「映画レビューをレビューする(笑)」リトル・マーメイド 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
映画レビューをレビューする(笑)
1989年に公開された本作のアニメ版を観ておらず、そもそもディズニー映画にあまり興味はないのですが、本作が一部からディズニー映画にしては異様なほどの叩かれっぷりをしているので、野次馬根性を出して観に行って来ました。
各種レビューなどを読むと、低評価の内容は以下のようなものがありました。
①主役のアリエルが白人ではなく黒人なのはおかしい
②アリエルの髪の色や髪形が原作(アニメ版)と違う
③アリエルの歌がクセがあって嫌だ
④ポリコレが酷い
まあこれ以外にもいろんな批判が見られたのですが、ディズニーランドがあるフロリダ州では、共和党右派のデサンティス知事と対立するなど、リベラル色が濃厚なディズニー社に対して我慢のならない”保守派”の方が低評価をしているのかなというのが、ディズニー門外漢の私の第一印象でした。
因みに創設者のウォルト・ディズニー自体は、現在のディズニー社とは反対に右派的な政治信条を全面に出した人だったようで、第二次大戦中は自主的に反独、反日のプロパガンダ映画を制作したり、戦後も反共的な立場を取ったり、また人種差別的、性差別的だったと指摘されるなど、今生きていたらトランプのように大統領選に打って出たんではないかと思えるゴリゴリの人だったようです。
因みに6月16日時点の各種映画サイトの評点は、以下の通り。ヤフー映画の★1評価の比率が非常に高く、”右派”が多いことで知られるヤフコメと共通のユーザーが評価しているのかしらと思ったりしたところです。(いずれも5点満点)
ヤフー映画 2.9点(★1評価の比率 41%)
映画.COM 3.2点(★1評価の比率 13%)
Filmarks 3.9点(★1.0~2.0評価の比率 2%)
映画の内容とは全く関係のない映画レビューのレビューをしてみましたが、やはり人種問題というのは非常にデリケートな話であり、そうした部分に大きな波紋を作った本作の意義は、それなりに大きかったのではないかと感じたところです。
肝心のお話の方ですが、アリエルが人間界を美化して、人魚王である父親はじめ周りの意見も聞かずに人間に近寄っていき、最終的にエリック王子に一目惚れすることに繋がっていきましたが、腐敗した人間界の住人としては、「アリエルちゃん、人間ってもっと汚ないものだよ」と言ってあげたくなってしまいました。
アリエルを演じたハリー・ベイリーの歌唱力は、好みはあるでしょうが私的には非常に上手いと感じたところでしたね。彼女の容姿に関する文句も散見されましたが、これはまあ好みの問題なのでなんとも言えませんが、初見ではアニャ・テイラー=ジョイとそっくりだなあと思ったところです。
ただ少し政治的な側面から観た場合、欧米列強が世界中を自らの版図に組み入れていった大航海時代を舞台にしている様子なのに、王国は人種の坩堝で人種平等的な雰囲気を醸し出していたのは、結構矛盾するんじゃないかと思わないでもありませんでした。まあおとぎ話なのでその辺りは流せばいいのかも知れませんが、もう少し世界観を整理した方が良かったんじゃないかと感じました。
そんな訳で、野次馬根性から観に行ったディズニー映画でしたが、純粋に物語として観た場合、上記の世界観がイマイチだったこと、アンデルセンの「人魚姫」では、人魚姫と王子は結ばれないというほろ苦くも印象的な結末と比較すると、本作はハッピーエンドになっていることなどから、評価は★3とします。