「キャスティングというより…」リトル・マーメイド さくさくぱんださんの映画レビュー(感想・評価)
キャスティングというより…
ハリーベイリーの歌が気になったのでとりあえず字幕で。
このためにキャスティングされたんやろなって思うほど、ハリーの歌は唯一無二の歌声だったし、期待以上でパートオブユアワールドのシーンのためにお金払っても良いくらいでした。
黒人のアリエルもセバスチャンとかフランダーのビジュも個人的にはすぐ慣れたので良かったのだけど、、、
キャスティングというより、内容や演出の方が気になりました。
冒頭のシーンでアリエルは他の姉妹とちがう特別な声を持っていて、それが才能なのだという説明がなかったので(私の見落とし?)、アースラに声を奪われることがどういうことかの説得力が弱かったし、エリックが助けられた時に聞いた声を頼りにアリエルを探すという描写も弱くなってて、アリエルの声の特別感みたいなのが感じられないのが??でした。
あと、声を奪われた後3日以内にキスをしないと魂がアースラのものになるわけですが、そのことをアリエルが忘れてしまう設定はなぜ?って感じでした。
3日以内にキス出来るようにみんなで力合わせて王子にアタックしてくのが良いのに、キスしないとやばいのに周りだけが精一杯頑張ってる感じも違和感でしたね、、
王子と再会した時に王子が困惑してることで、アリエルが人間になったことを少し後悔してる感じの描写もあり、なんで?アリエルは大事な声を失っても家族に会えなくなっても人間になってエリックに会いたかったんんじゃないの?再会がうまくいかなかっただけで後悔するような覚悟で人間になるんじゃないよ。というアリエルへのイラつきも感じてしまい割と終始アリエルに感情移入ができなかったですね、、、
アニメを実写化する場合、これまでの美女と野獣とかアラジンとかがそうですけど、アニメでの設定を少し改変したり人物設定に奥行きと持たせたりすることで、話全体に深みが増してより良いものに昇華されてきたと個人的には思っていて、(例えば美女と野獣なら野獣も本に精通していてベルが尊敬を持って2人の関係が進展していったり、アラジンならジーニーは最後魔人から人間なり家族を作るとか)実写化される意味とか良さがあったと思うんですけど、リトルマーメイドは良くも悪くもアニメのまんまストーリーは進んでいくのに、大事なところを端折ったり、個人的には要らぬ設定が加わったりしてモヤモヤが残ったのが残念でした。
演出もちょいちょい気になって、、
・パートオブユアワールドで最後穴から手だけ出る描写
・アリエルとトリトンの最後の別れで、アリエルが振り向いたらいきなりトリトンがおる感じ
・アンダーザシーでフジツボが踊ってるのをアリエルがドアップで見てる感じ(フジツボってどちらかというとアースラのイメージでしたが…)
とか、ふと思い出せるのはそれくらいなんですけど、ホラーみたいな怖さがあって心の中でツッコんでしまって没頭できなかったんですよね。
ただ、お話としてはアニメをそのまんま実写にしてる感じだったので、アリエルとか海の仲間のアニメの可愛さがあって初めて見てられるお話なのかもしれないなって思いました。
舞台版みたいに親子愛を掘り下げたり、アースラの過去を掘り下げたり、アニメで描かれなかった部分とか、実写化することでより強調したい部分が何なのかも分からなかったので過去の実写作よりは残念という感想になりました。