主人公によって悪にされてしまった被害者だと感じられました。
ラストシーンでは、国民が国王を悪く言う中で鏡に閉じ込められて、愛していた妻によって地下に追いやられるのもあまりに可哀想すぎて見ていられませんでした。
以上の理由で、主人公含め国民が無礼で恩知らずなのがひっかかる映画でした。