劇場公開日 2023年12月15日

「国王の願いとは」ウィッシュ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5国王の願いとは

2023年12月17日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

幸せ

ポリコレを気にしすぎるがあまり、とことん痛い目にあっているディズニーの生誕100周年記念作品。全米では「君たちはどう生きるか」「ゴジラ-1.0」の邦画が映画界の注目の的となるという前代未聞の事態になり、本作はまさかの大コケ。ロッテン・トマトの評価も、評論家・一般層ともに平均以下。お祝いムードになってもおかしくないのに、まだまだ苦境に立たされそうなディズニー。ここから一体どう挽回していくのか...。

ストーリーとしては至ってシンプル。
予告の段階で想像出来る範囲内の物語が展開されていく。美しいアニメーションと劇場内に響くミュージカルには心奪われるし、ディズニーのお家芸が遺憾無く発揮されている作品だと思います。凄くわかりやすい話でもあるため、子ども達は楽しめること間違いなし。100周年にして〈星に願いを〉をテーマするセンスは流石ですし、エンドロール後に流れる映像も素晴らしいです。

だけど、100周年を祝う作品としても、これまでのディズニー映画から見ても、どうも物足りないと感じてしまいます。1番に考えられる理由がキャラクターの深み。「リトル・マーメイド」で例えると、主人公のアリエルは地上の世界を夢見る人魚姫で、人間として生きることを選べば、その代償として水中で生きる能力と声を失ってしまいます。これまで共に過ごしてきた仲間と、憧れの世界。どちらを取るのかという究極の選択を前に、これまでわがままで自由奔放だったアリエルは劇的な成長を遂げます。ディズニープリンセス映画は、主人公の〈夢〉と〈成長〉がセットとなっており、それこそが醍醐味です。

しかしながら、本作においては主人公・アーシャの〈夢〉は偉大なる国王の側近となることであり、その夢は開始早々打ち砕かれてしまいます。国王の悪事を知った途端、彼女の夢はみんなの願いを持つべき人に返してあげるという説教臭いものに変わり、そのために奮闘していくのですが、ここの心境の変化が急で、もっとこの過程を丁寧に描いて欲しかったなと思ってしまいます。しかも、成長物語としてはかなりの出来の悪さで、最初と最後とでは街の様子はがらりと変化したものの、アーシャ自身はこれっぽっちも成長していません。あくまで本作は映像と音楽を楽しむ作品。「アナと雪の女王」と同じように、およそ2時間を通して登場人物は何も変わっていませんでした。

This Wishは歴史に残る名曲だし、声優陣も皆素晴らしい。バレンティナやスターといった脇役の活躍は見られ、願いをテーマにした作品として映像の質は申し分無かったです。しかしながら、ストーリーはかなり平凡でどうもワクワクしない。最後まで飽きることなく楽しめはしたのですが、心に残るセリフやシーンはなく、なにより国王が救われないストーリーであることがすごく残念でした。絶対にもっといい映画になったはずなのに...。ワンス・アポン・ア・スタジオが号泣寸前の傑作であるがために、色々と気になってしまいました。

サプライズ
グリ 高原さんのコメント
2023年12月29日

物足りないなぁ の箇所を
文章化してもらい 自分もその通りよなぁ🤔🤔と
今作主人公が成長していないのよねぇ

マグニフィコ王

本人1代で終わるシステムでしかないですが
圧政、独裁、利益独占、重税とかしてませんし
不憫な感は否めないなぁ と感じましたね

グリ 高原